【連載】恋するフィンランド！（第4話）映画『アアルト』ヴィルピ・スータリ監督来日トークイベント［中編］ | webマガジン

2023/10/28

独自記事

「森と湖の国」そして「世界一幸福な国」フィンランド。近年の世界幸福度ランキングでは5年連続で一位に輝く、北欧・フィンランドは、サステナブルな国として高く評価されています。デザイン大国としても人気が高く、そのシンプルで機能的、かつ有機的で温かみのあるデザインの家具や日用品は、昔から現在に至るまで多くの人々に愛されています。

ethicaでは、そんなフィンランドからウェルビーイングな北欧ライフスタイルを学ぼうという「恋するフィンランド！」企画が進行中。

今回は（第２話）でご紹介したドキュメンタリー映画『アアルト』（2023年10月13日～公開）のヴィルピ・スータリ監督が来日して開催されたトークイベントを取材。撮影の裏話や、映画の制作秘話など貴重なお話を伺ってきました。

［前編］に続き［中編］をお送りしていきます。

【あわせて読みたい】恋するフィンランド！

（第1話）北欧のライフスタイルに触れられる展覧会

（第2話）フィンランド建築の巨匠アルヴァ・アアルトを描いた映画『アアルト』をご紹介

（第3話）映画『アアルト』ヴィルピ・スータリ監督　来日トークイベント［前編］

（第5話）映画『アアルト』ヴィルピ・スータリ監督　来日トークイベント［後編］

（第6話）映画『アアルト』ヴィルピ・スータリ監督　来日トークイベント［最終編］

（第7話）映画『アアルト』フィンランドの自然と暮らしのデザイン建築めぐり８日間

監督：　今お見せしているのがヴィボルグの図書館です。ここは、かつてフィンランド領だったのですが、今はロシア領になっているのでウクライナとの戦争の関係で今はちょっと訪れるのが難しい場所です。ここにアアルトの美しい図書館が建てられています。

アアルトの建築にとって図書館はとても大きな意義があります。それはイデオロギー的な意味があるのですが、アアルトは、建築物はあらゆる人に所属していてみんなのものである、と考えていました。お金持ちであれ貧しい人であれ、みんながその建築物を共有していいと言う考えを持っていたのです。この美しい図書館はウクライナとの戦争の前に撮影できたので、映画の中にも登場してきます。

――貴重な映像なので、映画の中でぜひしっかりと見ていただきたいと思います。

監督：　このマイレア邸は最も美しい個人の邸宅の１つです。フィンランドの中部西岸の方にある邸宅で、林業で成功したアールストローム一族のお家なのですが、アルヴァとアイノと近しい友人でした。私はこの場所を撮影するだけでなく、数日滞在できるという非常にありがたい機会を得て、この建物で寝泊まりするだけでなくサウナに入ったりプールで泳いだり、暖炉のそばで過ごしたりと素晴らしい時間を過ごしました。

この建物自体は一般公開されています。ここにある絵画も素晴らしく、ロートレックやドガ、レジェやピカソなどが飾られています。私はこの邸宅に泊まらせていただいている時にピカソのそばで寝たのですが、あまり眠れませんでした。そんな経験もしました。

（中央）映画『アアルト』のヴィルピ・スータリ監督

これもマイレア邸の一部で、アアルトの建築は色々なところを訪れましたが、この場所は非常に特別なものだと思っています。ご覧になってわかるように、森が家の中に入ってきたような感じです。他に、冬の庭「winter garden」と言うものがありますが、そこは日本の影響を受けているといいます。

――マイレア邸は一般公開されていますが、個人だと訪問しづらいロケーションにあるので、後ほどご紹介するツアーでご案内を予定しています。

（左）フィンツアー代表の美甘（みかも）さん

――次に、事前に皆様からお寄せいただいている質問をさせていただきます。

フィンランドはいま世界で一番幸せな国と言われ、幸福度ランキングでは毎年トップですが、監督自身が一番幸せだと感じるのはどんな時でしょうか。

監督：　私が一番幸せを感じるのは、サマーハウス（夏の別荘）で夫と過ごして、サウナに入ることです。その後は海で泳ぎます。別荘は西岸の小さな島にあるのですが、都会で色々ストレスを感じたり悩み事があったりすると、それらを全て後ろに置いてきてそこで時間を過ごします。

――羨ましいです。フィンランドの人たちは自然の中で何もしないでお休みすると言う話を聞くので本当に大事なことだと思います。日本でも最近はサウナが流行っていますね、アアルトを巡る旅では、アアルト夫妻が設計したサウナを体験したり、設計した家に泊まったりして二人の世界観を五感で感じていただきたいと思っています。