「森と湖の国」そして「世界一幸福な国」フィンランド。近年の世界幸福度ランキングでは5年連続で一位に輝く、北欧・フィンランドは、サステナブルな国として高く評価されています。デザイン大国としても人気が高く、そのシンプルで機能的、かつ有機的で温かみのあるデザインの家具や日用品は、昔から現在に至るまで多くの人々に愛されています。

ethicaでは、そんなフィンランドからウェルビーイングな北欧ライフスタイルを学ぼうという「恋するフィンランド！」企画が進行中。

今回は（第２話）でご紹介したドキュメンタリー映画『アアルト』（2023年10月13日～公開）のヴィルピ・スータリ監督が来日して開催されたトークイベントを取材。撮影の裏話や、映画の制作秘話など貴重なお話を伺ってきました。

［後編］に続き［最終編］をお送りしていきます。

【あわせて読みたい】恋するフィンランド！ 

（第1話）北欧のライフスタイルに触れられる展覧会

（第2話）フィンランド建築の巨匠アルヴァ・アアルトを描いた映画『アアルト』をご紹介

（第3話）映画『アアルト』ヴィルピ・スータリ監督　来日トークイベント［前編］

（第4話）映画『アアルト』ヴィルピ・スータリ監督　来日トークイベント［中編］

（第5話）映画『アアルト』ヴィルピ・スータリ監督　来日トークイベント［後編］

ethica編集部から監督への質問

 ethica編集部（神田聖ら）：　映画の中では、アルヴァや妻のアイノ、エリッサといった三者がどのような人柄だったのか、人間性を重点的に描いていることが印象的でした。監督がインタビューで、知識偏重にならないように、本作はあくまで「人間」を描きたかったとお話ししていたことも納得です。人間に興味があるという観点から監督自身についてお聞きしたいのですが、映画を撮る前と撮った後で、どのような変化がご自身にありましたか？

監督：　映画を作った後はアアルトの建築を違う目で見るようになりました。以前よりもディテールがはっきり見えるようになったし、子供の頃にロバニエミの図書館でなぜあんなふうに感じたのか、その理由が理解できるようになりました。構造や光の照明やスペースの使い方や、またアイノは材質を上手に使うデザイナーだったからその繊細さなど、今ではそのことがよく理解できます。そして、建物の自然との繋がりの素晴らしさは、映画で見るのも素晴らしいと思いますが、実際に訪れてみると自然との調和がはっきりと肌で感じられます。ですからぜひ機会があれば実際に訪れてみてほしいです。そう言う意味で建築への理解や気づきがありました。

そして他にも、アルヴァとアイノと言う二人の、非常にクリエイティブなコラボレーションの中にある葛藤、二人が成し得たこと、深いところでの繋がりといった面に関する理解がありました。私自身も、夫が俳優で私は監督であり、互いにプロフェッショナルでアーティスティックではあるけれど違う職業です。人間ですから皆不完全ですが、違う相手のことをお互いに理解するということを学びました。映画の中でも描いている二人の手紙のやり取りにはとても心を動かされます。

最後にもう１つ付け加えると、私の家にはアアルトの家具や照明がたくさんあるのですが、映画を制作した後は、よりそれらの存在を嬉しく感じるようになりました。デザインそのものの裏にある人間を感じて、椅子やランプをみる度にありがたい気持ちになります。私には子供が三人いて皆独立しているのですが、子供たちが家を出て行く際にアアルトのものをみんな持っていってしまうので今はそれが悩みです。

ラストは監督のサイン入りポスターの抽選会や、全員での記念撮影が行われ、暖かい雰囲気でイベントは終了しました。

次回予告

「映画『アアルト』フィンランドの自然と暮らしのデザイン建築めぐり８日間」ツアー

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私によくて、世界にイイ。～ ethica（エシカ）～
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ethica編集部