エコ・スタディツアーが持続可能な社会を創る、H.I.S.の鮫島卓さん テーマは「エシカル、持ちかえる」 「エシカルファッションカレッジ」開催(前編)
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エコ・スタディツアーが持続可能な社会を創る、H.I.S.の鮫島卓さん

H.I.S エコ・スタディーツアーデスク 鮫島卓所長

5月9日(世界フェアトレード・デー)、10日(コットンの日)、2日間だけのイベント「エシカルファッションカレッジ」が世田谷区のIID世田谷ものづくり学校(旧池尻中学校跡地)で開催されました。

昨年に引き続き今回で2回目となる同カレッジは、デニムブランド「Lee」を手がけるリー・ジャパンと世界の子どもたちを児童労働から守る国際協力NGO、特定非営利活動法人ACEを中心とする実行委員会が「エシカル、持ちかえる」をテーマに、講義や講演、実習(ワークショップ)、ファッションショー、映画などのさまざまな授業を通じて、作る人も着る人も、みんながハッピーになるサステナブルなファッションを考えようというものです。

2日間で1500人以上の来場

「去年は1日だけの開催でしたが、今年は去年の成功を踏まえてさらに内容を充実させ、エシカルの分野の幅を広げてプログラムに厚みを持たせました。このイベントが、ライフスタイルの中での衣食住のエシカルを考えるきっかけになってくれるのではないかと期待しています」

と、実行委員会事務局長の岩附由香さん(ACE代表)。

2日間で1500人以上の来場者があり、イベントは大盛況のうちに終了しました。

(右)エシカルファッションカレッジ岩附由香実行委員長(ACE代表)

エコ・スタディツアーが持続可能な社会を創る

講義の一つとして、エシカルな旅行を楽しむセミナー「旅は人を変え、社会を変える。」が行われました。講師を務めたのはH.I.S.の鮫島卓さん。エコ・スタディツアーデスクのリーダーを務めている方です。

エコ・スタディツアーとは、単なる観光を目的としたツアーとは異なり、途上国などさまざま国や地域の国際的、あるいは社会的な問題について学び、持続可能な社会を創ることを目的として企画された旅のこと。今回のカレッジでは、そうしたツアーの一つである「大草原モンゴル遊牧民交流5・6日間」の旅が紹介されました。

「モンゴルでは今、遊牧民が使用している昔ながらの移動式住居ゲルが減り、遊牧民が都市部に移住することで都市の過密化が進んだり、大気汚染がひどくなるなどの問題が起きています。そこで、このツアーは遊牧民が実際に生活しているゲルを訪ねて、遊牧民の暮らしを体験しながら遊牧生活の文化継承を支援することを目的としています。参加された方は、現地を訪ねることでしか得られないさまざまな貴重な体験をし、誰もが大きな感動を持って帰ってこられるようですね」(鮫島さん)

今回の講義に参加された方たちも、鮫島さんの話に熱心に耳を傾け、関心の高さをうかがわせていました。

H.I.S エコ・スタディーツアーデスク 鮫島卓所長

人が伝える力、それがいろいろなものを生み出す

H.I.S.がエコ・スタディツアーを始めたのは2008年。ちょうどその頃、バングラデシュ人の役員がいて、自分の国のためになることをしたいとダッカに支店を作りました。国内の旅行会社では初めてのことでした。

ところが、アジアの最貧国と呼ばれるバングラデシュには、これといった観光地がありません。そこで、バングラデシュの何が魅力なのかを調べてみることにしました。

「その時、初めてBRAC(ブラック)という従業員が10万人もいるNGOの存在を知ったのです。こんな世界があるんだと衝撃を受け、この事実を日本の人たちにも伝えたいと思ったのがスタディツアー誕生のきっかけです」(鮫島さん)

こうして、バングラデシュの社会貢献活動を学ぶ1週間のツアーがスタートしました。最初は参加者がなかなか集まらず、催行できないこともあったそうです。

しかし、参加した人たちが現地で受けた感動はことのほか大きく、その人たちの口コミで、ツアーは実施するごとに参加者が増えていきました。

H.I.S エコ・スタディーツアーデスク 鮫島卓所長(左)

「今、私たちがやっているエコ・スタディツアーは、若者の旅離れといわれる中で若い人たちに受け入れられ、参加された方たちが広げていってくれたと思っています。人が伝える力は、いろいろなものを生み出すんだなということを実感しましたね」(鮫島さん)

初めてのエコ・スタディツアーの開始から7年、現在では年間約40 のツアーがあり、利用者も増えています。

「世界」と「自分」がつながるツアー

今年は戦後70年という節目の年。戦争や平和を考えるいい機会でもあることから、この3月にはアウシュビッツに行くツアーが実施されました。

「一般の観光ツアーで行くとせいぜい半日なのですが、今回は現地にいる唯一の日本人公認ガイドである中谷さんにお願いし、1日かけてじっくり案内していただきました。その後、ツアー中に参加者同士での『振り返り』をやるのですが、実はエコ・スタディツアーではこの『振り返り』というプロセスがとても大事なのです。どう思ったのか、何を考えたのかを発表し合うことで、参加している皆さんが成長し、自分自身を高めていく。それがエコ・スタディツアーの醍醐味だと思っています」(鮫島さん)

H.I.S エコ・スタディーツアーデスク 鮫島卓所長

『振り返り』はツアー中だけではなく、帰国してからも続くことが多いそうです。そして、ツアーに参加した人が「今度はこんなツアーをやりたい」と提案してくることも珍しくなく、実際に実現したケースも多々あるといいます。

単なる観光だけで終わってしまうツアーではなく、「世界」と「自分」がつながるきっかけになるのがエコ・スタディツアーのいいところ。あなたも一度参加してみてはどうでしょう?

「エシカルファッションカレッジ」Photo Gallery

お茶の水女子大学附属高等学校教諭 葭内ありささんの授業風景

購買部(ショップ)の様子 INHEELS共同代表岡田有加さん

ブルックリン発のアクセサリーブランドMUJUS(ムフス)

カラフルな色使いが特徴、素材は椰子の種子だそう。

廃校になった校舎の廊下で行われたエシカルファッションショー

個性的なデザインのウエディングドレスが目を引きました。

今回の「エシカルファッションカレッジ」では、エコ・スタディーツアー以外にも多くの企業や団体が参加し、さまざまな講義や実習、視聴覚イベントが行われました。後編では、エシカル・ガーデニングについてご紹介します。

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記者 清水 一利(しみずかずとし)
1955年千葉県市川市生まれ。明治大学文学部(史学地理学科日本史専攻)を卒業後、1979年、株式会社電通PRセンター(現・株式会社電通パブリックリレーションズ)に入社。クライアント各社のパブリシティ業務、PRイベントの企画・運営などに携わる。1986年、同社退社後、1987年、編集プロダクション・フリークスを主宰。新聞、雑誌(週刊誌・月刊誌)およびPR誌・一般書籍の企画・取材・執筆活動に従事。2012年「フラガール3.11~つながる絆」(講談社)、2013年「SOS!500人を救え~3.11石巻市立病院の5日間」(三一書房)を刊行。

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
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清水 一利

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