好きを仕事にした女性たち 松丸佳穂さん・今尾礼子さん【ethica woman】
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好きを仕事にした女性たち    松丸佳穂さん・今尾礼子さん【ethica woman】

左:今尾礼子さん、右:松丸佳穂さん

【ethica Woman】は、働く女性がキャリアを積む過程で考えてきたこと、仕事をする上で知ってほしいことを、様々な女性に聞いて紹介するシリーズです。

 

第3回目は、「子どもの教育が世界を変える」という信念の元、サンフランシスコで創業した国際NGO「ルーム・トゥ・リード」の日本法人で働く二人の女性、事務局長の松丸佳穂さんと今尾礼子さんのお二人に、お話を伺いました。

すべては素晴らしい出会いと「楽しさ」からはじまった

—-お二人ともルーム・トゥ・リードの専任職員になる前に、企業にいながらボランティアをされていますね。

松丸佳穂さん:「出版社勤務の時に知人に誘われて、南アフリカ大使館で開催されていたパーティに参加したことが、ルーム・トゥ・リードとの出会いのきっかけです。創始者であるジョン・ウッドのプレゼンテーションも聞いたのですが、何よりもそのパーティが衝撃的でした。パーティはすべてボランティアで運営されていて、ワインなどもすべて提供によるもの。ラッフルチケットが1万円で売られていたり、クレジットカードで30万円程の寄付をする人がいたり。見るものすべてが新しかったんです。そこから3年ほど、企業勤めの傍ら、広報の共同リーダーとしてルーム・トゥ・リードの活動に参加しはじめ、2010年に日本法人の事務局代表として、日本事務所の立ち上げを行いました。」

今尾礼子さん:「私は2007年の末に創業者であるジョン・ウッドの本を読んだ事がボランティアに応募をするきっかけでした。当時、私は一年間のフランスでのMBA留学を終え、ちょうど戦略コンサルティング部門へ異動したばかりで、出張も多く多忙な時期でした。フランスでの留学で『自分にはいろんなことをやる可能性が広がっているんだ』という気持ちになっていたこともあり、違うことをやる時間を持たないと、と思ったのです。その“何かしたい思い”がルーム・トゥ・リードでのボランティアと繋がりました。このボランティアでの新しい出会いと経験がとにかく楽しかったのです。多忙な中でも、楽しいことには時間が作れるんですね。仕事から帰ってきてからや週末に、ボランティアの活動をしていました。ルーム・トゥ・リードが行っている美をテーマにしたチャリティ・イベント”サロン・ド・ボーテ“という企画があるのですが、その2回目の企画を担当しました。ちょうどその頃、ミス・ユニバース・ジャパンの公式栄養コンサルタントであるエリカ・アンギャルさんが本を出版されていて、エリカさんを招く企画を立てたのです。エリカさんにお願いできるツテがあったわけではないのですが、ルーム・トゥ・リードのボランティアが持つネットワークできっとつながれるだろうと思いました。実際、エリカさんにお願いすることができ、企業パートナーも見つかって、開催できたのですが、そのイベントのボランティアが本当に楽しかったんです。」

 

 −−− 企業を退社し、専任職員になるほどに心が動かされたきっかけはなんでしょうか。

 松丸さん:「ルーム・トゥ・リードでボランティアをして3年程たち、日本事務所の立ち上げのための専任職員の公募が始まりました。でも立ち上げが大変なのは今までの仕事でも身にしみてわかっているし、外資系の会社でも働いたことがなく、応募はせずにいました。そうすると、公募の最終日に、CEOであるエリン・ガンジュからメールをもらったのです。そこには、『お金の面では満足のいくものは提供できないかもしれないけれども、でも私はここに来たことを全く後悔していないし、あなたにも後悔はさせないわ』ということが書いてありました。そのメールの内容に突き動かされて、慌ててレジュメを書きました。思えば、ずっと迷っていたのだと思います。でもメールを見た後は、すぐ決めましたね。」

今尾さん:「私も3年程ボランティアを経験してから専任スタッフになっています。コンサルタントとして忙しく働いていた時は、『100%の力が出せているのか』という疑問や常識に常に苛まれていましたね。自分は本当に仕事に熱中できているのかと常に考えていました。ルーム・トゥ・リードでのボランティア経験が“好きな事を探す期間”になっていたのだと思います。その頃には、自分が“キャリアを積む事”や“お金を稼ぐ”ことにモチベーションを感じるのではなく、“自分が楽しみながらすることが誰かの役に立つということに感動する人”なんだということが分かっていました。そんな頃、公募があり、チャンスだ!と思って応募しました。」

仕事とプライベートが交じり合うように

−−− 実際、専任職員になられてどうでしたか?

松丸さん:「半年くらいは本当に大変でしたね。オフィスもなく、文化も違う。また日本での専任職員が初めてだったので、あらゆる人からいろんなオーダーが来ました。最初は誰に何をお願いしたらいいのかも分からない状態で、すべて一人でやらなくてはと気負いもありましたね。そんなとき、知り合いのコンサルタントに相談したんです。相談する中で、何が優先順位なのか、誰に何を頼めばいいのかがクリアになりました。それからはだいぶ楽になりましたね。特にルーム・トゥ・リードは、CEOであるジョン・ウッドとエリン・ガンジュの二人のリーダーが常に成長し続けていて、ビジョンが明確であり、ストラテジックでいつも刺激になっています。同じ事を続けるのは性格にあわず、常に新しいことや面白い事を考えている私にとって、すごくあっている組織だと思います。実際、NPO業界という意識は今もあまり持っていなくて、会社と同じように運営しています。」

今尾さん:「常にボランティアの人と一緒に活動しているので、感覚としては専任になってもあまり変わっていません。ただ、自分の時間や生活スタイルが自分で選べるようになったのがうれしいですね。今までは仕事とプライベートをどう分けるかを常に考えていましたが、専任になってからは仕事とプライベートが交じり合うようになったというか、分ける必要がなくなりました。」

「楽しく」「意味があること」を大切に

——— 今の仕事で大切にしていることは何ですか。

松丸さん:「アメリカは寄付のマーケットがすごく大きいですが、日本はまだマーケットを作っていく段階にあります。“寄付をする”という行為をいかに自分にとって“楽しく”“意味があること”にするかを大切にしていますね。例えば、ここ4年程実施している『Beers for Books』というイベントがあるのですが、これは各レストランにご協力頂いて、一杯飲んだら100円(本一冊)が寄付されるイベントです。参加者は+αを支払わずに、社会貢献ができるのです。東京のボランティアスタッフのアイデアで開催されたのですが、今では世界中に広がり、1700万円以上、つまり17万冊が支援されています。また、2008年より実施されている「サロン・ド・ボーテ」は、まじめな勉強会ではなく、楽しみながら社会貢献しようと考えられた美をテーマにしたイベントです。これは女性限定なのですが、いらっしゃる人の満足度が高く、企画の面白さで来てくれています。ボランティアリーダーの方の好きなものを尊重しつつ、参加者が「楽しめる」イベント作りが大切だと考えていて、ヨガや金融など様々なテーマでファンドレイジングイベントを開催しています。」

目の前のことを一生懸命やる中に、出会いや宝物が転がっている

—- 働き方について考える女性たちになにか一言ありますか。

松丸さん:「私自身、5年前にこんな人生があるなんて思ってもいませんでした。ただ一つ言えるのは、今までやった編集や広報、秘書の仕事の何一つ無駄ではなく、役に立っているということです。キャリアは、人との出会いで変わっていくし、目の前のことを一生懸命やることで、また出会いがあり、宝物が転がっているんだと思います。やりたい事がある人は一握りで、やりたいことがないことはいけないことではありません。先を見て不安になるのではなく、まずは行動を起こす事。興味があり、自分が心地いい方向に向かっていく事で、見えてくる事もあると思います。夢を見て、それを人に伝えてみたり、発信することも大事ですよね。それが形になっていくと思います。」

今尾さん:「企業からNPOに転職したことで、どうしたらNPOに転職できるのか?という質問や、20代〜30代の方から「このままでいいのでしょうか」という悩みを相談されることがあります。自分自身の経験から思うのは、自然な流れの中で楽しめていた事が仕事になった、ということです。まずは、自分の時間の一部を好きな事に割り当てていく、心ひかれるものやセミナーに行ってみる。そうすることで、焦らなくても自分にあっている場所にたどり着くことができるのではないでしょうか。」

 −−−インタビュー中ずっと感じていたのが、お二人がお仕事や自分自身のことについて本当に楽しそうに、目をキラキラさせながらお話されているということでした。本当に仕事が楽しいんだなあというのが、その姿からにじみ出る程に伝わって来たのです。仕事を楽しくできる、というのは本当に強いなあと実感しました。貴重なお時間ありがとうございました。

<松丸佳穂さんご経歴>

早稲田大学第一文学部を卒業後、リクルート入社。広報、結婚情報誌の編集・企画、世界文化社・社長室を経て、現職。父親の仕事の関係で、ルーマニア、ロシア、イギリスで育ったことから、読書や教育の重要性を身をもって体験している。2007年、サポーターで組織された東京チャプターたちあげ時より広報の共同リーダー(ボランティア)として活躍。2010年1月にルーム・トゥ・リード初の日本人職員として採用され、日本事務所を立ち上げる。

<今尾礼子さんのご経歴>

早稲田大学教育学部を卒業後、日本IBM入社。金融サービス事業、ソフトウェア事業を経て、戦略コンサルティング部門へ。主として業務改善やグローバルビジネスの戦略策定などのプロジェクトに参画。2007年末からサポーターとして、ルーム・トゥ・リードのはじめての日本語Webサイト構築に参加した後、チャリティ・イベントの企画・運営等を行う。2011年6月より現職。

ルーム・トゥ・リード

開発途上国の何百万という子どもの人生を、読み書きの習得と男女平等の教育機会から変えていく国際的な組織。2000年の創設以来、これまでに780万人以上の子どもたちを支援している。http://japan.roomtoread.org/

 

ルーム・トゥ・リードについてもっと知りたい方にオススメ!

ルーム・トゥ・リード勉強会 〜Meet the Supporter〜

2013年11月12日(火) 19:00〜21:00

JICAちきゅう広場202ABセミナールーム

(住所 〒162-8433 東京都新宿区市谷本村町10-5)

http://roomtoreadjapan.org/2013/11/12

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)〜
http://www.ethica.jp

Harumi Miyazaki

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