私が究極のエピソードだなと思ったのは、田中チーフエンジニアは、社長が社員に1人1人の立場で世の中をよくするため、皆様を笑顔にするためには何ができるかを考えてほしいといったことを受けて、自分にできることは何だろうと考えて思いついたのが外部給電、FCで作った電気を、皆さんに供給することだったということです。
自分以外の誰かのために、“YOU”の視点でこのクルマが社会でより役立つために、社会の公器として給電機能を持たせる決断をしました。給電機能があれば、災害の時に乗っていって、困っている皆さんに電気を供給させていただくことができます。まさにトップの考えに迫り、自ら仕事のやり方を変え、スペックまで変えたというエピソードです。
トヨタは、これからも1人1人が“YOU”の視点、SDGsの視点で仕事の目標や進め方を見直し、ステークホルダーの皆様と連携してカーボンニュートラルというチャレンジングな目標に向け、全力で取り組んでいきます。
トヨタはグローバルに、さまざまな地域でビジネスをさせていただいています。日本のように再生エネルギーの導入がまだ進んでいない国など、エネルギー事情は国によって違っています。また、モビリティの使い方も違います。それぞれの方が、それぞれの地域で環境にとってベストなソリューションを少し先ではなく、今から選んでいただけるように全方位の電動化戦略をとっています。
また、50年というゴールに向かう過程では、多くの課題が想定されます。ステークホルダーの皆様とともに、1つ1つ解決していけるように長年環境に取り組んできたトヨタだからこその力を発揮し、リアルに動いていきたいと考えています。
さて、再び「私たちは動く」です。元旦から放送開始となったテレビコマーシャルでも使われておりますが、実は自動車業界以外の方からも「元気が出た」「自分も頑張ろうと思った」といった、ありがたい反響をいただいています。
トヨタフィロソフィーのビジョンは「可動性を可能性に変える」ということだとご紹介しましたが、この可動性には1人1人が行動を起こすという意味も込められています。自動車業界の550万人だけではなく、皆様と一緒に連携して動き出せば、風が生まれ、景色が変わり、明日に近づくと信じています。ぜひ今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。本日はありがとうございました。