美しき理系アーティスト、スプツニ子!さんに伺いました!(前編)「質の高い教育をみんなに」
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美しき理系アーティスト、スプツニ子!さんに伺いました!(前編)「質の高い教育をみんなに」

photo by Mami Arai

9月22日(日)〜29日(日)のSDGs週間(*)にフェイスブック ジャパンが開催している「Facebook Fundraisers for SDGs」で、「質の高い教育をみんなに(SDGsの目標4)」を達成するため、アメリカのNPO団体「Girls Who Code」への募金キャンペーンを立ち上げたスプツニ子!さんに、今回の募金キャンペーンに賛同した理由や、最近の作品について、さらには、日本の女性活躍における課題についてお聞きしました。

(聞き手:ethica副編集長・萱島礼香)

(*)毎年9月末の国連総会の会期と合わせた1週間は、持続可能な開発標(SDGs)の推進と達成に向けて意識を高め、行動を喚起する「SDGs週間(グローバル・ゴールズ・ウィーク)」。

多くの女性エンジニアが出てきてほしい

萱島: はじめまして、webマガジンのエシカ副編集長の萱島と申します。エシカル、サステナブルなどに関心が高い20代から30代の女性読者が集まるライフスタイルマガジンとなります。スプツニ子!さんは世界を股にかけてご活躍されていますが、ばりばりのリケジョにしてアーティストでいらして、ロールモデルにしたい若い女性がたくさんいるのではないでしょうか。色々とお話をお伺い出来ればと考えております。

スプツニ子!さん: よろしくお願い致します!

萱島: 今回Facebookの募金キャンペーンで寄付先に選ばれた「Girls Who Code」は、アメリカのNPOで、日本でいえば中高生にあたる年齢の女子学生にプログラミング教育を無償で提供する団体だそうですね。こちらを支援したいと思った理由は何でしょう?

スプツニ子!さん: 自分自身プログラムを中学のころから書いていて、大学でも数学とコンピュータサイエンスを勉強して、実感したことがあったんです。女の子と男の子って可能性は無限大なのに、バイアスで、与えられるおもちゃだったり親が与える言葉や社会からの言葉で、プログラミングをすることやエンジニアリングをすることは、女の子よりは男の子に向いているというステレオタイプが蔓延していて。聡明な女の子は中学や高校にもいっぱいいたのに、あまりプログラミングに進まないというか、そういうバイアスの存在を感じていました。

いざ私が勉強して実際にプログラマとして働いて、テクノロジー業界と関わっていくと、テクノロジーはいま世界の色々な仕組みとか本当に様々なことを変えられる中心的なものなのに、そこには女性をはじめとした多様な人が関わっていない。例えば、イギリス・アメリカではエスニックマイノリティが少ないというのがあります。

そういうことが起きると、新しく生み出される未来が、男性目線でデザインされちゃうんですよね。私自身、女性としての社会での生きづらさがあったり、経済とかビジネス的な部分が、法律とか政治とかもそうですけど、男性中心に作られてきていると感じます。それによって女の人が、例えば夫婦別姓や緊急避妊ピルなどの問題とかもそうですけど、非常に難しい思いをしている。これがさらに進行しないようにするには、テクノロジーやサイエンスの世界にもっと多くの女性に入ってきてほしい。そういう気持ちはずっと昔から持っていました。「Girls Who Code」はまさにその活動をしている団体なんです。

萱島: 男性/女性だから向いているとかではないと。やっぱり、機会を早い段階から分け隔てなく与えてあげるというのはすごく大事なことですよね。

スプツニ子!さん: そうですね、コードを書くというのがクールであるという風になるといいなと。幼い頃から、男の子はレゴ、女の子はバービー人形、みたいなおもちゃを与えられて、女性は美しく可愛くあるのが素敵だというような教育をテレビ・メディア・社会、ややもすると親が子供にしてしまうので。だから女の子がエンジニアをやるのがクールであるっていうのを広めたいですね。

萱島: 逆もしかりで、男の子もピンクは女の子みたいでヤダとか、お互いにそういうのがなくて、好きなものを自由に手に取ってもらえるといいですよね。

 

女子学生が育成した「完璧な男性医師」をドローンで出荷!?

スプツニ子!+ 西澤知美 東京減点女子医大 / Tokyo Medical University for Rejected Women

スプツニ子!+ 西澤知美 東京減点女子医大 / Tokyo Medical University for Rejected Women

スプツニ子!+ 西澤知美 東京減点女子医大 / Tokyo Medical University for Rejected Women

萱島: 2018年8月、東京医科大学が一般入試で女子受験者の得点を減点し、合格者数を抑えていた事件を背景に、日本の女性差別問題を皮肉と風刺をこめて作品化したプロジェクト『東京減点女子医大』。今年2月にNYのギャラリーで、東京では5月に六本木アートナイトで発表されましたね。女子学生が育成した「完璧な男性医師」をドローンで世界中の病院に出荷するというのが最高にシュールでクールです!NYと東京、それぞれどんな反応でしたか?

スプツニ子!さん: NYでは、大学が組織的に女性を理由に減点するなんて、しかもこの時代に先進国で行われているなんて信じられないという反応でした。作品はスキャンダルを元にしたフェイクの大学だったんですが、このスキャンダル自体、どこがリアルでフェイクか、わからない。そんなことがあり得るのかって。

日本での反応で興味深いのが、男性のうち、東京大学の学生とか、先生をしているような有識者の方の発言で気になったことがありました。減点することは問題がないけど、それを公表しなかったことが問題だっていう人たちがいるんですね。私立の大学なんだから女性を減点したかったら別にいいじゃないかと。実際に女性は早くに辞めるし、医大が男性を欲しいと思って限定して何が悪いのか、女子大だってあるのだし。というようなスタンスがある。それに私はビックリしちゃって。 きっとこの人達は、性別みたいな生まれ持った属性でその人の生き方とか機会を組織的に奪われるという体験がないので、他の人の気持ち、属性によって機会を奪われている人の気持ちが想像できないんでしょうね。むしろ、それは喜んで奪われているんじゃないかとか、喜んで女性は家にいるんじゃないかとか思っている。日本ではそういうことを感じました。

萱島: それが当然だね、って思えるような理由があるんでしょうね。育ち方なのか、価値観が作られる何かが。

「東京減点女子医大」のプロジェクトではロゴやIDカードも作られましたね。医大をめざす女の子がグッズを持っていたりしたらかっこいいと思うのですが、今後更なる発表やグッズ展開などお考えですか?

スプツニ子!さん: 来月10月26日から、日本橋のコレド室町で開催される東京ビエンナーレで展示します。日本語版の大学案内も作るので、展覧会では配布します。それから、東京芸術大学の学長さんと対談したんですよ。私は東京減点女子医大の学長なので、学長対談です!その対談のまとめも無料でお配りします。

(後編に続く)

美しき理系アーティスト、スプツニ子!さんに伺いました!(後編)「日本の女性活躍における課題」

スプツニ子!(アーティスト/東京芸術⼤学准教授)

東京都⽣まれ。ロンドン⼤学インペリアル・カレッジ数学部卒業後、英国ロイヤル・カレッジ・オブ・アート(RCA)修⼠課程修了。2013年よりマサチューセッツ⼯科⼤学(MIT)メディアラボ助教としてデザイン・フィクション研究室を主宰し、2019年より東京芸術⼤学准教授。2017年に世界経済フォーラム「ヤング・グローバル・リーダー」、2019年にTEDフェローに選出。

photo by Mami Arai

ethica副編集長:萱島礼香

法政大学文学部卒。総合不動産会社に新卒入社。「都市と自然との共生」をテーマに屋上や公開空地の緑化をすすめるコミュニティ組織の立ち上げを行う。IT関連企業に転職後はwebディレクターを経験。主なプロジェクトには、Sony Drive、リクルート進学ネットなどがある。その後、研究機関から発足したNPO法人に参加し、街の歴史・見どころを紹介する情報施設の運営を担当した。2018年11月にwebマガジン「ethica」の副編集長に就任。

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

萱島礼香

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