【ethica編集長対談】「ECOALF」創業者 ハビエル・ゴジェネーチェ氏
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【ethica編集長対談】「ECOALF」創業者 ハビエル・ゴジェネーチェ氏

スペインのファッションブランド「ECOALF」の日本第1号店が20203月、東京・神宮前にオープンすることになり、先日、都内でその発表会が行われました。

ECOALF」は世界中で脱プラスチックの動きが広がる中、環境を守りながらペットボトルや漁業用の網などといった海洋プラスチックごみを再生して作った機能的な衣類や靴、かばんなどを発表、今ヨーロッパを中心に大きな注目を集めているブランドです。

今回は「ECOALF」の創業者ハビエル・ゴジェネーチェ氏と「ethica」編集長の大谷が対談しました。

海のアップサイクル

大谷 ウェブマガジン「ethica」編集長の大谷と申します。今日はよろしくお願いします。

ハビエル氏 こちらこそよろしくお願いします。

大谷 まず「ethica」の紹介をさせてください。「ethica」は読者の7割が女性で、サステナブルなライフスタイルに興味を持っている人が多いです。

ハビエル氏 年齢層はどのくらいですか?

大谷 20代・30代がメインですが、創刊して7年目になるので最近では40代も増えてきました。

ハビエル氏 なるほど。分かりました。

大谷 今日はハビエルさんに、2つのテーマでお話を伺いたいと思っています。1つ目はフィロソフィー、2つ目はプロダクトデザインについてです。

まずフィロソフィーですが、海のアップサイクル、これについて世界中の誰に聞いても、海をきれいにしたいということに反対する人は1人もいないと思います。ですから、私もすごく共感します。

最近ですと外務省にお伺いして、海洋プラスチックの問題などについて記事を寄稿していただきました。

ハビエル氏 それは素晴らしいですね。

大谷: ハビエルさんもご存知のように、日本人は昔から魚をよく食べます。魚が獲れなくなったら本当に困ります。ですから、海をきれいにしなくてはいけません。

ハビエル氏 ふむふむ。

海を豊かに

大谷 この6月には大阪でG20がありましたし、2050年までの目標を掲げています。

日本では今、SDGsが注目されています。その中に海を豊かにという目標があり、海洋プラスチックの問題は大きなテーマになっています。

ハビエル氏 その通りです。日本人にとって海洋汚染の問題は何よりも重要なテーマになると思っています。

日本人は、サステナブルに関心があると思いますか?

大谷 若い世代はあると思いますね。まだまだ欧州に比べると劣っているのではないでしょうか。今、キャッチアップしている最中ですね。

日本は戦争に負けて、その後、復興して経済成長を遂げたのですが、その時には公害もありました。

ハビエル氏 なるほど。

海はもっともっときれいになるべき

 大谷 僕が子供の頃、日本の海は今よりもずっと汚くて、少しずつ改善はしていますが、もっともっときれいになるべきだと思います。

ハビエル氏 海は流れるということが問題なのです。必ずしも日本人が排出したとは限らないものが日本の海に流れ着いてきますからね。

大谷 僕も少し前まで海洋プラスチックの問題は、全く知りませんでした。日本ではここ2年くらい、特に今年になってから、海洋プラスチックの問題、例えば、マイクロプラスチックの問題がメディアで最も注目されるようになってきました。

ハビエル氏 マイクロプラスチックは目に見えないから怖いのです。

2の地球はないのだから・・・

大谷 「ECOALF」の「Because there is no planet B (2の地球はないのだから) 」というコンセプトはとってもいいですね。僕は大好きです。

ハビエル氏 ありがとうございます。

大谷 フィロソフィーがいいですね。日本でも共感する人が多いと思います。無理なく始められる活動だと思います。

ハビエル氏 「第2の地球はないのだから」というメッセージはとてもシンプルで、その意味では誰にも分かりやすいのではないでしょうか。選んでいただくのは、当然、消費者の方ですから、少しずつだとは思いますが、より良い社会にシフトしていけばいいかなと考えています。

コーヒーの滓(かす)も再利用

大谷 2つ目の質問です。発表会では、プロダクトデザイン、コレクション、マテリアルデザインについていろいろとお話を伺いましたが、デザインに関してかなり力を入れていらっしゃることがよく分かりました。

今日のハビエルさんのお話の中に、僕が興味を持ったのはコーヒーの滓が利用できるということでした。そういう使い方があるんですね。

ハビエル氏 コーヒーの滓には防臭効果、消臭効果があることが分かりました。そこで、靴のインソールとかさまざまなところに利用できるのではないかということで、今、研究を進めています。

大谷 プラスチックといった化学的なものではなくて、天然のものもリサイクルできるというのは素晴らしいことですね。

ハビエル氏 はい。ありがとうございます。

 ヨガのウエアに注目!普段着にもオススメ!

大谷 日本でも、この15年くらいで女性の間でヨガが定番になりました。「ethica」でもこれまでに何度かヨガを特集してきましたが、女性の習い事としていちばん多いのがヨガなんです。その意味でいいますと、先ほどの展示会で拝見しましたが、ヨガのアイテム、いいですね。これはお勧めです。

ハビエル氏 ありがとうございます。ヨガをやらない女性でも、ジョギングとか公園にお散歩に行く時とかにも着ていただけるアイテムではないかと思っています。

私によくて、世界にイイ。

大谷 最後に、もう一つお聞かせください。「ethica」のメインコンセプトは「私によくて、世界にイイ。」、「Good for Me, Good for the world」です。ハビエルさんにとっての「Good for Me, Good for the world」とは?

ハビエル氏 地球が汚くなっているのに、会社の業績が上がっていればいいということはあり得ません。両方が一緒にうまくいくというのがいちばんです。

例えばペットボトルをやめて、マイボトルを持つようにするとか11人が自分にとっていいことをやっていれば、それが小さなものであっても、たくさん集まれば大きな変化、とてもいい変化になる。私はそう信じています。

大谷 本日は貴重なお時間ありがとうございました!

ハビエル氏 こちらこそ、ありがとうございました!

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聞き手:ethica編集長 大谷賢太郎

あらゆる業種の大手企業に対するマーケティングやデジタルの相談業務を数多く経験後、2012年12月に『一見さんお断り』をモットーとする、クリエイティブ・エージェンシー「株式会社トランスメディア」を創業。2013年9月に投資育成事業として、webマガジン「ethica(エシカ)」をグランドオープン。2017年1月に業務拡大に伴いデジタル・エージェンシー「株式会社トランスメディア・デジタル」を創業。2018年6月に文化事業・映像事業を目的に3社目となる「株式会社トランスメディア・クリエイターズ」を創業。

創業8期目に入り「BRAND STUDIO」事業を牽引、webマガジン『ethica(エシカ)』の運営ノウハウとアセットを軸に、webマガジンの立ち上げや運営支援など、企業の課題解決を図る統合マーケティングサービスを展開。

ーーBackstage from “ethica”ーー

世界6位の面積を持つ海洋国家・日本。そして、海の幸は日本の食文化です。世界有数の観光大国になることを目指す日本にとって、海の美しさは重要なファクターであることは間違いありません。周辺国含め海洋汚染の問題解決が一歩づつ進む事を望みます。

Upcycling the Oceans – Javier Goyeneche (ECOALF)

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

ethica編集部

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