(第44話)「毎日の暮らしのなかに少しの学びを取り入れて。働き方も生き方もよりサスティナブルな方向へ(後編)」キコの「暮らしの塩梅」
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(第44話)「毎日の暮らしのなかに少しの学びを取り入れて。働き方も生き方もよりサスティナブルな方向へ(後編)」キコの「暮らしの塩梅」

「私によくて、世界にイイ。」が実現できる、エシカルな暮らしのカタチってなんだろう。仕事に家事に育児に……。日々生活を回すだけでも大変な私たちにとって、新しく行動を起こすのはエネルギーも時間も使うし、ハードルが高く感じてしまうもの。

でも日々の暮らしのなかで、少しでも”良い”につながることができたら?

当たり前の毎日のなかで、大切な家族も、世界も、そして私自身もほんのちょっぴり幸せになるような選択をしていけたらいいなと思うのです。

第43話では、環境問題を知る上で大切な「学び」についてお話ししました。

今回の記事では、自分にあった方法で、無理なく暮らしのなかに学びを取り入れていくヒントをお伝えできればと思います。

身近なことから”学び”を

環境問題は、私たちの日々の暮らしとつながっています。

ですが、普段使っているモノや食べ物がどこからどのようにしてやってきているのか、それを作っているのはどのような人や会社なのかなど、実際につながりを感じることはなかなか難しいのが現状です。

 

つながりが見えにくいから、自分ごととしてとらえにくい。

だからこそ、身近なことを切り口に「知ること」が大切ではないかと感じています。

 

たとえばファッションに興味があれば、エシカルファッションを切り口に、それをテーマとした映画を観てみる、実際に商品を買ってみる、その商品を作っている企業を調べてみるなど。

まずは自分の興味があることから、ルーツを調べてみたり、モノを買うときには環境に配慮した製品を買うことを意識するのも一つの方法です。

 

ほかにも本や論文を読む、動画を観る、ボランティア活動やイベントに参加する、講座やオンラインセミナーを受ける、フィールドに行ってみる、ネットで検索する、などなど学びのかたちにはいろいろな方法があります。

私の原体験

第7話「食品ロスのこと」でもお伝えしましたが、私が環境問題に興味を持ったきっかけは、高校生のころに行った労働実習先のビュッフェ形式の飲食店で、大量の食べ残しを見たことでした。

自分で食べる量を調整できるビュッフェスタイルなのに、お皿に残った料理を当然のようにゴミ箱に捨てていくお客さんの姿が当時の私にとっては衝撃的で、

 

・どうして当たり前のように食べ残してしまうんだろう?

・もしこれが外食産業で当たり前のことだとしたら、1日にどれくらいの食べ物が廃棄されているんだろう?

・そういえば自分の家でも、賞味期限切れの食べものや傷んで捨ててしまう野菜もあったな……。

 

と、さまざまな疑問が浮かび、食にまつわる問題を調べたことがきっかけで環境問題へと関心が広がったのです。

 

通常、ゴミは、袋にまとめて決まった曜日に出せば自治体が回収してくれます。

そのことが当たり前で、回収されたゴミがどうなるのか、1日にどれくらいのゴミが出ているのかなどとは、よっぽど意識しなければ考えたりしないのではないでしょうか。

 

そのようなことは、ゴミに限らず身の回りにあるさまざまなことに共通しています。

便利になりすぎた現代だからこそ、見えにくくなっている物事のつながりを意識してみると、これまでの「当たり前」の見え方が少し変わるかもしれません。

 

私の場合は食やゴミの問題でしたが、自分の興味があることを切り口にして環境問題と結びつけ、それについて理解を深めるのに役立ちそうで、自分にとって親しみやすい本や動画を読んだり観たりすることで、「自分ごと」と捉えつつ、無理のないかたちで学びを取り入れていけるのではないかと思います。

難易度別・学びのかたち

学びの方法はたくさんありますが、そのなかからいくつか簡単にご紹介したいと思います。

 

・難易度(★☆☆):映画や動画を観る

一番気軽に取り組めるのは、映画や、わかりやすくまとめられた動画をYouTubeなどで観ることだと思います。

 

環境問題や社会問題などのテーマは、映像で観るとインパクトが強く、よりリアリティを感じやすいのではないでしょうか。そこで描かれていることが問題に対する回答とは限りませんが、強いメッセージが、それらの問題に関心を持つきっかけになることも多いと思います。

『いのちの食べかた』(2005年)

私たちが口にしている食べ物はどこからどのようにして来るのか、農業、畜産、食肉加工など現代のさまざまな食の生産現場の実情を淡々と切り取っていくドキュメンタリー作品。食のあり方について、深く考えさせられます。

 

『ザ・トゥルー・コスト〜ファストファッション 真の代償〜』(2015年)

安さの裏側にある「代償」を描いた作品です。バングラデシュの縫製工場が入ったビルの倒壊で千人以上の人が亡くなった事故をきっかけに、製作されました。

労働者搾取の問題だけでなく、ファッション業界は、石油業界に次いで環境汚染の原因を生み出していると言われています。安さや流行を求め続けることが、本当の幸せにつながるのか……。行き過ぎた消費社会のあり方への警鐘、これからの未来で何を大切にするのか問いかける作品です。

 

ほかにも『不都合な真実』(2006年)、『デイ・アフター・トゥモロー』(2004年)、『ブルー・ゴールド〜狙われた水の真実』(2010年)など、環境問題について深く考えさせられる作品はたくさんあります。サブスクリプションなどを利用すれば、より幅広いジャンルのものを楽しめます。

 

気になるワードに「SDGs」や「環境問題」などの単語を掛け合わせて検索すると、そのテーマに沿った動画がたくさん出てきます。ぜひ、気になったものから観てみてください。

・難易度(★★☆):本や雑誌を読む

SDGsについてまとめられた本は、子ども向けのものから専門書までたくさん出ています。

イラストや図を多く使い、わかりやすく書かれたものであれば、隙間時間でも気軽に読めるでしょう。なお本はできるだけ引用や参考文献が確かなもの、著者がどのような立場の人(研究者・学者など)なのか明らかなものを選んで読むことが大切です。

『気候変動の時代を生きる』(永田佳之・編著/山川出版社)

以前もご紹介したことがありますが、この本は気候変動やSDGsの基本的な知識をはじめ、世界の状況もデータを使ってわかりやすく説明されていて、各国のさまざまな立場の人が実践している取り組みを知ることができます。「教育」の重要性が説かれていますが、扱う内容は幅広く、暮らしのなかで役に立つ具体的な例もあります。生活を見直したり、SDGsを取り入れたりするきっかけにもなります。

『プラスチック・フリー生活 今すぐできる小さな革命』(シャンタル・プラモンドン、ジェイ・シンハ・著 服部雄一郎・訳/NHK出版)

プラスチックが環境に与える影響は深刻だという話はよく見聞きしますが、実際にどんな影響があるのか、生活からプラスチックをなくすことは可能なのか、エコバックやマイボトル以外に「プラスチックフリー」を暮らしのなかでどうやって取り入れていけるのか、などプラスチックにまつわる疑問がわかりやすく書かれた一冊です。

・難易度(★★★):さらに詳しい本や論文を読む。イベント、セミナーなどに参加する

興味を持って読んだ本の参考文献から、次の本や論文をたどって読んでいくのもオススメです。

『沈黙の春』レイチェル・カーソン(1962年)

60年ほど前に人間の身勝手な行動によって起こりつつある環境問題に警鐘を鳴らした、バイブルとも言えるくらい有名な作品のひとつです。

古い本ですが、現代においてもその問題は基本的には変わっておらず、今読んでも考えさせられることがたくさんあります。

 

また、イベント、セミナー、ボランティア活動など、実際に人びとが集まることは、このコロナ禍で難しくなっていますが、オンラインでのイベントやセミナーはどこでも参加することが可能なので、逆にこの機会を利用して、いろいろな考え方に触れてみるのはいかがでしょうか。

本や映画からは得られにくい最新の情報に接したり、新しい人と出会ったり、またさまざまな考え方などに触れる機会となり、環境や社会の問題について、より深く自分ごととして考えるきっかけが得られるでしょう。

暮らしのなかに学びを

環境問題をはじめ社会をめぐる問題は、さまざまな要因が複雑に絡み合っています。

あまりにも大きい問題に無力感を感じたり、情報量の多さや意見の違いに、何が正しいのかわからなくなったりすることもあると思います。

 

「人の数だけ正解がある」とはよく言いますが、学ぶことによって、いい意味で、絶対的な正しさや誤りがわからなくなっていくこともあります。

これからますます、変化の多い不確実な時代になっていくでしょう。そんな混沌とした世の中でも、自分なりに問題を理解して、よりよい判断をしていく、その手助けをしてくれるのが学びだと思っています。

 

最初の一歩として、まずは、身近なところで感じている疑問や興味を切り口に、自分ごととして環境問題をとらえてみてください。

見て見ぬ振りするのではなく、常に問い続ける姿勢が、よりよい未来につながっていくのではないでしょうか。

【連載】キコの「暮らしの塩梅」を読む>>>

季子(キコ)

一児の母親。高校生のころ「食べたもので体はできている」という言葉と出会い食生活を見直したことで、長い付き合いだったアトピーが大きく改善。その体験をきっかけに食を取り巻く問題へと関心が広がり、大学では環境社会学を専攻する。

産後一年間の育休を経て職場復帰。あわただしい日々のなかでも気軽に取り入れられる、私にとっても家族にとっても、地球にとっても無理のない「いい塩梅」な生き方を模索中。

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

季子(キコ)

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