(第14話)マリーゴールドの草木染め 【連載】八ヶ岳の「幸せ自然暮らし」
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(第14話)マリーゴールドの草木染め 【連載】八ヶ岳の「幸せ自然暮らし」

~パーマカルチャー(*注)を訪ねて〜

「マリーゴールド」が咲く季節、ふと聴きたくなるあの歌のサビにも「もう離れないで」とありますが、何とその花言葉には「いつもそばに置いて」という意味がありました。太陽に向かって咲き誇るオレンジやイエローゴールドが、疲れた心に元気と希望を与えてくれます。というわけで今回は、まさに今が旬のマリーゴールドの花を使った草木染めについてご紹介。マリーゴールドをこよなく愛する千里さんに、花の魅力と染め方について伺いました。

庭先にさりげなく咲く鮮やかな花に目を向けて見ませんか?

(*注)パーマカルチャー:“パーマネント”(永久)、“アグリカルチャー” (農業)、“カルチャー”(文化)を組み合わせた造語。持続可能な環境を作り出すためのライフスタイルのデザイン体系のこと。

黄色、オレンジ、橙etc…。自然の色から元気とパワーをチャージ!

太陽のような鮮やかなオレンジや黄色が心に華やぎと元気をくれる

農作業が忙しくなる前の春先は、身近な植物を使って草木染めをするのにぴったりの季節です。中でも私のお気に入りはマリーゴールド。春に種を蒔いて、初夏から秋にかけて咲く色鮮やかな花を摘み、ドライフラワーにしておいたものを染色に使います。標高差や朝晩の温度差があるせいで、八ヶ岳で咲く花は、色が濃いとよく言われます。咲き始めよりも後になればなるほど、色が濃くなっていくような気がします。10で、フラワーショップのレナさんもおっしゃっていましたが、八ヶ岳周辺は空気が乾燥していることもあり、生花をドライフラワーにすると本当にきれいに発色するんですね。中でも、マリーゴールドは染色した時に本領発揮!鮮やかな色が楽しめますよ。

マリーゴールドというと、街路樹や学校の校庭の片隅にひっそりと咲いている花というイメージで、昔はそれほど気に留めたことがありませんでした。華やかな香りがあるわけでもなく、どちらかと言えば地味な花という印象でした。でも自分で育ててみると、花の色数がとても豊富だったり、12月になっても咲いている花があったり…。だんだんと愛着がわくようになりました。そしてある日、鮮やかな黄色やオレンジの花を染めてみたら、びっくりするほどきれいに染色することができて。以来、大好きな花のひとつになりました。

マリーゴールドの由来は「マリア様の黄金の花」

都会でも庭先に咲いている姿をよく見かけるマリーゴールド。英語名は「marigold」。 英語での花言葉は「jealousy(嫉妬)」だそうですよ

マリーゴールドの花言葉

マリーゴールドは、畑に植えると害虫よけになる植物です。野菜を守るため、そしてフラワーアレンジメントのアクセントや染物にも使える万能花。調べてみると、マリーゴールドにはさまざまな種類や花言葉がありました。

そもそもマリーゴールドの名前は、聖母マリアに由来するのだとか。聖母マリアの祝日(8月15日)に、いつも咲いていることから「マリア様の黄金の花」=マリーゴールドと呼ばれるようになったそうです。そんな神話を知り、ますます愛おしくなりました。

手軽にできる楽しい手仕事「マリーゴールド」で草木染め

マリーゴールドで染めたレースの布。鮮やかなイエローは生花の元気な色そのもの

植物の持つ不思議な力で思いがけない色に染まった布をサシェにして。身近な草木を染めてみると意外な発見がありますよ

そのほかに、藍やソヨゴを育てています。ともに、柔らかな染め色が楽しめます。ジャパンブルーとも呼ばれる藍染めは、ご存知の方も多いと思いますが、ソヨゴは、皆さんにはあまり馴染みがないかも知れません。漢字では「冬青」と書く常緑広葉樹で、卵状の楕円形の葉っぱを煮出して染色に使います。そのほかにも、ツルムラサキ、桑の実など、染められるかな?と思うものはいろいろチャレンジしています。手順はだいたいどの草花でも同じで、ひとつやってみると、別な植物でも染めてみたくなりますよ。自然の持つ力には癒しの効果がありますね。

今回は、初心者でも比較的失敗なく、きれいに仕上がるマリーゴールド染めをご紹介します。まずはハンカチやコースターなど、小さなサイズの布を使ってみてはいかがでしょう。草木染めにはさまざまな方法がありますが、下記は私流のシンプルな染色法です。ぜひ参考にしてみてくださいね。

マルーゴールド染め

 用意するもの

・マリーゴールドの花びら(30g程度)

(染めたい布に半量〜同量が目安)

・ミョウバン10gを溶かした水 500ml程度

・大きめの鍋(ステンレス製またはホーロー)と水 500ml程度

草木染め用に集めたマリーゴールドのドライフラワー。花びらを取り分けて染色に使用

ホーローの容器に水とマリーゴールドの花を加えて火にかける

染め方

1. 布の下処理

草木染めでは、絹や毛糸など動物性のものは染まりやすく、綿や麻など植物性のものは染まりにくいんですね。たとえば綿のハンカチを染める場合、まず最初に「たんぱく処理」を行います。大豆のご汁や無調整豆乳につけたり、いろいろな方法がありますが、私はミョウバンを溶かした水にしばらく浸けて絞って乾かした布を使います。

 

2. マリーゴールドの染め液で煮染めする

マリーゴールドの花びらをガクから外し、水を入れて火にかけます。鍋の中で布をゆらゆら動かせる程度の大きさの鍋を用意してくださいね。染め液が十分に浸出したら花びらを取り出し、ハンカチを入れます。(布に花びらが付くと、後で取るのが大変!)低温では染まりにくいので、70度くらいの湯温を保ちながら行います。10〜20分ほど布を揺らしながら染色し、一度引き上げて水で洗い、染まり具合を確認します。色の染まり具合を見て、好みの状態になったら火を止めます。

 

3. 色素を定着させて仕上げる

洗って乾かすとどうしても薄くなるため、少し濃いめが目安です。

温度が冷めるまで、そのまま布を浸けておきます。染色も煮物と同じで、冷める時に、色が定着していきます。最後に水でよく洗い、乾かして出来上がり。

小さなキッチンでも、身近な道具を使って簡単に楽しめます

自分で染めたものには愛着がわきます。何に使おうかな、と考えるとワクワクします。植物のもつ魔法の力が心に栄養を与えてくれます

草木染めに使う道具は、できるだけ身近なものを利用しています。ボウルや鍋はホーローやステンレス製のものが良いと思います。大きなものを染める時には、不織布の布に植物を入れると後片付けがラクになります。

草木染めの魅力は、化学反応のように、その時々で思いがけない色との出会いが味わえること。どんな色になるのかな?とワクワクしながら庭の草木を摘んで試して、楽しんでいます。キャベツ、菜の花、ミントなど、庭や畑で自家栽培した四季折々の植物を使って布を染め、染めた布でサシェやテーブルクロス、タペストリーなどを作ってきました。自己流ですが、独学でもやってみると発見がいろいろ。

自然の恵みが奏でる“魔法の色”が、私たちの心と暮らしにうるおいを与えてくれます。おうち時間が長い今こそ、植物のチカラに癒されてみませんか?

写真協力:KIMITO

左から、四井真治さん、畑仕事や料理、家具作りなどにも積極的に取り組む四井家の長男・木水土(きみと)くんと次男・宙(そら)くん、四井千里さん

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四井真治

福岡県北九州市の自然に囲まれた環境の中で育ち、高校の時に地元の自然が都市開発によって破壊されてショックを受けたのをきっかけに環境意識が芽生え、信州大学の農学部森林科学科に進学することを決意。同農学部の大学院卒業後、緑化会社に勤務。長野で農業経営、有機肥料会社勤務後2001年に独立。2015年の愛知万博でオーガニックレストランをデザイン・施工指導。以来さまざまなパーマカルチャーの商業施設や場作りに携わる。日本の伝統を取り入れた暮らしの仕組みを提案するパーマカルチャー・デザイナーとして国内外で活躍中。

Soil Design http://soildesign.jp/

四井千里

2002年より都内の自然食品店に勤務。併設のレストランにてメニュー開発から調理まで運営全般に関わり、自然食のノウハウを学ぶ。2007年より八ヶ岳南麓に移り住み、フラワーアレンジメント・ハーブの蒸溜・保存食作り等のワークショップ講師、及び自然の恩恵や植物を五感で楽しむ暮らしのアイデアを提案。

記者:山田ふみ

多摩美術大学デザイン科卒。ファッションメーカーBIGIグループのプレス、マガジンハウスanan編集部記者を経て独立。ELLE JAPON、マダムフィガロの創刊に携わり、リクルート通販事業部にて新創刊女性誌の副編集長を務める。美容、インテリア、食を中心に女性のライフスタイルの動向を雑誌・新聞、WEBなどで発信。2012年より7年間タイ、シンガポールにて現地情報誌の編集に関わる。2019年帰国後、東京・八ヶ岳を拠点に執筆活動を行う。アート、教育、美容、食と農に関心を持ち、ethica(エシカ)編集部に参加「私によくて、世界にイイ。」情報の編集及びライティングを担当。著書に「ワサナのタイ料理」(文化出版局・共著)あり。趣味は世界のファーマーズマーケットめぐり。

<自然の仕組みがわかるオススメの2冊>

パーマカルチャーや土と自然のつながりがわかりやすく紹介されている『地球のくらしの絵本』シリーズ「自然に学ぶくらしのデザイン」と「土とつながる知恵」(四井真治著 農文協)ともに2,500円/税別

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

山田ふみ

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