ネパールの子どもたちの未来を切り拓く 【サステナブル・ブランド国際会議2019東京】レポート『YouMe Nepal代表理事 ライ シャラド氏編』
独自記事
このエントリーをはてなブックマークに追加
Instagram
ネパールの子どもたちの未来を切り拓く

ethicaがメディアパートナーとして参加した「サステナブル・ブランド 国際会議2019 東京」でトップバッターとして「ネパールの子どもたちの未来を切り拓く」とのタイトルで講演を行ったのがNPO法人YouMe Nepal代表理事のライ シャラド氏でした。今回は多くの参加者を魅了した、その熱きスピーチについてご紹介しましょう。

いつしか自分の国に恩返しがしたい

ライ シャラド氏は世界で最も高い山エベレストの近くにある田舎の村で生まれました。その村はいまだに電気、ガス、水道がないという貧しいところで、子供の頃、毎朝4時半に起きて1時間半かけて水を汲みに行くのがシャラド氏の日課になっていました。もちろん学校になど満足に通えるはずもありません。

そんなシャラド氏が10歳の時、首都カトマンズにある名門の学校に国のお金で入学することになりました。彼曰く「奇跡」が起きたのです。

「全国で99人しか選ばれない特別生になることができ、きちんとした教育を受けられるようになったのです。そして高校を卒業してから今度は奨学金で日本の大学に入学することになりました。私はその頃から、いつか自分の国に恩返しがしたいと思うようになっていました」

自分の友だちの子どもなら救えるかもしれない

大学4年生の時、シャラド氏は自分の故郷の高校時代の友だちが今、どこで何をしているかを調べてみました。すると、ほとんど全員が海外に出稼ぎに行っていることが分かったそうです。そして、その原因は、彼らがシャラド氏とは違ってきちんとした教育を受けることができなかったことにあるという点に気が付きました。

「彼らは毎日12時間以上働いていました。それも1年365日休みもなくです。過酷な労働をして毎日のように2人3人と遺体になってネパールに帰ってきているのが現実なのです。それを知って私はとても悲しい気持ちになりました。なぜなら、彼らを救うことができなかったからです」

しかし、そこでシャラド氏は考えました。彼らを救うことはできないかもしれないが、彼らの子どもなら救うことができるのではないか、そう思ったのです。

8人の子どもでスタートした「YouMeスクール」

「その時、私にはお金も経験もありませんでした。ただあったのは、何とかしなくてはという熱い想いだけでした。そして、その想いのままに貧しい子供たちのための学校を作りました。それがYouMeスクールです」

最初8人の子どもと1人の先生とでスタートした学校はなかなか軌道に乗らず、大変な時期もありましたが、シャラド氏は決して諦めることはありませんでした。日本の学校のいいところを真似し、「時間を守ること」「約束を守ること」「自分たちのことは自分ですること」を子どもたちに教えるとともに、味の素の協力を得て日本のような給食も提供しました。

こうして、子供たちは学校が大好きになり、毎日満面の笑顔で学校に通ってくるようになりました。YouMeスクールはネパールの子どもたちの「希望の星」となったのです。

新たにスタートした「オンライン学校」

たった8人から始まったYouMeスクールは、今や360人にまで広がってきています。しかし、ネパールでは今もなおたくさんの子どもたちがきちんとした教育を受けることができずにいます。そうした子どもたちを何とかしたい、シャラド氏はずっと思い悩んでいたそうです。そして、今、シャラド氏は一つの解決策を思いつき、それを実践しています。

「今、私が取り組んでいるのは私の生まれ故郷の隣にあるリムチュンブン市の市長さんと一緒にやっている『オンライン学校』です。これはリムチュンブン市の公立小学校にインターネット経由できちんとした教育を届けようというもので、追いついていないカリキュラムや教育マネジメントの体制や親たちの理解を促進させようという改革プロジェクトになっています」

一度しかない人生を自分の国のために使い切りたい

シャラド氏はYouMeスクールを川の源流のようなものであり、川は国中を巡り、海に流れ着き、そしてまた雨を降らせて源流になっていくのだといいます。

「YouMeスクールで学んだ子供たちには、いろいろな分野でリーダーになってもらいたい。彼らには世界で活躍してもらいたい。でも、いつかは故郷に戻って自分の国に恩返しをしてもらいたい。そんな志を持った子どもを育てるため、将来は大学を作りたいと思っています」

シャラド氏はネパールはこれから絵を描く白い紙のような国であり、チャンスがたくさんある国だといいます。

「YouMeスクールで学んだ子どもたちが大きくなったら、彼らと一緒に自分の大好きな国ネパールを変えてみたい。一度しかない人生を自分の国のために使い切りたい」

そういってシャラド氏が話を終えると、会場は温かな大きな拍手で包まれました。

関連記事:

3月6日・7日【サステナブル・ブランド国際会議2019東京】メディアパートナーのethicaでは優待チケットも

誠実努力で「なくてはならない会社」へ 【サステナブル・ブランド国際会議2019東京】レポート『セイコーエプソン編』

セイコーエプソン・碓井社長が思い描く、色彩豊かな未来のヴィジョン

【サステナブル・ブランド国際会議2019東京】レポート『テレビ東京編』

【サステナブル・ブランド国際会議2019東京】レポート『クボタ編』

【サステナブル・ブランド国際会議2019東京】レポート『電通編』

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

ethica編集部

このエントリーをはてなブックマークに追加
Instagram
[連載企画]冨永愛 自分に、誰かに、世界にーー美しく生きる。 【Prologue】
独自記事 【 2021/3/1 】 Health & Beauty
20年以上、トップモデルとして活躍。究極の美の世界で生きてきた冨永愛さん。ランウェイを歩くその一瞬のために、美を磨き続けてきた。それは、外見だけではない。生き方、生き様をも投影する内側からの輝きがなければ、人々を魅了することはできない。「美しい人」冨永愛さんが語る、「“私(美容・健康)に良くて、世界(環境・社会)にイイ...
女優ののんさんがSDGsを広めるためのキャラクターを発表!
INFORMATION 【 2020/11/9 】 Art & Culture
朝日新聞社は10月11日(日)~15日(木)に、民主主義や気候変動、SDGsなどコロナ禍で浮上した問題や世界の変化について話し合う「朝日地球会議2020」をオンラインで開催しました。「SDGsしないのん?」と題したセッションには、人気女優ののんさんや国連広報センター所長の根本かおるさん、ニュースサイト「withnews...
水原希子×大谷賢太郎(エシカ編集長)対談
独自記事 【 2020/12/7 】 Fashion
ファッションモデル、女優、さらには自らが立ち上げたブランド「OK」のデザイナーとさまざまなシーンで大活躍している水原希子さん。インスタグラムで国内上位のフォロワー数を誇る、女性にとって憧れの存在であるとともに、その動向から目が離せない存在でもあります。今回はその水原さんに「ethica」編集長・大谷賢太郎がインタビュー...
【ethica-Tips】私によくて、世界にイイ。サステナブルなチョコレート3選
独自記事 【 2020/10/26 】 Food
チョコが恋しくなる季節。温かな飲み物と一緒に口に含むと、とろ〜り美味しさが溶け出します。常温で置いておいても溶けにくい秋冬は、まさにチョコの旬。 というわけで今回は、サステナブルなチョコレートのお話。買うことで生産者の暮らしとつながるフェアトレードなアイテムや森林保護の視点から生まれたエシカルなチョコなど3種類をご紹介...
ワールド主催「246st.MARKET」イベントレポート 4人の環境アクティビストをethicaが独占インタビュー
独自記事 【 2020/10/26 】 Home
ワールド北青山ビル1階で10/14〜10/18に行われたポップアップイベント『246st.MARKET』(ニイヨンロクストリートマーケット)。“GOOD FOR FUTURE”をコンセプトに、クリエーターたちとともに未来を創造するプロジェクトです。3回目を迎えた今回は「サーキュレーション・ライフスタイル」をテーマに、サ...
【ethica編集長対談】「ECOALF」創業者 ハビエル・ゴジェネーチェ氏
独自記事 【 2019/12/23 】 Fashion
スペインのファッションブランド「ECOALF」の日本第1号店が2020年3月、東京・神宮前にオープンすることになり、先日、都内でその発表会が行われました。 「ECOALF」は世界中で脱プラスチックの動きが広がる中、環境を守りながらペットボトルや漁業用の網などといった海洋プラスチックごみを再生して作った機能的な衣類や靴、...
ファッションデザイナー石川俊介さん『背景が見えにくいファッション産業への疑問』
独自記事 【 2019/12/16 】 Fashion
エシカルなコーヒーの調達率 99 % を達成したことにちなみ、9月9日に全国のスターバックス店舗で2015年から行われている「99 キャンペーン」。特に、同キャンペーンが初めて実施された、中目黒の「スターバックス リザーブ®️ロースタリー 東京」では、バリスタによるコーヒーの生産過程についてのマイクパフォーマンスが行わ...
SDGsは「自分の暮らしの中」で向き合う。
sponsored 【 2019/11/25 】 Home
気候変動やグローバル化で深刻化する問題に対応するため、2015年に国連で採択された「持続可能な開発目標」(SDGs)。貧困や格差の解消、地球環境の保全などをめざし、全ての国連加盟国が2030年までに取り組む行動計画だ。企業は単なる社会貢献ではなく、本業を通じた活動が求められている。ボルネオ島の生物多様性保全やアフリカ・...
[連載企画]冨永愛 自分に、誰かに、世界にーー美しく生きる。 【chapter1-1】
独自記事 【 2021/3/29 】 Health & Beauty
ファッションデザイナーが描く世界を表現するモデルは、まさに時代を映し出す美の象徴だ。冨永愛さんは移り変わりの激しいファッション界で、20年以上にわたり唯一無二の存在感を放ち続ける。年齢とともに磨きがかかる美しさの理由、それは、日々のたゆまぬ努力。  美しいひとが語る「モデル」とは?
モデルのマリエが「好きなことを仕事にする」まで 【編集長対談・前編】
独自記事 【 2018/12/24 】 Fashion
昨年6月、自身のファッションブランドを起ち上げたモデル・タレントのマリエさん。新ブランド「PASCAL MARIE DESMARAIS(パスカルマリエデマレ、以下PMD)」のプレゼンテーションでは、環境に配慮し無駄を省いた、長く愛用できるプロダクトを提案していくと語りました。そして今年9月、ファッションとデザインの合同...
「エシカルファッションってなに?」 ピープルツリーの場合
独自記事 【 2019/9/20 】 Fashion
日本とイギリスで展開するフェアトレード専門ブランド「ピープルツリー」。人にも地球にも良いライフスタイルを提唱するエシカルファッションのパイオニアともいえるその活動は、ethica編集部でも創刊以来、大先輩としてその歩みに倣って参りました。 エシカルな気づきをテーマに情報発信を続けてきた私たちethicaは今年6周年を迎...
美しき理系アーティスト、スプツニ子!さんに伺いました!(前編)「質の高い教育をみんなに」
独自記事 【 2019/9/28 】 Art & Culture
9月22日(日)〜29日(日)のSDGs週間(*)にフェイスブック ジャパンが開催している「Facebook Fundraisers for SDGs」で、「質の高い教育をみんなに(SDGsの目標4)」を達成するため、アメリカのNPO団体「Girls Who Code」への募金キャンペーンを立ち上げたスプツニ子!さんに...
国木田彩良−It can be changed. 未来は変えられる【Prologue】
独自記事 【 2020/4/6 】 Fashion
匂い立つような気品と、どこか物憂げな表情……。近年ファッション誌を中心に、さまざまなメディアで多くの人を魅了しているクールビューティー、モデルの国木田彩良(くにきだ・さいら)さん。グラビアの中では一種近寄りがたい雰囲気を醸し出す彼女ですが、実際にお会いしてお話すると、とても気さくで、胸の内に熱いパッションを秘めた方だと...
The Breakthrough Company GO クリエイティブディレクター 砥川直大さん(前編)
独自記事 【 2020/4/20 】 Fashion
世界中で脱プラスチックの動きが広がる中、ペットボトルや魚網などの海洋プラスチックごみを再生して作った衣類や靴、かばんなどを次々に発表。現在ヨーロッパを中心に大きな注目を集めているスペイン生まれのファッションブランドが「ECOALF」です。この3月、日本第1号店が東京・渋谷にオープンしましたが、開店にあたり「地球の資源を...
蜷川実花×大谷賢太郎(エシカ編集長)対談
独自記事 【 2020/7/13 】 Art & Culture
渋谷パルコのPARCO MUSEUM TOKYOで新作個展「東京 TOKYO/MIKA NINAGAWA」を開催した写真家で映画監督の蜷川実花さん。蜷川さんの新作写真集「東京 TOKYO」の刊行を記念して行われたもので、会場には「東京に生まれ育ち、この街しか住んだことがない」という蜷川さんが「大事なものすぎてなんだか手...

次の記事

一杯のコーヒーから広がる「 99 」への想い 。 【後編】スターバックス コーヒー ジャパン Social Impact チーム 酒井 恵美子さんインタビュー
「海洋プラスチックごみ問題」を知っていますか? 【寄稿】外務省国際協力局地球環境課

前の記事

スマホのホーム画面に追加すれば
いつでもethicaに簡単アクセスできます