日本初の“ソーシャライジングホテル”が渋谷に開業「利用者と地域社会をつなぐTRUNK(HOTEL)」
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日本初の“ソーシャライジングホテル”が渋谷に開業「利用者と地域社会をつなぐTRUNK(HOTEL)」

渋谷と原宿を結ぶ「渋谷キャットストリート」。その南端から一筋入った坂の途上に、日本初の“ソーシャライジングホテル”「TRUNK(HOTEL)」が5月13日にオープンしました。4月末に開業した「渋谷キャスト」も近く、いま都内で注目を集める同エリアで、地域社会にコミットした活動を展開する、新しいコンセプトのホテルをご紹介します。

施設を利用することが社会の問題に触れるきっかけになる

TRUNK(HOTEL)を運営するTRUNKのウェブサイトの冒頭に掲げられているのは「SOCIALIZING 世直し始めます」という言葉。TRUNKでは「ソーシャライジング」を「自分らしく、無理せず等身大で、社会的な目的を持って生活すること」と定義しています。つまり、‟ソーシャライジングホテル”では、ホテルの施設やサービスを利用することが、何らかの社会問題について考えるきっかけになったり、問題解決の活動を支援することにつながるんです。

放置自転車の再利用や、日本の衣文化の見直し

たとえば、放置自転車を再利用した「ソーシャライジング自転車」の取り組み。廃棄される運命にあった自転車のパーツを組み立て直し、宿泊者が利用できるようにしたものです。TRUNK(HOTEL)は、表参道駅まで自転車なら約5分、新宿駅へも20分程度で行くことができる立地。ちょっとしたお出かけなら、自転車での移動が断然便利です。自転車は排気ガスも出ませんから、環境にも優しいですね。

TRUNK(HOTEL)公式Facebookより

また、客室のルームウェアにも独自のこだわりが。TRUNK(HOTEL)のルームウェアはステテコ研究所とコラボレーションしたステテコ型。海外の方には嬉しい体験になりますし、日本の衣文化を見直すきっかけになります。

他にも、TRUNK(HOTEL)では、従業員のユニフォームにはリバースプロジェクトと協働して古着を取り入れたり、原材料の一部に粉砕した廃棄食器を使用したリサイクルマグカップを使用したりといった取り組みを行っています。何だか、宿泊目的以外でも利用してみたくなるホテルですね。

道行く人にも開かれた空間、ケヤキの木を中心にしたパブリックテラス

TRUNK(HOTEL)の建物は、通りに面したパブリックテラスを囲むような設計になっています。このテラスの中央に植えられているのは、渋谷区の木であり、TRUNK(HOTEL)のシンボルツリーであるケヤキの木。街角の小さな公園のような空間は、宿泊者に限らず、誰でも気軽に利用できます。

エントランスのすぐ脇にあるTRUNK(STORE)には、アルコール類を含むドリンクやフードが用意されているので、お天気の良い日は、原宿・渋谷のお買い物帰りにケヤキの木陰でひと休憩するのも良いかもしれません。「ソーシャライジングなコンビニ」をテーマにしたTRUNK(STORE)には、東京のクラフトビールや地酒、ヘルシーな食材を使ったお弁当やパン、お菓子が並びます。オリジナルで作られたオーガニックシャンプーなどのアメニティやコスメ、リサイクルコットンを使用したロゴTシャツなどはお土産にも喜ばれそう。

行くたびに新たな発見と出会いがあるロビーラウンジ

TRUNK(HOTEL)の館内には至る所にアートワークが飾られており、特にロビーラウンジであるTRUNK(LOUNGE)は、ぬくもりと重厚感のある調度品が落ち着きのある空間をつくり出しています。

ここは、昼間はノマドワーカーのワークスペース、夜はパーティーやイベントの参加者たちの交流の場として機能していて、従来のホテルロビーのような宿泊者のための空間とはやや異なった印象です。DJイベントなども行うことができ、クリエイティブな人が集まる渋谷のカフェ・バーとしての印象が強いでしょうか。

PHOTO:KOZO TAKAYAMA

また、併設されたエキシビジョンスペースである「ROOM 101」では、作品展示や様々なブランドのポップアップを展開していく予定(5/13〜6/20の期間は mikomori)ですので、訪れるたびに空間のカラーが異なるのも楽しめると思います。ロビーラウンジでは、アートやファッションに関するイベントが多数予定されていますので、お出かけの際にはTRUNK(HOTEL)のウェブサイトやFacebookで、ぜひチェックしてみてください。

日本初の‟ソーシャライジングホテル”が取り組むのは、観光やビジネスでの宿泊という一過性の関係では終わらない、人と人とのコミュニケーション、ネットワークづくりのようです。ホテルが渋谷・原宿カルチャーの拠点をつくる未来に期待が膨らみますね。

記者:松崎 未來

東京藝術大学美術学部芸術学科卒。同大学で学芸員資格を取得。アダチ伝統木版技術保存財団で学芸員を経験。2011年より書評紙『図書新聞』月刊誌『美術手帖』(美術出版社)などのライティングを担当。2017月3月にethicaのライター公募に応募し、書類選考・面接を経て本採用となり、同年4月よりethica編集部のライターとして活動を開始。関心分野は、近世以降の日本美術と出版・印刷文化。

ーーBackstage from “ethica”ーー

先日、渋谷での買い物帰りに、TRUNK(HOTEL)に立ち寄ってみました。よく晴れた日の夕暮れで、思わずパブリックテラスでビール! 通りの喧騒からも離れ、これからの季節、かなりおすすめスポットです。もちろん、アートに囲まれたラウンジの雰囲気も抜群。

TRUNK(STORE)では、渋谷・原宿に店舗を持つ「Double Tall Cafe」さんのコーヒーを、TRUNK(LOUNGE)では、最近富ヶ谷に待望のカフェをオープンされた焙煎工房「ROSTRO JAPAN」さんのコーヒーを提供されています。どちらの席、どちらのコーヒーを選ぶかも、かなり悩みます!

「ROSTRO JAPAN」の動画をFacebookで見つけました。

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

松崎 未來

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