女性の自由を問う作品「Beach Flags(ビーチフラッグ)」 「ショートショートフィルムフェスティバル&アジア2020」開催
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女性の自由を問う作品「Beach Flags(ビーチフラッグ)」

『ethica(エシカ)』4月号のテーマは「フェミニズムとジェンダー論」です。

今年も6月に「ショートショートフィルムフェスティバル&アジア」(以下、SSFF&ASIA)という短編映画を対象にした映画祭が開催されます。その映画祭と連動したオンライン上の映画館では、「ジェンダー」を扱った注目すべきショートムービーがあります。

 それはイラン人の女性監督による、女性の自由を描いた『Beach Flags(ビーチフラッグ)」という作品です。

 今回は、この作品と、ジェンダー問題を取り扱う作品も多いという「SSFF&ASIA」について紹介したいと思います。(記者・りりこ)

SSFF&ASIAとは

 『Beach Flags』の紹介の前に、「SSFF&ASIA」について説明しましょう。これは、米国俳優協会(SAG)の会員でもある俳優、別所哲也さんが代表を務める、上映時間が25分以内程度の短編映画を対象とした日本の映画祭です。

そもそものスタートは、米国で出会った「ショートフィルム」に魅了された別所さんが、新しい映像ジャンルとして日本に紹介したいと、1999年、ラフォーレ原宿で開催した日本初の国際短編映画祭である「アメリカン・ショート・ショートフィルムフェスティバル」です。当時上映された作品は30ほどで、期間も3日間でした。

その2年後に名称を「ショートショートフィルムフェスティバル(SSFF)」と改め、アメリカだけでなく世界中の作品を紹介する国際映画祭へと発展。そして2004年には米国アカデミー賞公認の映画祭に認定され、同年にアジアからの新しい映像文化の発信や、若手映像作家の育成を目的とした「ショートショートフィルムフェスティバルアジア(SSFF&ASIA)」へとつながり、現在では、120を超える国と地域から作品が集う国際短編映画祭へと成長を遂げました。

またこの映画祭は『スターウォーズ』のジョージ・ルーカス監督とのつながりも深く、2018年以降グランプリ作品は監督の名を冠した『ジョージ・ルーカス・アワード』となったほど。さらにグランプリだけでなく、オフィシャルコンペティション(インターナショナル、アジアインターナショナル、ジャパン部門)やノンフィクション部門の各優秀賞は次年度の米国アカデミー賞の短編部門ノミネート選考対象作品となる権利を獲得しました。SSFF&ASIAで注目されることはより大きな名声を得る可能性にもつながるのです。

そして2020年からは、クリエイターの夢の実現を支援するために、ソニー株式会社が合同でオフィシャルコンペティションをサポート。また、ソニー株式会社とソニーモバイルコミュニケーションズ株式会社が共同で、新しい映像文化や潮流を次世代のクリエイターとともに探求する「Creator’s Junction partnered with Xperia(TM)」のイベントも実施されます。

SSFF&ASIA2020開催決定!

そんなSSFF&ASIAが、2020年も東京都内の複数の会場で6月4日(木)〜6月14日(日)の期間で開催されます。またウェブではオンライン会場を設置し、リアルでの開催に先駆け5月27日(水)より配信を開始。100を超える国と地域から集った作品の中から厳正なる審査で選ばれた約200の作品が、無料上映・配信されます。

さらには、フェスティバルアンバサダーは映画コメンテーターのLiLiCoさんが続投します。

「SSFF&ASIA2020」のテーマは「ボーダーレス」

22年目を迎える、今回の「SSFF&ASIA」のテーマは「ボーダーレス」。上映される作品では、民族や人種、国、貧富、ジェンダーといった「ボーダー」を越えた、家族や友人、恋人、社会とのつながりなど人間にとっての普遍的な物語が描かれる一方、いまだ私たちが知ることのなかったさまざまな視点や価値観と、それに基づく思いが表現されています。

代表の別所さんは「テーマをボーダーレスとした我々の映画祭は、世界中から集まったショートフィルムを通じて、今を生きる人間だからこそのさまざまな視点や価値観の発信、また進化し続ける技術が可能にする、表現の多様性を体感できる場にしたいと思う」と語っています。

ジェンダーを問う作品「Beach Flags」

映画祭に先駆けて、年間を通じてショートフィルムを紹介しているオンライン映画館「ブリリア ショートショートシアター オンライン」の作品の中で、『ethica(エシカ)』が注目したのが『Beach Flags』です。

この映画は、イラン出身の女性アニメーション作家、Sarah Saidanさんが制作した短編アニメーション。主人公は、国際的な競技大会への出場を目指して仲間たちと日々トレーニングに打ち込んでいる、女性ライフセーバーのヴィダ。

ある日、監督が有望な新人・サレを連れてくるのですが、サレは、身長も足の速さもヴィダの上をいく存在。強力なライバルの出現で、ヴィダの心中は穏やかではありません。ところがそんな折、ヴィダは買い物に出た街でサレの思わぬ姿を目撃して……というお話。
作品の背景には、監督の故郷であるイランの封建的な地域社会の存在があり、「女性の人生は誰のものなのか?」という、シンプルで強いメッセージが込められた社会派の作品です。

ウェブで閲覧することもできるので、ジェンダーに関心のある方はぜひ観てみては?

「Beach Flags(ビーチフラッグ)」

監督 Sarah Saidan

製作年2014年

製作国 イラン・フランス

上映時間 約14分

配信期間 4月1日(水)~6月30日(火)

「Beach Flags(ビーチフラッグ)は、こちらで観ることができます。(http://sst-online.jp/theater/6809/

Sarah Saidan(監督)1978年、イラン生まれ。大学でグラフィックデザインとアニメーションを学び、2作品を監督。2009年にフランスのアニメーション映画学校で学び、3作の短編映画を制作。2011年に本作の制作を開始した。

【SSFF&ASIA2020概要】

映画祭代表:別所哲也

フェスティバルアンバサダー:LiLiCo(映画コメンテーター)

開催期間:6月4日(木)〜6月14日(日)オンライン会場は5月27日(水)〜6月14日(日)

上映会場:オンライン会場及び都内複数の会場にて予定(開催期間は各会場によって異なります)

料金:無料上映(一部有料イベントあり)

※予約開始は4月末以降を予定

お問い合わせ:03-5474-8844

オフィシャルサイト:http://www.shortshorts.org/

主催:ショートショート実行委員会/ショートショートアジア実行委員会

 

【新型コロナウイルスの対応について】

このイベントは、新型コロナウイルスの状況により、時期または内容を変更する場合があります。開催に関する情報は、オフィシャルページをご確認ください。

記者:りりこ

京都育ちの女子大文学部卒です。日本の伝統文化が大好きで、茶道や日舞、合気道などをお稽古しています。京都の老舗旅館に勤務したのち上京。2019年10月よりethica編集部に参加。

日本の伝統文化のサスティナブルな一面に惹かれています。現代の暮らしにイイとこ取りして、令和時代的・豊かなライフスタイルを提案していきたいです。

ーーBackstage from “ethica”ーー

特別上映作品として、本年度アカデミー賞4冠に輝いた『パラサイト』のポン・ジュノ監督のショートフィルム作品『支離滅裂(Incoherence)』(1994年)が決定。こちらも大注目です。

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

りりこ

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