答えがない エシカリスタVol.22 Ethical Fashion Japan代表 竹村伊央さん
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答えがない

みなさんは「答えがない」と聞いて、ポジティブな印象を受けますか?それとも、ネガティブな印象を受けますか?

先日、初めてお会いした方と話をしているとき、その方が「私は○○の答えがないところが好きで〜」と話していて「私も!」と思いました。ただの性格なのか、右脳・左脳の関係なのか、理系・文系の違いなのか……そういうのは分かりませんが、私も「答えがない」と聞くとワクワクする性分なのです。なぜかというと、そこには無限大の可能性があると思うから。それを何かおもしろいかたちにして残してやろう! と考えるとワクワクするのです。

私はこれは、学生時代の勉強の仕方もなんらかのかたちで影響していると思っているのですが、日本の授業では試験があり、「1+1=2」という決まっている答えを模索するというものが中心です。私自身に合っていたのは、決まった正解のないイギリス時代の大学の授業でした。そこは、学期ごとにテーマを出され、それについての作品を提出するという授業でした。

出されるテーマは漠然としていて、解釈によってどのようにも転ぶことができるもの。もちろん、クリエイティブ系が専門の大学だったということもありますが、点数で順位づけをするような試験はありませんでしたし、授業の内容が試験に出るわけでもなく、自分の作品を作るための参考にするための授業でした。技術や知識を身につけるための授業もありましたが、そのテストもありません。でき上がった作品の優劣よりも、どのように考えて取り組んだかという過程のほうが重視して採点がされました。これは、答えがないことに対して採点していると思いましたし、その学生が秘めている可能性に対して採点をしているのではないか? とも感じました。

「エシカル」という言葉は、まだまだ日本ではなじみのない言葉。「どうやって『エシカル』を世に広めたら良いのか?」と、日々格闘している私たちですが、その理由の一つに「英語だから」というのが挙げられます。しかし「レンタカー」など、すでに日本語として定着した英単語もありますから、それが一番の問題でもないと思います。ほかに挙げられるのは、「エシカル」の意味する範囲が広いこと。EFJではさまざまな活動・やり方を9つに分類していますが、それらをまとめた活動全体を「エシカル」と呼びます。つまり、9つのうちどれかをしていたら「エシカルなことしているね!」と呼んで良いということです。

分野が多岐にわたっていて焦点が絞られていないために、いったい何が「エシカル」なのかが伝わりづらいのではないでしょうか。でもこれは逆にチャンスも多くあると感じるのです。広範をカバーするというのは、可能性がより大きいということ。EFJは2014年の改訂版で9つに分類しましたが、その範囲を超えた新しいやり方があるかもしれません。答えがないから、おもしろいものが作れる。こんな楽しいクリエイティブなものはないと思います!

本記事はETHICAL FASHION JAPANに2014年3月21日に掲載されたものです。http://www.ethicalfashionjapan.com/2014/03/no-answer/

Ethical Fashion Japan代表  竹村伊央さん

1982年名古屋市生まれ。高校卒 業と同時に渡英し、イギリスでエシカルファッションが興隆しつつある2005年より、エシカルファッションムーブメントを作り上げたブランドの1つ、 JUNKY STYLINGに勤務。またスタイリストとしても活躍し、エシカルを中心としたスタイリングも手がける。2010年帰国後、2012年にEthical Fashion Japanを設立。同年に「ファッション×社会問題」をコンセプトにしたエシカルファッション誌「Emagazine」をローンチするほか、2013年3 月の1周年イベントでは日本初のエシカルファッションのショッピングイベントをエシカルブランド14社と開催。ファッションとしてエシカルを根付かせるさ まざまな取り組みを行う。

Ethical Fashion Japan

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