P&GジャパンがLGBTQ+への理解の輪を広げる 「アライ育成研修」を開始
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P&GジャパンがLGBTQ+への理解の輪を広げる 「アライ育成研修」を開始

毎年6月は「プライド月間」として、世界各地でLGBTQ+の権利やカルチャーへの支持を表明するイベントが行われています。P&Gジャパンは、LGBTQ+とその理解者や支援者である「アライ」の輪を広げる独自の「アライ育成研修」を開発、社外への提供をスタートしました。同社が社内で培ってきたノウハウを公開することで、ジェンダー平等はもちろん、マイノリティを含めた一人一人がお互いの違いを許容し合える社会づくりを目指しています。今回はP&Gが5月26日に開催したオンライン会見の模様をご紹介します。(記者:エシカちゃん)

多様性への基礎知識に関わる講座と、参加型ワークショップを実施

女性管理職比率3割超を実現するなど、経営戦略として「イクオリティ&インクルージョン(平等な機会とインクルーシブな世界の実現)に取り組んでいるP&Gジャパン。「ゲイ・アライ・バイセクシュアル・レズビアン・トランスジェンダー・エンプロイー」を略した「GABLE」という造語を編み出し、性的マイノリティ当事者とアライを含む全ての社員が自分らしく最大限のパフォーマンスを発揮するための職場づくりに取り組んでいます。

「アライ育成研修」の開発に当たり実施した全国調査では、回答者5,000人のうち53.8%が「アライ」の考えに賛同したものの、そのうち69.1%は「アライとして行動していない」と答えました。行動しない理由として「身近にLGBTQ+の人がいない」、「自分に何ができるかわからない」といった回答が最も多く挙がった一方で、LGBTQ+層の約半数は「自分らしく生きられない」という苦しみを抱えています。

P&Gジャパン合同会社 スタニスラブ・ベセラ社長

性的マイノリティと周囲の人達における意識のギャップを埋めるため、スタニスラブ・ベセラ社長は「私達は異なる個性を持った人達が認め合い、活躍できる社会をつくりたいと考えております。研修プログラムの提供を通じて、皆さんと一緒にインクルージョン(受容)への道を歩んでいきたいですね」と抱負を述べました。住友聡子執行役員も「特定層のサポートに留まらない、あらゆる人達にとって安全で受容的な環境づくりに取り組みます」と意欲を示しています。

P&Gジャパン合同会社 執行役員 広報渉外本部 シニア ディレクター 住友 聡子

これらの思いが結実した「アライ育成研修」は、講義とワークショップで構成。性の多様性に関わる基礎知識を教えつつ、P&Gのケーススタディを通じて当事者による生の声を発信しています。加えて、グループディスカッションでは受講者自らが考える機会を提供、行動のヒントを提示しながら、「アライ」を目指す人達のマインドやビジネスにもポジティブな影響を与えることを目指しています。

 

支援方法にも多様性を生かしながら「ウェルカミングアウト」を実践

トークセッションでは、住友さんや一般社団法人fairの松岡宗嗣代表理事、NPO法人東京レインボープライドの杉山文野共同代表理事が登壇。P&Gの全国調査でも浮き彫りになった「性的マイノリティ当事者の生きづらさ」についてディスカッションをしました。

自身がゲイである松岡さんは「『週末は彼女と出かけたの?』といったヘテロセクシュアル(異性愛)を前提とした会話に、コミュニケーションの難しさを痛感しています。また、『男のくせになよなよしている』という指摘は女性的な振る舞いをする男性への侮蔑ですね」と自分の“常識”を押し付け、異質なものを排除しようとする心理を指摘しました。女性から男性になったトランスジェンダーの杉山さんは「LGBTQ+はセックスについてではなく、アイデンティティの話だと理解して欲しい。職場に理解者がいることで救われる人がいます」と訴えています。

一般社団法人fair 代表理事 松岡 宗嗣

NPO法人東京レインボープライド共同代表理事 / 株式会社ニューキャンバス代表取締役 杉山 文野

住友さんは、「当事者の声を待っていてはダメ。当事者が困りごとを打ち明けやすく、周囲の人達も助けやすい雰囲気をつくりたい。そのためにも『アライコミュニティ』を広げていきたいです」とコメント。これに対して二人は、「当事者が話しやすくなる取り組みは素晴らしい」(松岡さん)、「『アライ』が増えることで職場の心理的安全性が高まり、性的マイノリティが自分の能力を発揮しやすい環境が整う」(杉山さん)と歓迎していました。これらは杉山さんが提唱している「ウェルカミングアウト」の考え方に通じるものがありますね。

会見で印象的だったのは、「『アライ』の手法にも多様性が大切です。例えば、職場や飲み会で当事者が嫌がる話題を変える『スイッチャー』や話を止める『ストッパー』など、自分らしいやり方で行動を移していけたら」という住友さんの言葉でした。「誰一人同じ人間がいない世界」(松岡さん)で、マイノリティにもマジョリティにも優しい社会づくりを実現していきたいですね。

記者:エシカちゃん

白金出身、青山勤務2年目のZ世代です。流行に敏感で、おいしいものに目がなく、フットワークの軽い今ドキの24歳。そんな彼女の視点から、今一度、さまざまな社会課題に目を向け、その解決に向けた取り組みを理解し、誰もが共感しやすい言葉で、個人と世界のサステナビリティーを提案していこうと思います。

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

エシカちゃん

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