(第5話)「悩みの種だった調味料の収納を作ってみたお話」【連載】かぞくの栞(しおり) 暮らしのなかで大切にしたい家族とwell-being
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(第5話)「悩みの種だった調味料の収納を作ってみたお話」【連載】かぞくの栞(しおり)

心身ともに健康で、社会的にも満たされた状態であることを意味する「well-being」。

一人ひとりがwell-beingであることが、社会や環境をより良くしていくことにつながるのだと思います。

では、「私にとって良い状態」ってどういうものなんだろう?

そのヒントは、意外と何気ない日常の中に散りばめられているのかもしれません。

新しく何かを始めるのも大切だけど、まずは身近な人や自分が「ごきげん」でいることから。

家族と過ごすなかで感じる、そんな一瞬一瞬を切り取って、綴っていけたらと思います。

家にいる日は三度、長い時間を過ごすことになる台所。

私にとって台所は、使い勝手をよくするためには妥協したくない場所です。

 

「ごはんを作る」。その間に棚を開け閉めしたり、冷蔵庫からものを出し入れしたり、調味料の蓋を開いたり閉じたり、器具やお皿を使ってすすいで、拭いて戻して……なんと工程の多いことか。

 

その際、「あれ、どこだっけ?」、「これを出したいのに、手前のものをどけなくちゃ」とスムーズに調理が進まないと、一つひとつは些細なことでも積み重なってくると煩わしさを感じます。

 

わが家のキッチンは、まな板を置いたら洗いかごは置けないくらいのこじんまりとした作業スペースに、限られた収納。

それでも、あれこれ試行錯誤するなかで、少しずつ私にとって使い勝手の良い空間になっていきました。

 

そんな個人的なこだわりの詰まった台所ですが、長い間、頭を悩ませていたのが調味料置き場です。

塩、砂糖、胡椒、醤油、みりん、油、ごま、片栗粉にスパイス。頻繁に登場する彼らをどこに収納するかが、心地よくお料理できるかどうかに関わってきます。

 

理想の置き場所の条件は、必要なものがすぐ手に取れて、掃除が楽なこと(油ハネなど気にしなくていい場所)。

あちこち置き替えてみたり、通販カタログや家具屋さんでいろいろな製品を検討してみたりするものの、スペースや見た目などの条件を満たしてくれるものには出会えず……。悩んだ結果自分で作ることに。

場所は台所つきあたりの壁面、幅80cm高さ170cmほどのスペース。

壁に穴を開けられないことがDIYのハードルだったのですが、ディアウォール(板を床と天井で突っ張ってくれるもの)を使えばその問題も解決することがわかりました。

 

ホームセンターのお買い物に付き合ってくれた夫に「買った方が安いんちゃうか……」と言われつつも、ベランダで木材をカットし焦げ茶色のオイルステインを塗って、棚の高さに合わせてL字金具をつけて(電動ドライバーが無く、一番苦労したのがこれでした)。

毎日の隙間時間にせっせと作っていたのが1年前のこと。

 

限られた空間にぴったりの棚は、悩みの種だった調味料をすっきりと納めてくれ、毎日の台所時間が驚くほど快適になりました。

買うことに比べたら手間も時間もかかるし、多少の歪みや色むらがあったりするのですが、それすらも愛おしさとして受け入れられる不思議。

 

小さな煩わしさが減ったおかげで、ごはんも、より美味しく作れるようになった……かどうかはわかりませんが、自作の調味料棚は、台所に立つだけでもちょっと嬉しくなるような、そんな満足感を日常に与えてくれたのでした。

【連載】キコの「かぞくの栞」を読む>>>

季子(キコ)

一児の母親。高校生のころ「食べたもので体はできている」という言葉と出会い食生活を見直したことで、長い付き合いだったアトピーが大きく改善。その体験をきっかけに食を取り巻く問題へと関心が広がり、大学では環境社会学を専攻する。

産後一年間の育休を経て職場復帰。あわただしい日々のなかでも気軽に取り入れられる、私にとっても家族にとっても、地球にとっても無理のない「いい塩梅」な生き方を模索中。

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

季子(キコ)

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