(第31話)育ちの節目を迎えて【連載】かぞくの栞(しおり) 暮らしのなかで大切にしたい家族とwell-being
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(第31話)育ちの節目を迎えて【連載】かぞくの栞(しおり)

心身ともに健康で、社会的にも満たされた状態であることを意味する「well-being」。

一人ひとりがwell-beingであることが、社会や環境をより良くしていくことにつながるのだと思います。

では、「私にとって良い状態」ってどういうものなんだろう?

そのヒントは、意外と何気ない日常の中に散りばめられているのかもしれません。

新しく何かを始めるのも大切だけど、まずは身近な人や自分が「ごきげん」でいることから。

家族と過ごすなかで感じる、そんな一瞬一瞬を切り取って、綴っていけたらと思います。

暮らしのなかに、ハレとケのリズム

先日、娘の七五三のお祝いをしました。

 

数え年の昨年にするか迷った末、3歳半を過ぎた今年におこなうことに。

結果的に、イヤイヤ期の名残のある一年前より娘も私達も心穏やかに過ごすことができたのではないかなぁと思います。

 

お参り先の地元の神社はこじんまりと小さいけれど、いつも隅々まできちんとお手入れされていて居、心地の良いお気に入りの場所。

青く澄んだ空を背景に、鳥居の向こうに見える拝殿が木漏れ日でキラキラと照らされ、ハレの日らしい気持ちの良い気候に心が弾みます。

娘が着ている着物は、かつて私の七五三の時に祖母が用意してくれたもの。

四半世紀近い時を経て同じものをまとっているのかと思うと、何だか感慨深い気持ちになります。

草履を履いて数分で足袋を脱ぎ捨てていたらしいかつての3歳の私と違って(!)、大人しく足袋と下駄を履いて、転びそうになりながらも参道の砂利道を拝殿へと足を運ぶ娘。

 

いざご祈祷が始まれば、緊張するかな、静かに座っていられるかなと、様子が気になる母の心配をよそに、娘は長椅子にちょこんと座り、真っ白の衣に身を包んだ神主さんの一挙一動をじっと見つめています。

 

拝殿を抜ける冷たい空気に、深く響く神主さんの声に感じる、独特の神聖さ。

神道を知らなくとも自然と背筋が伸びるような雰囲気のなか、神主さんに呼ばれて榊をお供えしに一人で祭壇へと向かい、落ち着いてお辞儀をする娘の姿に、乳児から幼児へと移行する3歳という年の節目をたしかに感じたのでした。

生まれたときはただただ娘の健康と幸せを願っていたはずなのに、大きくなるに連れ娘の性格や成長に不安を感じたり、娘自身の気持ちよりも親の願いを強く出してしまったりと、ありのままの姿を見つめ、受け止めることの難しさを感じているこの頃。

 

七五三のお参りは、そんな気持ちを一旦包み込んで、日々健やかに当たり前の日常を過ごせることの有り難さと、色んな人に娘の育ちを支えてもらっていることへの感謝の気持ちを思い起こさせ、じんわりと味わう時間になったなぁと感じます。

 

暮らしのなかに、ハレとケのリズムがあることの豊かさを改めて感じた一日でした。

 

ちなみに、娘は七五三を経て自信がついたのか、その日突然「ちぃばーば(祖母)のところにひとりでおとまりする!」と宣言し、目を丸くする父と母に「いってきま−す」手を降りご機嫌で祖母と実家に向かってゆきました。

 

七五三のお祝いに突然の一人お泊り宣言。

娘の姿に驚きの連続で、「こうやって少しずつ親の元を離れていくんやねぇ……」と、ちょっぴり寂しさも感じつつ、夫と二人しみじみ過ごした夜なのでした。

今回の連載は如何でしたでしょうか。バックナンバーはこちらからご覧頂けます。

【連載】かぞくの栞(しおり)

季子(キコ)

一児の母親。高校生のころ「食べたもので体はできている」という言葉と出会い食生活を見直したことで、長い付き合いだったアトピーが大きく改善。その体験をきっかけに食を取り巻く問題へと関心が広がり、大学では環境社会学を専攻する。

産後一年間の育休を経て職場復帰。あわただしい日々のなかでも気軽に取り入れられる、私にとっても家族にとっても、地球にとっても無理のない「いい塩梅」な生き方を模索中。

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

季子(キコ)

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