「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞、今年はサラヤ株式会社・東京サラヤ株式会社が経済産業大臣賞(大賞)を受賞
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「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞、今年はサラヤ株式会社・東京サラヤ株式会社が経済産業大臣賞(大賞)を受賞

コロナ禍を機に働き方の多様化が進み、企業経営においてウェルビーイング(Well-being)の考え方を取り入れている企業に注目が集まっています。

「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞実行委員会・法政大学大学院中小企業研究所・人を大切にする経営学会®が主催する「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞は、人を幸せにする経営を行う企業を表彰する顕彰制度で、2011年から始まり今年13回目を迎えます。3月17日に法政大学市ヶ谷キャンパスのボアソナード・タワーで表彰式が開催され、受賞企業の代表者へ表彰状と表彰楯の授与が行われました。

「人を幸せにする経営」を行う企業とは

同賞における「人」とは、(1)従業員とその家族、(2)外注先・仕入れ先、(3)顧客、(4)地域社会、(5)株主の5者を指します。人を大切にし、人の幸せを実現する行動を継続して実践している会社の中から、その取り組みが特に優良な企業を選出し、毎年3月に表彰しています。表彰の対象となるには、過去5年以上にわたり「希望退職者の募集など人員整理(リストラ)をしていない」、「一方的なコストダウン等理不尽な取引きを強要していない」、「営業黒字で納税責任を果たしている」など、6つの審査項目の全てに該当することが求められており、もっともハードルが高い賞の一つであるといえるでしょう。

人を大切にする経営学会 赤岩茂 副会長

同賞が創設された経緯

なぜこのような賞が作られたのか、人を大切にする経営学会の副会長で同賞の審査委員長も務める赤岩茂氏にお話を伺うと、同学会の坂本光司会長が提唱するように、「いい会社」「いい経営」の定義を根本から変えたかったのが大きな理由といいます。

これまでの企業経営はあまりにも経済性に偏りすぎて、企業の目的の本質を見失っているのではないか。ブランド力や業績、株価といった観点ではなく、「正しいことを正しく行い、人を幸せにする経営」を行っている会社を評価し、表彰することで、そのような会社を1社でも多く増やしたいとの思いからスタートしたそうです。これまで表彰してきた企業のほとんどが黒字経営を続けており、人をとことん大切にしている企業こそが、好不況にぶれず好業績を維持・継続できるのだと証明されつつあります。

同賞が創設されるきっかけはもう一つありました。2008年に、法政大学大学院の教授であり、人を大切にする経営学会の会長を務める坂本光司氏による書籍「日本でいちばん大切にしたい会社」が出版されたことでした。会社とは何か、働くとはどういうことかを考えさせられる5つの会社のストーリーが収録されたものです。これが読者の共感を得て、シリーズ累計70万部を突破するベストセラーとなり、一種の社会現象を巻き起こしています。現在まで8冊が出版されていますので、興味のある方は手に取ってみてください。

世界レベルでの環境保護活動と社会貢献活動を評価

第13回「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞には156社の応募があり、書類による1次審査で60社に絞られ、最終的に26社が受賞企業として選出されました。

【経済産業大臣賞】サラヤ株式会社・東京サラヤ株式会社 . 【厚生労働大臣賞】リハプライム株式会社 【地方創生大臣賞】株式会社北國フィナンシャルホールディングス 【中小企業庁長官賞】株式会社陽和 【中小企業基盤整備機構理事長賞】株式会社長岡塗装店 【審査委員会特別賞】株式会社アシスト、栄研化学株式会社、株式会社金見工務店、グリンリーフ株式会社、SATO社会保険労務士法人、株式会社スマイルリンク、高田舗装株式会社、株式会社たこ満、田島株式会社、株式会社天彦産業、トモヱ乳業株式会社、株式会社ナプロアース、株式会社坂東太郎、株式会社ピエトロ、株式会社フジワラテクノアート、株式会社宮田運輸、株式会社リードビジョン、株式会社リペアサービス 【実行委員会特別賞】総社市、株式会社リンクライン、NPO法人六星

2次審査では、30名で構成される審査委員会の審査員が、全国に点在する対象企業を訪れて審査を行ったとのこと。自薦よりも取引先などから紹介されての応募が多いそうですが、審査の際には社長の考え方や社内の雰囲気などから得るものを一番重く受け止めているとのお話がありました。

「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞(経済産業大臣賞)授賞式 法政大学 ボアソナード・タワー スカイホールにて

今回、大賞となる経済産業大臣賞には、サラヤ株式会社・東京サラヤ株式会社が選ばれました。

前出の赤岩氏によると、企業が持つ「3つの役割」が評価ポイントになったとのこと。

①社会性 社会の課題解決を企業という枠組みで実行すること。それが世のため人のために役立つということ。

②教育性 そこに集う人々がより人間として成長できるような学びの場を提供すること、もしくはお客様や関係先を感化していくこと。

③経済性 社会性や教育性を全うすることを通じて、経済性を実現すること。

サラヤの表彰理由としては、事業目的が世界の衛生環境・健康の向上への貢献であることや、マレーシア・ボルネオ島での生物多様性保全活動、ウガンダにおける手洗い習慣の啓発活動(100万人の手洗いプロジェクト)など、世界レベルでの環境保護活動と社会貢献活動に長年積極的に取り組んできたことが評価されました。また、社員アンケートの回答として「丁寧に育ててもらえる」とか「社会貢献を実感して、やりがいを感じる」といった声が多く、企業文化を共有した結果、正社員の割合が増えていることなども、人にやさしい経営を実践している点として高い評価を集めました。

コロナ禍に突入した2020年から現在に至るまで、あちこちの公共施設や商業施設にサラヤの消毒液が設置され、目にしない日はないというほどお馴染みとなりました。感染症により命を脅かされたのは遠い過去のことという認識が覆され、感染対策で手指衛生の大切さが叫ばれるようになりました。日本で赤痢が流行した1952年に創業したサラヤは、「衛生状態をよくすることが社会貢献」との思いから、創業当初から一貫して天然素材を用いて人と地球にやさしい製品づくりに取り組んでいます。

今回の大賞受賞について、サラヤの更家悠介社長に筆者がコメントを求めたところ

“この度は大変名誉ある賞をいただき、心より感謝申し上げます。

世界の「衛生・環境・健康」の向上に貢献することを使命とするサラヤグループでは、互いに連動し合うこれら3つのテーマで、商品・サービスなどの事業展開に取り組んでいます。同時に、従業員やその家族の「衛生・環境・健康」も会社の健全な成長を支える大切な基盤であると考えています。

国内外に拠点を構える当グループでは、社員一人ひとりが、それぞれのルーツや個性を多様性として尊重し、
「共に助け合いながら成長していくこと」、「健やかに安心して暮らせること」、「今より健やかな心身を目指せること」を目指し、
従業員一人ひとりのwell-beingの実現が自社の成長を推進する力になり、我々が関わらせていただく
世界の人々の「衛生・環境・健康」に貢献すると信じ、今後も従業員一同団結し、邁進していく所存でございます。“

と語りました。

東京サラヤ 更家秀児 社長(中央)

当社も長年(2014年〜)のお付き合いがある企業の受賞ということもあり、大変関心を持って表彰式に参加してきました。企業を取り巻く様々ステークホルダーを大切にすること、営業黒字で納税責任を果たしていることが、人と社会に貢献している会社なのだと、改めて痛感しました。

「人を幸せにする経営を行うこと」「社会貢献の基本は納税を行うこと」この2つの両輪を回せる経営こそ、日本にとって大切な会社という価値基準。一見単純な話にも聞こえますが、どちらか一方ではなく、両方を持続的に経営できる企業は極めて限られています。このような企業が増えること、また起業家が新たに誕生することを願います。

ethica副編集長 萱島礼香

法政大学文学部卒。総合不動産会社に新卒入社。「都市と自然との共生」をテーマに屋上や公開空地の緑化をすすめるコミュニティ組織の立ち上げを行う。IT関連企業に転職後はwebディレクターを経験。主なプロジェクトには、Sony Drive、リクルート進学ネットなどがある。その後、研究機関から発足したNPO法人に参加し、街の歴史・見どころを紹介する情報施設の運営を担当した。2018年11月にwebマガジン「ethica」の副編集長に就任。

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

萱島礼香

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