(第48話)週に一度のお楽しみ。金曜日のパン屋さん【連載】かぞくの栞(しおり) 暮らしのなかで大切にしたい家族とwell-being
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(第48話)週に一度のお楽しみ。金曜日のパン屋さん【連載】かぞくの栞(しおり)

心身ともに健康で、社会的にも満たされた状態であることを意味する「well-being」。

一人ひとりがwell-beingであることが、社会や環境をより良くしていくことにつながるのだと思います。

では、「私にとって良い状態」ってどういうものなんだろう?

そのヒントは、意外と何気ない日常の中に散りばめられているのかもしれません。

新しく何かを始めるのも大切だけど、まずは身近な人や自分が「ごきげん」でいることから。

家族と過ごすなかで感じる、そんな一瞬一瞬を切り取って、綴っていけたらと思います。

ちょっぴり特別なこの日を、より豊かに彩ってくれるパン屋さん

今日は金曜日。

週に一度のお楽しみ、娘とパンを買いに行く日です。

 

おうちから車で少し走ったところにあるパン屋さん。20年以上も前から、この場所で国産小麦を使った天然酵母のパンを焼き続けているご夫婦が営む、とっても素敵なお店なのです。

 

オープンする日は週に一度、金曜日だけ。

カランカラン、とベルの響くドアを開けて入ると「いらっしゃいませー!金曜日のパン屋さんです」と元気なおじいちゃんの声が響きます。

 

ログハウスのような小さなお店の中は、焼き上がったパンの優しい香りに包まれて、その場にいるだけでも幸せな気分。

 

娘は真っ先に大好きなメロンパンに手を伸ばし、続いて「これママの好きなのやろ、これはパパの」とくるみの入った私のお気に入りのパンと、同じく夫のパンも迷いなくかごに入れて、ニコニコご機嫌です。

 

パンが並ぶ傍らには、自然農法で作られた季節の野菜が並べられていて、この野菜たちも味が濃くて美味しくて、いつも思わず手にとってしまいます。

パンについてのお話や野菜のおすすめの食べ方など、お店のご夫婦との他愛ないおしゃべりも楽しみで、週に一度のこの日がとっても待ち遠しいのです。

普段、おうちでは積極的に小麦製品を摂るのは控えているわが家ですが、元々は私も夫も大のパン好き。

ただ頻繁に食べると不調を感じることもあったので、いつからか平日はお米中心で、週に一度休日の朝ごはんはパンにするという塩梅に落ち着きました。

 

最初のうちは色々なパン屋さん巡りを楽しんでもいたのですが、一方で気になるのは素材や作られる過程のこと。

このパン屋さんに足繁く通うようになったのは、娘の通う幼稚園とおうちのちょうど間にあって寄りやすいということもありますが、美味しいのはもちろん安心な素材で作られていること、なによりご夫婦のお人柄が素敵で、この方たちから買いたいなぁと思うことが一番の理由でした。

 

特に、娘も一緒に食べるものにはやや慎重になってしまう私にとって、安心して食べられる素材で作られていること、誰がどんな思いで作っているのかは見過ごせないポイントで、選択できるときはやっぱり安心で心地よい方を選びたいなぁと思います(とはいえ、そんなことを言ってられないようなときもあれば、誰かと一緒に過ごす楽しい時間の方が大切で、素材がどうとか気にしないことももちろんありますが)。

そんな願いを叶えてくれるこのパン屋さん。

 

娘の「これが食べたい」「こうしたい」という気持ちに、親の願いを元に制限や否定をしたり善悪を判断したりすることはできるだけしないでおこうとは思いつつも、いざその状況になったとき、モヤモヤすることがないといえば嘘になります。

 

手のひらに収まるくらいのサイズ感で、優しい甘さとともに小麦の味がじんわり広がるシンプルな素材のメロンパン。

娘が選んだ大好きなものを「よかったね」「おいしいね」と心から笑い合えることは、私にとっても娘にとってもウェルビーイングにつながっているなぁと思うのです。

さて、翌朝はこんがり焼いてバターとはちみつを添えたトーストに、夫の淹れてくれたコーヒーの朝ごはん。

ガシュっとした噛みごたえのある食感に、素朴な小麦の風味がしっかり感じられる食パンは、ふんわりもっちりなパンとはまたひと味違う、飽きのこない美味しさです。

 

慌ただしい平日の朝にはなかなかできない、ゆったりとした家族の時間。

ちょっぴり特別なこの日を、より豊かに彩ってくれるパン屋さんがご近所にあることに幸せを感じるこの頃なのでした。

今回の連載は如何でしたでしょうか。バックナンバーはこちらからご覧頂けます。

【連載】かぞくの栞(しおり)

季子(キコ)

一児の母親。高校生のころ「食べたもので体はできている」という言葉と出会い食生活を見直したことで、長い付き合いだったアトピーが大きく改善。その体験をきっかけに食を取り巻く問題へと関心が広がり、大学では環境社会学を専攻する。

産後一年間の育休を経て職場復帰。あわただしい日々のなかでも気軽に取り入れられる、私にとっても家族にとっても、地球にとっても無理のない「いい塩梅」な生き方を模索中。

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私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
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