得意なコト×好きなコトで社会貢献。日本初のオンライン寄付サイトを立ち上げた40歳の転機とは? 【編集長対談】(公社)アニマル・ドネーション代表理事 西平衣里さん (財)クリステル・ヴィ・アンサンブル主催「Foster ACADEMY」登壇者取材記事(前編)
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得意なコト×好きなコトで社会貢献。日本初のオンライン寄付サイトを立ち上げた40歳の転機とは? 【編集長対談】(公社)アニマル・ドネーション代表理事 西平衣里さん

「動物のために頑張る団体を支援する」を目的に、2011年に活動を始めたオンライン寄付サイト「アニマル・ドネーション」。2015年には公益法人を取得して、おもに犬猫の保護活動をサポート。代表理事の西平衣里さんは、会社員時代はリクルートにお勤めで「ゼクシィ」の創刊メンバーとしても活躍されていました。かつてブライダル関連のメディアを手掛けていた『ethica(エシカ)』編集長の大谷とも共通項が…。そんな二人の対談を、記者・小田がレポートします。

現在はトイプードルが家族の一員という西平さん。息子さんのよき遊び相手でもあり、言葉も通じあうとか? Photo=Yoshihisa Tsuruta ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

大谷: 西平さんは39歳まで仕事中心だったのを、40歳になろうとしていた時に「好きを仕事に、これからは社会貢献もしたい」と思いたち、アニマル・ドネーションを立ち上げたと聞きました。これはまさに『ethica(エシカ)』のグランドコンセプト【Good for me, Good for the world(私によくて、世界にイイ。)】だ!と感じ、ぜひエシカにご登場いただきたいと思っていました。

西平さん: エシカのコンセプトは素敵ですね。とても共感できます。動物保護の活動をされている企業の紹介も興味深いです。

大谷: ありがとうございます。西平さんが動物関連の活動をしようと思ったきっかけは何だったのでしょう。

西平さん: 子供のころから動物が大好きで、猫、鳥、魚と共に育ってきました。猫の出産に立ち会ったこともありました。自然豊かな田舎で育ちましたから、巣から落ちた雀の子を拾って育てたり。今なら野鳥は人間が触れてはいけないと周知されていますが、当時は動物に対する感覚がゆったりしてましたよね。

大谷: そんな動物好きな少女が、リクルートに入社した理由とは?

西平さん: 雑誌が好きで、広告や出版に興味がありました。ですが当時、短大卒で広告制作系の新卒採用をしていたのはリクルートくらいしかなかったんです。

大谷: リクルートでは、どんなお仕事に携わっていましたか?

西平さん: 最初は大阪勤務で求人広告の制作をしていましたが、ゼクシィが創刊されるタイミングで東京に異動になりました。

大谷: ゼクシィは、確か創刊当初は、“XY”と表記して“ゼクシィ”と読ませてましたよね。そして当初は結婚式場の紹介がメインではなく、男女の出会いの雑誌といった印象でした。合コンとかコンパの紹介とか。

西平さん: そうそう、そうでした。男女のヌードっぽいビジュアルを掲載したりと、当初はリクルートの中でもかなり異質なポジションの雑誌でしたよ。男女の出会いがあって、その先に結婚がある。そういった流れで結婚式場の広告を入れたところ、そちらの反響の方が良くって。

大谷: じつは私も、大昔の話ですが、別の会社でwedding月刊誌や、その臨時増刊号ハネムーンや海外wedding誌の創刊に携わりました。どうりで共通の知り合いも多いはずです。

西平さん: 当時はブライダル業界はもっと混沌としていて、じっさいに結婚式を挙げたいカップルには情報が不足していましたよね。

アニマル・ドネーションの最終目標は「日本の動物福祉を世界トップレベルに」。人と動物が真に共生できる社会を目指して邁進中 Photo=Yoshihisa Tsuruta ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

大谷: ゼクシィの登場で、ブライダル業界が大きく変わりました。

西平さん: ゲストハウスでのパーティとか、地毛で日本髪をお洒落に結うなど、トレンドも作れたかな。でも、本当に毎日激務でした。それでも仕事自体は楽しくて、夜中まで目いっぱい働いてましたよ。メンバーにも恵まれたので、みんなで海外旅行にも頻繁に行っていたし、体力ありましたね。

大谷: バブルの名残りもあり、当時はお給料も良かったでしょう(笑)

西平さん: 残業代がけっこう付いていた記憶が…。20代までは時間もお金も自分のために使っていた感覚ですが、31歳で結婚し、ほかの仕事も経験して、そして40歳を迎えたとき、ふと、人生80年としたら折り返し地点だな、これからの生き方や働き方を考えたい…と思うようになりました。今までの“自分のため”から“誰かのために”と。それで、大好きな動物のために仕事をしようと思いたちました。

高齢者も最後までペットと暮らせるよう、ペットへの遺贈も啓発したいという西平さん。近日、遺贈サイトをオープンされる予定だそう Photo=Yoshihisa Tsuruta ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

大谷: じつは私も39歳で起業したんです。これからは気の合う仲間と、好きな仕事、楽しい仕事をしようという想いで。

西平さん: やっぱり40歳をむかえる時って、ライフワークの転換期ですかね。仕事への気持ちが変わってくるというか。

大谷: 気持ちがあっても、公益社団法人を作り運営を続けていくのは、なかなか大変なことですよね。家庭との両立など不安はありましたか?

西平さん: じつは、この活動に向かう方向へ背中を押してくれたのは夫です。得意なこと、好きなことを仕事にしなさい、と。私の得意なことと言えば仕事で培ったマーケティングやクリエイティブ、クライアントと読者のマッチングなどのノウハウですし、好きなことは動物と触れ合うこと。これで社会貢献ができれば、こんなに嬉しいことはありません。

犬の散歩や遊び場で知り合った人が活動のヒントや助言をくれたりと、ペットを通じたコミュニケーションは本当に貴重で楽しいと西平さん。また、良いアイデアが浮かぶのも犬の散歩中が多いとのこと Photo=Yoshihisa Tsuruta ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

大谷: 得意なことは、社会に役立てること。ノウハウという無形資産を社会に還元できるのですから。さらに好きなことは、事業サスティナブルにつながります。事業は取引先など沢山の人を巻き込むので、継続がまず大事ですよね。

西平: 組織運営などで活躍してますね、とよく言われますが、自分自身はリクルートの時の頃に比べると、断然働き方やスピード感が落ちていると感じてます。家庭の事や子育てとの両立もしたいですからね。継続的に活動するためにも、敢えてスピードを落としている感じです。じつは今、アニマル・ドネーションの活動に夢中になりすぎていて、応援してくれた夫からもスピードダウンの要請が入っています(笑)

後編では、西平さんも登壇した(財)クリステル・ヴィ・アンサンブル主催「Foster ACADEMY」(http://www.fosternet.org/)第19回セミナーの様子をレポートします。

 

後編はこちらから

飼い主がいない犬猫はどうなる?動物福祉の今を、ボランティアの現場から探ります。

 

西平 衣里

公益社団法人アニマル・ドネーション/代表理事/マネジメントディレクター

株式会社リクルートで、中途採用情報誌に始まり結婚情報誌「ゼクシィ」の創刊、その後ゼクシィブランドのムック版「海外ウエディング」「インテリア」「ドレス」等の媒体立ち上げに編集制作、クリエイティブディレクターとして携わる。14年の勤務後、ヘアサロン経営者を経て、アニマル・ドネーションを立ち上げる。小さいころから、無類の動物好きで魚・鳥・猫とともに育つ。アニマル・ドネーションの寄付サイト運営が、自身の社会貢献と位置づけ、動物との幸せな共生社会実現を心より目指す。

(財)クリステル・ヴィ・アンサンブル主催「Foster ACADEMY」第19回セミナーでの一幕 Photo=Yoshihisa Tsuruta ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

聞き手:ethica編集長 大谷賢太郎

記者 小田 亮子

神奈川県出身。求人広告、結婚情報誌などの制作ディレクターを経てフリーランスに。現在おもにブライダル関連のレポートを「ゼクシィ」「ゼクシィPremier」にてディレクション。「ethica(エシカ)~私によくて、世界にイイ。~ 」ほか、エステティック、化粧品、ジュエリーなどの記事をライティング。三人姉妹の真ん中に育ち、女子高・女子大卒。趣味は愛猫(雌)との女子会。

ーーBackstage from “ethica”ーー

西平さんは、私にとってゼクシィ制作時代の先輩です。当時は仕事のできるクールビューティーなお姉さん的存在でしたが、久しぶりにお会いして話してみると、動物愛をビシビシ伝えてくる熱い人だったのだと再認識。猫も大好きという西平さんと、猫飼いの私、インタビューとは別に猫話やペット談義でも盛り上がりました。そして私にできる分野でアニマル・ドネーションの活動を手伝いたいと考えるにいたり、ペットは可愛いだけでなく自分の世界を広げてくれる存在でもあるのだと実感しました。

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

小田 亮子

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