【ethica編集長対談】イオン株式会社・三宅香さん(前編)
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【ethica編集長対談】イオン株式会社・三宅香さん(前編)

Photo=Kaori Uchiyama ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

売上高で国内の小売業のトップを走り続けるイオン株式会社。1990年代から環境・社会貢献活動に取り組み、植樹活動や電子マネーを通じた地域貢献、再生エネルギーの導入など、多岐にわたる取り組みを展開しています。

2020年2月19日・20日の2日間、パシフィコ横浜で開催された「サステナブル・ブランド国際会議 2020 横浜」(SB 2020 YOKOHAMA)にスピーカーの一人として参加されたイオン株式会社 執行役 環境・社会貢献・PR・IR担当、三宅香さんは、アメリカで過ごした幼少期を自身の原点とし、世界の中の日本の在り方に目を向けてキャリアを築いてきました。三宅さんの海外での経験や、現在の役職、海外から見た日本の環境意識、そして日本の女性に対するメッセージを、エシカ編集長・大谷賢太郎がお聞きしました。

多様性を尊重するアメリカで過ごした、幼少期と大学時代

三宅さんはご両親の留学先だったアメリカで生まれ、日本とアメリカを行き来しながら育ち、アメリカの大学に進学しました。アメリカでの生活は三宅さんの原点であり、仕事観や環境問題への取り組み方にも大きな影響を及ぼしています。

大谷: 幼少期はアメリカで過ごされたんですね。

三宅香さん(以下、三宅): 小学校の途中までアメリカの学校に通いました。日本に戻って小学校の後半、中学校、高校時代を過ごし、その後アメリカの大学に進学しました。日本が嫌だということはまったくなかったのですが、私はアメリカが好きだったので、絶対にアメリカの大学に行きたいと思っていましたね。

大谷: アメリカの良さというのはどんなところでしょう。

三宅: すごく寛容で、多様な文化を受け入れる土壌があるんです。小学校に入学した時、私は英語がうまく話せなかったんですが、担任の先生が「Welcome!」って言って迎えてくれて。すぐにアメリカ人の友達ができたし、気づいたら英語でしゃべっていました。私をしっかり受け入れてくれる学校があって、先生がいて、友達がいて。その環境や文化は私の原点ですね。

大谷: 日本に戻って、小学校の後半数年と中学、高校と過ごした時はどうでしたか。すぐに馴染めましたか。

イオン株式会社 執行役 環境・社会貢献・PR・IR担当 三宅香さん Photo=Kaori Uchiyama ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

三宅: 最初は本当に大変でした。顔かたちは日本人だし両親も日本人なわけですが文化に馴染めず、アメリカに帰りたい、とずっと思っていましたね。

アメリカの大学に進学してからは、専攻していた心理学にどっぷりはまって楽しく過ごしました。卒業後はアメリカの大学院に進みたかったのですが、近くにいて欲しいという父親の要望もあって日本で就職することになり、ジャスコ(現イオン)に入社することになりました。会社は当時積極的に海外進出をしようとしていたので、英語が話せる人材を求めていたんです。

MBA取得、子会社の社長を経て、ブランディングの最前線へ

日本で就職することになった三宅さん。英語力や国際感覚を活かして着々とキャリアを積み上げていきました。現在は、環境問題や社会貢献、IR、広報と、複数の職務を兼任してブランディングに尽力しています。

大谷: ジャスコに入社後、どんな部署に配属になったんですか。

三宅: 国際事業本部という部署です。会社の海外進出を推進したり、海外の事業を日本にもってくることもありました。実は3年勤めたら退職してまたアメリカに行こうと思っていたのですが仕事が面白くなり、結婚・出産も経て、結局10年間同じ部署で仕事をしました。

財務部に異動した後、企業派遣の制度を活用して大学院に通って2005年にMBAを取得しました。2008年には子会社であるクレアーズ日本株式会社の代表取締役社長に就任して、学んだことを実践する場を得ました。クレアーズは当時約200店舗展開して従業員約1000人。小さい会社ですが会社をまるごと任せてもらえたので、これは自分のキャリアの中ですごく大きな財産になりましたね。女の子向けの雑貨を扱う会社でしたから楽しかったですし、娘みたいな若いスタッフとわいわい言いながら仕事をしました。

Photo=Kaori Uchiyama ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

三宅: そこからまたイオン本体に戻って、イオンリテール株式会社のお客さまサービス部を任されました。お客様からの声を聞き、現場を整えていったりプライベートブランドの商品に反映させたり。これもいい経験でしたね。その後、その役職に広報の仕事が加わります。

大谷: お客さまサービス部と広報を兼任するというケースははじめて聞きましたね。イオンならではの、お客様に寄り添った人事です。理にかなっていますね。

三宅: さらにその後、IR(Investor Relations インベスター・リレーションズ、株主や投資家向けに経営状態などを広報する活動)と環境・社会貢献の役職を兼任したことも、理にかなっていると言えるかもしれません。いわゆるESG投資(環境、社会、ガバナンスの観点を考慮した投資)に対応した配属です。

昔は、環境問題への取り組みとIRはまったく別のカテゴリーの話でしたが、今後は連携が必要と、トップが判断したんだと思います。それから、それらをどうやって対外的にアピールするか、という意味で広報の役割があって。経営陣は、これらがもっと連携していかないと会社のブランディングはうまくいかないと考えたんでしょう。 

大谷: 点と点がつながって、これからの社会が目指す方向性を示すリーダーとしてご活躍されていますね。

(後編に続く)

続きを読む(後編)>>>

イオン株式会社 執行役 環境・社会貢献・PR・IR担当

三宅 香さん

幼少期と大学時代をアメリカで過ごし、1991年にジャスコ株式会社(現イオン株式会社)入社。国際事業本部配属。2002年、イオン株式会社財務部配属。同社の2020年グループビジョン策定PTリーダー、ブランディング部長を経て、2008年、クレアーズ日本株式会社代表取締役社長に就任。2013年、イオンリテール株式会社 グループお客さまサービス部長。その後、執行役員、広報部長、環境・社会貢献・PR・IR担当を兼任し、2017年より現職。

聞き手:ethica編集長 大谷賢太郎

あらゆる業種の大手企業に対するマーケティングやデジタルの相談業務を数多く経験後、2012年12月に『一見さんお断り』をモットーとする、クリエイティブ・エージェンシー「株式会社トランスメディア」を創業。2013年9月に投資育成事業として、webマガジン「ethica(エシカ)」をグランドオープン。2017年1月に業務拡大に伴いデジタル・エージェンシー「株式会社トランスメディア・デジタル」を創業。2018年6月に文化事業・映像事業を目的に3社目となる「株式会社トランスメディア・クリエイターズ」を創業。

創業8期目に入り「BRAND STUDIO」事業を牽引、webマガジン『ethica(エシカ)』の運営ノウハウとアセットを軸に、webマガジンの立ち上げや運営支援など、企業の課題解決を図る統合マーケティングサービスを展開。

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
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ethica編集部

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