(第38話)「着物をもっとカジュアルに。ルールにとらわれない着物の楽しみ方」キコの「暮らしの塩梅」
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(第38話)「着物をもっとカジュアルに。ルールにとらわれない着物の楽しみ方」キコの「暮らしの塩梅」

「私によくて、世界にイイ。」が実現できる、エシカルな暮らしのカタチってなんだろう。仕事に家事に育児に……。日々生活を回すだけでも大変な私たちにとって、新しく行動を起こすのはエネルギーも時間も使うし、ハードルが高く感じてしまうもの。

でも日々の暮らしのなかで、少しでも”良い”につながることができたら?

当たり前の毎日のなかで、大切な家族も、世界も、そして私自身もほんのちょっぴり幸せになるような選択をしていけたらいいなと思うのです。

第37話では、日本の伝統的な衣服である着物の歴史をお伝えしました。今回の記事では、ハレの日はもちろん普段のオシャレにも取り入れたい着物のコーディネートについてお話しします。

今の形が確立されたのは江戸時代

前回お伝えしたように、縄文時代が起源と言われる着物は、その長い歴史のなかでさまざまな変化を遂げてきました。

 

今の形が確立されたのは江戸時代。

今では着物といえば厳しいしきたりがあったり、なんだか堅苦しいものというイメージも少なくありませんが、当時は、公家や武士など上流階級の人々から一般庶民にいたるまで、日常的に着る衣服として、ゆるやかに着こなしを楽しんでいたと言われています。

 

長方形の反物を直線断ちすることで作られる着物は、生地に無駄がなく、着古しても、あるいはサイズが変わっても、仕立て直すことで長い期間着ることが可能です。

そして最後は、布巾や雑巾として利用する。

今あるものを大切にしながらとことん使い切るところに、かつての日本の、物を大切にする心が詰まっているように感じます。

 

染色、織物、柄付けなど伝統技術が駆使され、サスティナビリティーにもあふれた着物は、エシカルファッションの定義とも通ずるところがあります。

 

古き良きものとして心に留めるだけでなく、ちょっとしたハレの日や普段のオシャレにも取り入れてみるのはいかがでしょうか。

 

とはいえ、洋服にフォーマルなスタイルがあるように、着物にも守るべきTPOは存在します。

「格」と呼ばれるそのルールに注意しながら、ハレの日とケの日を使い分けて、着こなしを楽しめたら素敵ですね。

知っておきたい着物の「格」 その種類と特徴

まずは着物の種類と特徴、帯の使い分けについて簡単に説明します。

着物の「格」を大きく分けると、礼装、準礼装、盛装、普段着の4種類があります。

 

礼装:打掛、留袖、振袖、喪服など、冠婚葬祭や成人式のような場面で着る着物です。留袖は既婚の女性、振袖は未婚の女性が着るならわしがあります。

準礼装(略式礼装):礼装の次に格の高い着物。訪問着や付け下げ、紋付の色無地も準礼装に入り、結婚式、お茶事などフォーマルな場で幅広く着用できるものです。

盛装:上の2つは冠婚葬祭や公の場での行事で着用するものですが、盛装はパーティなどの場で華やかに装うことを目的としています。

普段着:気軽なお出かけ着です。小紋や紬などが普段着に分類されます。

 

帯は、格式が高いものから「丸帯(まるおび)」「袋帯(ふくろおび)」、幅広いシーンで使える「名古屋帯(なごやおび)」、普段着や浴衣などに合わせてカジュアルシーンで使う「半幅帯(はんはばおび)」などがあります。

 

ちょっとしたお出かけや普段のオシャレ着、洋服と合わせて楽しむなら、小紋や紬の着物に「半幅帯」「名古屋帯」を合わせるのがオススメです。

カジュアルシーンで活躍、「小紋」「紬」とはどんな着物?

フォーマル以外の幅広い場面で着ることのできる「小紋(こもん)」。

格式高い訪問着や付け下げが、肩から裾の方へと意識して柄が配置されているのに対し、小紋は着物全体に柄が散りばめられているのが特徴です。

 

柔らかな風合いで柄も豊富な小紋は、新年を迎えるにもぴったり。

1年で一番のハレの日でもあるお正月には、吉祥文様と呼ばれる「扇子」「打ち出の小づち」「松竹梅」「亀甲」など縁起のいい柄の着物を身にまとってみるのはいかがでしょうか。

着物で初詣に行けば、より一層新たな気持で1年の始まりを迎えられます。

 

季節を感じたい時は、例えば春なら桜や梅、秋ならもみじや菊などの草花の柄を、旬より少し先取りして。

年間を通して楽しみたい場合は、季節に関係のない幾何学文様や文字文様、動物や生活用具をモチーフにあしらった柄などがおすすめです。

 

小さく描かれた小紋の柄のなかには、近づくことで何の模様かわかるものも。

そんな粋な遊び心もあふれており、選ぶ楽しみが広がるのが小紋の魅力です。

一方「紬(つむぎ)」の着物は、「先染め」といって色のついた糸を織って反物に仕立てたものです。そのため生地に適度なハリがあり、柔らかい風合いの小紋とはまた違った楽しみ方ができます。

 

白い絹生地に後から模様を染めるため、柄が豊富で鮮やかな着物が多い小紋に対し、紬は2〜 3色ほどの色使いで、縞や格子などシンプルな模様が定番です。

有名な鹿児島県の大島紬、茨城県の結城紬をはじめ、全国で個性豊かな紬が作られており、帯や小物の合わせ方でいろいろな着姿を楽しめます。

 

ちなみに、紬は江戸時代に養蚕農家が上質な糸を献上した後に、残ったくず繭から糸を紡いで家族のために着物を仕立てたことが発祥です。

そのため庶民が着るものというイメージが定着し、今もどんなに上質で高価な紬でもフォーマルな場に来ていくことはふさわしくないとされています。

小物で変化を楽しんで

和装は着物と帯がメインではあるものの、小物にもたくさんの種類があります。選び方、組み合わせ方ひとつでガラリと雰囲気が変わることもあり、その楽しみ方は無限です。

基本となる小物は、次の通りです。

 

半衿(はんえり):元々は着物の汚れを防ぐことを目的として、下着に当たる襦袢の衿に縫いつけるもの。白無地のものから柄や刺繍が施された華やかなものまであり、コーディネートの幅を広げてくれます。

帯揚げ(おびあげ):着付けの際に使う帯枕や紐を隠し、帯の形を整えるために使うもの。帯の上からちらりと見えるので、帯や着物の色と合わせてコーディネートします。

帯締め(おびじめ):結んだ帯を上から押さえて形良くキープするのに使うもの。帯の真ん中を締めるため目を引き、着物や帯と合わせて何色を組み合わせるかで、随分と印象が変わります。

帯留め(おびどめ):帯締めの中心を装飾する小物で、着物に華やかさを添えるブローチのようなもの。

草履(ぞうり):かかとが高いほどフォーマルなものとされ、カジュアル用のものは低めになっています。

バッグ:巾着や手提げなどで、デザインやサイズはさまざま。着物や帯はもちろん、草履との組み合わせに統一感があると洗練された印象になります。

 

基本となるこれらのアイテムですが、和装用のものに限らず、普段洋服の時に使っている小物を合わせることも可能です。

 

レトロな柄の着物に、つば付きのハットやレースアップブーツなどを合わせると、大正ロマンを感じさせる粋な雰囲気に。

いつもならワンピースやコートに合わせる、お気に入りのブローチを帯留めとして。

着物の下に着る長襦袢の代わりに、タートルネックのセーターや襟付きのシャツを。

暖かさもアップするので、オシャレを楽しみつつ、着物でもより快適に過ごせます。

 

格式高いイメージの着物ですが、手持ちの洋服や小物も意外と馴染むもの。

自由にコーディネートを楽しんでみるのはいかがでしょうか。

和装のアウターを普段着に

寒い日には欠かせないアウターですが、和装にもアウターがあることはご存知ですか?

カーディガンと同じ役割の羽織から、寒さをしっかりと防いでくれるコートまで、いろいろな柄や素材のものがあります。

洋服の雰囲気や気温と合わせてコーディネートも楽しめますよ。

 

羽織(はおり):主にカジュアルシーンで活躍するアウターで、カーディガンと同じような役割のため、室内でも基本的には脱がなくていいものです。前が開いた状態になっているので、羽織紐を結んで着用します。

道行(みちゆき):和装用のコートである道行は、洋服でいうジャケットのようなもの。襟の形が特徴で、形や色、柄によってフォーマルからカジュアルなシーンにまで幅広く活躍します。

道中着(どうちゅうぎ):衿が着物と同じ合わせ方になっていて、前に付いている紐を結んで留めます。道行よりはカジュアルな場面で着用することが多いですが、柄によってはあらたまった場に着ていくこともよしとされています。

 

着物自体を普段のコーディネートに取り入れるのは難しくても、羽織りものなら、アウター感覚で気軽に着られそうですね。

普段のコーディネートに着物の選択を

いかがでしょうか。

着物は、古着さんをはじめアンティークショップや古道具市などで、好みのデザインのものを数百円から手に入れることが可能です。

 

もしかしたら、実家の押入れや箪笥に着物が眠っているかもしれません。

かつておばあちゃんが着た着物を、自分流にアレンジして着てみる……なんていうのも素敵ですね。

 

着物を着ることは、日本の伝統文化を守りつつ次の世代に繋いでいくことでもあります。

 

いつもの洋服のコーディネートに、和のアイテムをワンポイント加えてみる。

ちょっと特別な日のお出かけに着物の装いを選んでみる。

 

堅苦しく考えすぎず、いつもの洋服を選ぶ感覚で、着物や小物を手にとることが当たり前になったらいいなぁと思います。

【連載】キコの「暮らしの塩梅」を読む>>>

季子(キコ)

一児の母親。高校生のころ「食べたもので体はできている」という言葉と出会い食生活を見直したことで、長い付き合いだったアトピーが大きく改善。その体験をきっかけに食を取り巻く問題へと関心が広がり、大学では環境社会学を専攻する。

産後一年間の育休を経て職場復帰。あわただしい日々のなかでも気軽に取り入れられる、私にとっても家族にとっても、地球にとっても無理のない「いい塩梅」な生き方を模索中。

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

季子(キコ)

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