[連載企画]人を癒す希望の火を灯す(第1話)キャンドル・ジュンさん SONG OF THE EARTH 311 – FUKUSHIMA 2021 – 【ethica副編集長対談】
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[連載企画]人を癒す希望の火を灯す(第1話)キャンドル・ジュンさん

今回の副編集長対談はキャンドルアーティストCANDLE JUNE(キャンドル・ジュン)さんとオンラインで行いました。

キャンドル・ジュンさんは、1994年よりキャンドル制作を始め、2001年より平和活動『Candle Odyssey』を開始。紛争地や被災地を巡り、キャンドルに火を灯す活動を行っています。2011年3月11日に発生した東日本大震災から10年、被災地支援を現在まで続けてこられ、毎月11日の月命日には必ず現地で復興イベントを実施されています。

そんなキャンドル・ジュンさんに、キャンドルとの出会い、ご自身が率いる⼀般社団法⼈LOVE FOR NIPPONによる東北被災地域での支援活動、そして、これからの未来の作り方についてお話を伺いました。

キャンドルとの出会い

萱島: まず「ethica」について簡単にご紹介させていただくと、8年くらい前に立ち上げたwebマガジンです。今回、サラヤさんにつないでいただき、キャンドル・ジュンさんにご登場いただくことになりましたが、サラヤさんには2014年からスポンサーをしていただいています。「ethica」ではSDGsの内容を誰でも簡単に理解できるようにと、サラヤさんの取り組みを通じて全6回の動画を作成し、今3回まで配信しているところです。

「ethica」は「私によくて、世界にイイ。」をグランドコンセプトとしてまして、読者の約7割が女性、主に20代~30代前半の若い女性なんですけれども、多彩なジャンルで世の中のサステナブルなニュースやオシャレ情報を発信しています。今回は、福島を継続的に支援されてきたキャンドル・ジュンさんの活動をご紹介して、東日本大震災の記憶を風化させずに今また注目してもらうきっかけになればと考えています。どうぞよろしくお願いします。

キャンドル・ジュン(以下CJ): よろしくお願いします。

萱島: では、まずキャンドルとの出会いや、ジュンさんご自身のことについてお聞かせください。幼い頃、日曜日は毎週教会で過ごしていたと伺っています。今の活動につながる原体験のようなものがそこにあったのでしょうか。

CJ: 実は毎週教会に行くことが嫌いで、なぜ毎週教会に行かなくてはいけないのか、神様がいう通りの暮らしをしていれば毎週教会に行って確認したり、懺悔をしなくてもいいんじゃないかと思っていました。

僕の父親はバイオリンを作る人で、自分も作りたいと幼少期に父親に伝えて、まずはバイオリンを弾くことから始めました。弾けないと作る時に、いい音なのかどうか分からないですからね。いざレッスンが始まると日々いろいろ忙しくなって、その中で毎週日曜日に教会に行くことを幼いながらもますます疑問視するようになっていったんですが、ただ、時々あるローソクだけのミサとかローソクの光だけで行う時間はとても好きでした。おそらく、その辺がキャンドルの最初の入り口でしょうね。

萱島: 教会の中で点されているキャンドルって、ユラユラしてすごく幻想的ですからね。子どもにとっては刺激的で神秘的なものだったんでしょうね。そんな幼少時代から実際にキャンドルを作り始めたきっかけは、どんなことだったんでしょうか。

CJ: 教会的な教えもあったんだろうと思いますが、幼い頃から起きている間中、自分はなぜ生まれてきたのか、何のために生まれてきて何をすべきでないのかという問いが自分の中にずっとありました。とはいえ、親元にいる間は、そこまで真剣に向き合わなくてよかったんですけど、18歳か19歳の頃から1人暮らしを始めるようになって、生きるために必要な家賃を払うとか、ご飯を食べるとか、そのために日常をほぼ費やす生活になった時、いよいよこのクエスチョンと向き合わざるを得なくなったんです。

自分が18歳とか19歳の頃ってポジティブとかネガティブという言葉が流行り始めていた時期で、周りの人たちは「難しく考えないでポジティブにやれることをやれよ」みたいなことをいっていたんですけど、自分が何のために生きているのかが分からないのに、そのままにしているほうがネガティブじゃないかと思って、寝る・食べる・飲むという生きるために必要なことをやめて、自分自身と問答しようと思った時、部屋にキャンドルがあったんです。

萱島: その頃からすでにキャンドルが欠かせないものになっていたのですか。

CJ: 教会での体験はありましたが、決してそういうわけではありません。ただ、部屋のインテリアにこだわった時期があって、その時に買っていました。

それで、最初は部屋にキャンドルを点しながらライティングを落として音楽をかけ、自分なりの瞑想をしてみました。その時、自分はすでに自分の中にあるんだと思っていたので、それと向き合おうと考えて、そんな空間を作っていったんですね。実際に外に出て体験して自分自身を見いだすのではありませんでしたが、いわば自分探しの旅に出たわけです。

その中で結局、音楽も誰かが作っているものなので、その人の主張が聞こえてしまうような気がして、そこから引き算をしていったらローソクだけになって、ローソクを点しながらずっと問答を続けていくということをしていました。

萱島: なるほど。それがキャンドルとの出会いというわけですね。

CJ: ええ、そうなりますね。

(第2話に続く)

連載企画「人を癒す希望の火を灯す/キャンドル・ジュン SONG OF THE EARTH 311 – FUKUSHIMA 2021 –」全8回にわたってお届けしてまいります。これからどうぞお楽しみに。

 

【連載】「人を癒す希望の火を灯す」を読む>>>

CANDLE JUNEキャンドルジュン

アーティスト/ フィールドデザイン/ ディレクター

1994年、キャンドル制作を始める。「灯す場所」にこだわり様々なフィールドで空間演出を行い、キャンドルデコレーションというジャンルを確立。

2001年、原爆の残り火とされる「平和の火」を広島で灯してからは「Candle Odyssey」と称し、悲しみの地を巡る旅を続ける。

2011年、東日本大震災を受けて「一般社団法人LOVE FOR NIPPON」を発足し支援活動を始める。

ethica副編集長 萱島礼香

法政大学文学部卒。総合不動産会社に新卒入社。「都市と自然との共生」をテーマに屋上や公開空地の緑化をすすめるコミュニティ組織の立ち上げを行う。IT関連企業に転職後はwebディレクターを経験。主なプロジェクトには、Sony Drive、リクルート進学ネットなどがある。その後、研究機関から発足したNPO法人に参加し、街の歴史・見どころを紹介する情報施設の運営を担当した。2018年11月にwebマガジン「ethica」の副編集長に就任。

ーーBackstage from “ethica”ーー

東日本大震災から10年を迎える福島で、CANDLE JUNさん率いる一般社団法人LOVE FOR NIPPONによる追悼復興イベント「SONG OF THE EARTH 311 – FUKUSHIMA 2021 -」が3月10日(水)から4日間にわたり開催します。『One more action !』をテーマに、開催が叶わなかった2020年の想いとともに、CANDLE 11th、3.11夢の大凧あげ、FESTIVALやシンポジウムといったイベントを実施予定。詳しくは公式サイトをご覧ください。

SONG OF THE EARTH 公式サイト
http://songoftheearth.info

提供:サラヤ株式会社
https://www.yashinomi.jp

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

萱島礼香

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