TBS秋沢淳子さん鼎談(第5話)仕事とプライベートの両立
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TBS秋沢淳子さん鼎談(第5話)仕事とプライベートの両立

パシフィコ横浜で開催された「サステナブル・ブランド国際会議2022横浜」(SB 2022 YOKOHAMA)に基調講演の1人として参加されたTBSの元アナウンサーで現在は総務局CSR推進部で部長を務める秋沢淳子さん。

社業以外でも2000年に国際交流・教育支援・国際協力をテーマにしたNGO団体「スプートニクインターナショナル」を設立しスリランカで積極的に活動するなど多方面で活躍されています。

そんな秋沢さんに「ethica」編集長・大谷賢太郎、副編集長・萱島礼香がお話をお聞きしました。

【目次】 TBS秋沢淳子さん鼎談

(第1話)アジア最大級の短編映像フェスティバル「DigiCon6」

(第2話)Intercultural Programsで異文化体験留学

(第3話)NGO「スプートニクインターナショナル」を設立

(第4話)持続可能な途上国アーティスト支援「ホワイト・キャンバス」

(第5話)仕事とプライベートの両立

(第6話)グローバルとインターナショナルの違い

(第7話)留学経験が全ての起点

(第8話)やっぱり自分って食べ物でできている

仕事は、高校生の時からずっとやっていたボランティアの延長線

大谷: ところで今、秋沢さんはTBSでCSRの部長さんですよね?

秋沢: はい。去年(2021年)の7月に着任しました。CSR推進部の仕事って、私の人生のミッションでもあり、高校生の時からずっとやっていたボランティアの延長線上にあるものなので、やりがいがとてもあります。限られたバジェットの中で新しいプロジェクトをやるのも得意なので、TBSが世のため人のための会社になるといいなあと思って(笑)一生懸命やっています。

一方で、マスコミとして、社会に向かってSDGsを推進していくための良い事象などの発信をしているのに、自分自身の活動は、巨体をズルズル引きずっているかのようで、目標にむかって前進するのが遅いイメージがあります。世の中の移り変わりに合わせ、活動内容を見直し、時にかなったソーシャルグッドな活動を進めることがなかなかできないもどかしさがあります。

プライベートでは、グラミン銀行の創設者ムハマド・ユヌスさんの講演の司会を担当

萱島: 最近、テレビ番組でもSDGs関連のものをよく目にします。SDGsの目標については知られてきているけれども、このように企業さんがよい取り組みをしていることはまだあまり知られていない気がします。その点について、秋沢さんはどうお考えになっていますか?

秋沢: どの企業さんもCSR的な活動をすごく熱心にやっていらっしゃいますけど、CSRの性格上、うちはこんないいことをやっていますよ、という事はなかなかPRできませんね。だから、TBSでもしっかり活動しつつもホームページではいちばん下のほうに活動紹介が書いてあって、正直“アピール”になっていないというのはありますね。

日本的奥ゆかしさなのか、良い活動でも“いやらしくない程度”にやらないといけません。どっちかというと、周りの人に「TBSってこんな素敵な活動しているんだ」と騒いでいただいたほうが助かるなと思っているので、今回の「ethica」さんの取材はすごくありがたいです(笑)。

萱島: たしかにCSRにはそういう一面がありますよね。それに対してSDGsはPRという面ではずっとやりやすいのではないですか?

秋沢: 私もそう思います。SDGsは社会に啓蒙することも合わせて、自社の活動をPRしやすいですね。多くの皆さんに知っていただき、会社の価値を上げ、利益につなげていければという感じです。TBSのSDGs企画室は同期が部長なので、情報交換しながら次は何をしようかと話しています。

私はプライベートでもボランティア活動をしているので、TBSの1日の仕事時間と、それ以外のプライベート時間とを考えると、人の2倍生きているようなイメージがありますね(笑)。

友人には、生き急いでいるね~と言われます。でも、お陰様でネットワークも広がりました。ちなみに、昨日の夜はノーベル平和賞を受賞されたバングラデシュのグラミン銀行(※注)の創設者ムハマド・ユヌスさんのオンライン講演会の司会をやってきました。

(※注)バングラデシュの農村で、土地を所有しない貧困層、特に女性の生活を支援する. ために小規模金融(マイクロファイナンス)を行う銀行

 

大谷: それはすごい。今、秋沢さんのお話を伺っていると、やっぱりご自身の活動が明確だから、それに近いお仕事が来るということでしょうかね? TBSは関係なくても同じようなテーマでやっていらっしゃるわけですね?

秋沢: そうですね。弊社はなかなか社員の社外活動を誉めない文化があったような気がします。私も自分がやっているボランティア活動を潰されないように、どんないいことでもそっとやってきました。最近はSDGsの追い風が吹いていて、ようやく、自分が社会でプライベートで行っている活動について語れるようになりました。すごくいいタイミングでアナウンスセンターを離れることができたので、局の顔としてのアナウンサーの責任から解放され、今、やりたい事が自由にできるようになり、超ハッピーな感じですね(笑)。

とにかく私がCSR推進部にいる間に届けなくてはいけないTBSのソーシャルグッドな活動情報をどんどん発信していきたいなと思っているので、「ethica」さんにもご協力いただけると嬉しいですね。

1%のターゲットに届けていきたい

大谷: 僕らって役割としてはマスメディアではなくて、もともとクラスメディアとしてコアな情報を取り上げていこうという考えで立ち上げています。テレビ映像(電波)などそれぞれの役割はありますけど、活字には活字の役割があって、そこでコアなターゲットに対してのマガジンを作りたいと思って2012年に企画して13年に立ち上げたのが「ethica」なんですよ。

秋沢: ということは来年で10年ということですね。すごいですね。

大谷: 今やスマホの時代で、スマホが雑誌の代わりになります。

秋沢: そうなんです。その通りなんです。

大谷: 僕らの目指すところというのは、グサッと刺さる1%になりたいということで、たまたまグーグルやSNSで来たとしても99%はお帰りいただいても結構です。でも、グサッと刺さった1%がまた読みたいなと思ってリピートしてくれればいいと考えているんですよ。

秋沢さんとお話をしていて想定通りだなと思ったのは「ethica」の読者って、1つは帰国子女とか海外経験のある方、留学を積極的に受け入れている大学のご出身の方です。そして、もう1つは芸大・美大のご出身の方です。この2つがウチの読者層のコアなところなんです。2つに共通して言えることは海外の文化に触れる機会が多かった方です。本来だったら割合的には留学経験のない人のほうが多いわけじゃないですか。でも、うちは海外で育ったり、留学経験のある人が多いんですよ。ですから、秋沢さんのお話を伺っていると全部その通りだなと思えるんですよ。

秋沢: 今の大谷さんの考え方に100%共感しますね。そういうのはすごく面白いと思いますよ。

大谷: 秋沢さんはもともと帰国子女で、今アートをやっていらっしゃいますが、その点にもすごく親和性を感じます。

(第6話に続く)

 

続きを読む(第6話)>>>

 

秋沢淳子

株式会社TBSテレビ/株式会社TBSホールディングス

総務局 CSR推進部 部長、DigiCon6 Asia事務局 海外ディレクター

一般社団法人 Sputnik International
創設理事

公益財団法人 AFS日本協会
理事

ethica副編集長 萱島礼香

法政大学文学部卒。総合不動産会社に新卒入社。「都市と自然との共生」をテーマに屋上や公開空地の緑化をすすめるコミュニティ組織の立ち上げを行う。IT関連企業に転職後はwebディレクターを経験。主なプロジェクトには、Sony Drive、リクルート進学ネットなどがある。その後、研究機関から発足したNPO法人に参加し、街の歴史・見どころを紹介する情報施設の運営を担当した。2018年11月にwebマガジン「ethica」の副編集長に就任。

聞き手:ethica編集長 大谷賢太郎

あらゆる業種の大手企業に対するマーケティングやデジタルの相談業務を数多く経験後、2012年12月に『一見さんお断り』をモットーとする、クリエイティブ・エージェンシー「株式会社トランスメディア」を創業。2013年9月に投資育成事業として、webマガジン「ethica(エシカ)」をグランドオープン。2017年1月に業務拡大に伴いデジタル・エージェンシー「株式会社トランスメディア・デジタル」を創業。2018年6月に文化事業・映像事業を目的に3社目となる「株式会社トランスメディア・クリエイターズ」を創業。

創業10期目に入り「BRAND STUDIO」事業を牽引、webマガジン『ethica(エシカ)』の運営ノウハウとアセットを軸に、webマガジンの立ち上げや運営支援など、企業の課題解決を図る統合マーケティングサービスを展開。

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

ethica編集部

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