クリエイティブの力で“水の問題”に取り組む、博報堂DYグループ有志メンバー ~安全な水を世界の子どもたちに~ TAP PROJECT JAPAN【後編】
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クリエイティブの力で“水の問題”に取り組む、博報堂DYグループ有志メンバー

楽しげに話し合うメンバーですが、このイベントで初めて会った人もいるそう。  Photo=Kentaro Ohtani (TRANSMEDIA)

博報堂DYグループと日本ユニセフ協会が共同で取り組むのは、世界でも重要視されている水の問題。前編に引き続き紹介するのは、同社有志81名によって展開されているTAP PROJECT JAPAN。クリエイティブの力を活かしたイベントが開催されましたので、そこに集った有志メンバーにお話をうかがいました。

全3回でお送りしてます。

【前編】日本ユニセフ協会と博報堂DYグループの有志81名が集結し、水の問題に取り組むTAP PROJECT JAPANとは?
【後編】クリエイティブの力で“水の問題”に取り組む、博報堂DYグループ有志メンバー
【インタビュー編】日本ユニセフ協会&博報堂DYグループの有志メンバーに聞きました。「私によくて、世界にイイ。」とは?

「デザインの力で暮らしや社会を美しくする」

TAP PROJECT JAPANは2009年3月からスタートした、9年の実績があるプロジェクト。毎年、日本ユニセフ協会と博報堂DYグループの有志メンバーが集い運営されている共同プロジェクトだそうです。「デザインの力で社会課題を解決する」というビジョンを掲げ、様々なアイデアを出し合い、毎年8月に水に対する新しい気づきを与えられる施策を実施しています。今年の施策が、今回エシカ編集部がお邪魔したイベント『ROAD to WATER』です。

本業のお仕事も忙しいなかイベントに集合した有志メンバー。もちろんボランティア参加ですが、皆さん全力で各役割を全うされていました。

草の位置から音まで。徹底してこだわるのが博報堂流

今回お話を伺った有志メンバーは、(株)博報堂、(株)博報堂アイ・スタジオ、(株)博報堂デザインの方々。アートディレクター、デザイナー、プランナー、プログラマなどクリエイティビティを活かし日々の業務に携わっています。それぞれ所属や業務内容は違いますが、個々の専門や得意分野を活かして今回のプロジェクトが進行されました。

今回のゲームのこだわりポイントを熱心に語ってくれました。 Photo=Kentaro Ohtani (TRANSMEDIA)

映像の美しさに、子どもも大人も見入っていました。 Photo=Kentaro Ohtani (TRANSMEDIA)

「博報堂DYグループには社会課題解決を目指すソーシャルアクションがいくつもあるのですが、TAPPROJECT JAPANの参加を募るポスターがかっこよくて応募しました」「今年はメンバー募集のメールが来ましたので。昨年は応募方法が分からなかったんです」という人も。しかし何気ない入口から足を踏み入れて、完成度の高いゲームやTAPマガジンなどを作り上げてしまうのは、さすがです。

「このプロジェクトには初参加でしたが、今回のTAP MAGAZINEの編集や執筆に携わりました。すでに次回に向けて改善点なども考えていますよ」 Photo=Kentaro Ohtani (TRANSMEDIA)

今回のイベントはゲームというところに落ち着きましたが、最初のアイデア出しの段階では様々な意見が出たそうです。「私は海の家でシャワーが少ししか出ないというのを提案しましたよ。マダガスカルの家庭で1日に使える水の量しか出せないという」「バケツに本物の水を入れて実際に走るというイベントも考えていたよね」「そう、でも場所の許可をとるのが困難そうで断念(笑)」などなど、博報堂DYグループの社員同士が自由に意見を言い合える会議の様子が垣間見えました。

イベント最終日には、すでに次回に向けた構想なども話し合われていました。 Photo=Kentaro Ohtani (TRANSMEDIA)

そしてゲームを作ると決まったら、そのグラフィック制作にも次々とクリエイター魂を発揮。マダガスカルの空の色、土の質感、木の大きさ、草の位置など、様々な検証が重ねられたそうです。もちろんコンピュータグラフィックでの制作ですが、草の位置を調整する作業などは、手で植えるような感覚だったそうです。さらに、流れる音楽にもこだわりが。「最初は足音だけ入れようと思っていたのですが、子どもが楽しめるようなBGMがあった方が良いと思い、音楽プロデューサーに相談しました。そのうちに音に厚みを持たせたいとかこだわりが出てきて、結果このようなゲームが完成しました」

皆さん自分の役割や仕事を語る時は、真剣モード。 Photo=Kentaro Ohtani (TRANSMEDIA)

じつは、かなり短期間で完成させたゲームということでしたが、その完成度の高さには驚かされます。日本ユニセフ協会の皆さんも「本プロジェクトで完成する施策は、毎年思うのですが、水と衛生の問題を伝える他のイベントや展示でもぜひ運用させていただきたいと考えています」と話していました。

「他のイベントでも運用させていただきたい」という言葉に、達成感を感じるメンバー。 Photo=Kentaro Ohtani (TRANSMEDIA)

ゲームに参加した男の子の感想は?

「水を運ぶゲームに何度か挑戦したよ。3回目に運んだ時は、こぼさないで100%達成できたんだ」そう楽しそうに教えてくれた9歳の男の子。今年の夏はプールにもたくさん行ったのか、健康的に日焼けした笑顔を見せてくれました。でも、プールを水でいっぱいにするのは大変なことだよね。毎日入るお風呂も水をたくさん使うよ。このゲームみたいにバケツで水を入れたら、どうなると思う?横からお母さんが質問を投げかけました。「お風呂だとバケツ30杯くらいかな。何回井戸とお風呂を往復すればいいんだろう…。そういえば1回で何キロの距離を運ぶんだろう…」。水道設備がない場合の、水を手に入れる大変さがジワジワ伝わってきた男の子。この水運びだけで1日が終わっちゃうね、とお母さん。「それだと学校に行けないし、遊ぶ時間もないよ」。マダガスカルの子どもたちの過酷な環境に気づいた瞬間です。「でも近くに井戸があればOKなんだよね」と、募金に協力してくれました。ありがとうね!

水を運ぶゲームを楽しみつつ、募金にも協力してくれた裕紀くん(9歳)。世界の水の問題を知るきっかけになったかな? Photo=Kentaro Ohtani (TRANSMEDIA)

イベント内容を知らなくても、ゲーム会場の雰囲気につられてフラッと立ち寄る人も。 Photo=Kentaro Ohtani (TRANSMEDIA)

ーーBackstage from “ethica”ーー

今回、有志メンバーには座談会風にお話しをうかがいましたが、日ごろクリエイティビティを発揮している博報堂DYグループならではの視点で話が聞けました。様々なこだわりやアイデアを熱心に語ってくれました。有志のソーシャルアクションにも楽しく、そして仕事と同じように向き合う姿に、博報堂DYグループの社風が見えた気がします。

記者 小田 亮子

神奈川県出身。求人広告、結婚情報誌などの制作ディレクターを経てフリーランスに。現在おもにブライダル関連のレポートを「ゼクシィ」「ゼクシィPremier」にてディレクション。「ethica(エシカ)~私によくて、世界にイイ。~ 」ほか、エステティック、化粧品、ジュエリーなどの記事をライティング。三人姉妹の真ん中に育ち、女子高・女子大卒。趣味は愛猫(雌)との女子会。

【インタビュー編】日本ユニセフ協会&博報堂DYグループの有志メンバーに聞きました。「私によくて、世界にイイ。」とは?

Photo=Kentaro Ohtani (TRANSMEDIA)

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

小田 亮子

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