縄文人のライフスタイル【土偶女子・譽田亜紀子さん 徹底取材③】
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縄文人のライフスタイル【土偶女子・譽田亜紀子さん 徹底取材③】

1万年前、この日本列島にはどんな人たちが暮らしていたのか。最新の研究成果もまじえ、読者の想像力をかきたてる一冊。

現在、上野の東京国立博物館にて「縄文—1万年の美の鼓動」展が開催されています。縄文時代の国宝6件すべてが初めて一堂に揃った同展は、先日、来場者20万人を突破。かつて岡本太郎が絶賛した躍動感あふれる縄文の造形表現は、最近では若い女性たちを魅了しているようです。

「土偶女子」として、縄文時代の魅力を様々な形で発信し続けている文筆家の譽田亜紀子(こんだあきこ)さんを、ethica編集部が取材しました。

【土偶女子・徹底取材企画】として全6回でお送りしていきます。

【徹底取材①】1万年前の日本のものづくりから受けた衝撃
【徹底取材②】子供も外国人も、誰もが楽しめる縄文

譽田さんの著書の中でも特に人気が高く、このほど第4刷が決定したとか。

凝縮された生の時間

ethica編集部: 譽田さんの『知られざる縄文ライフ』(誠文堂新光社)は、縄文人の衣・食・住について、イラスト付きでわかりやすく解説されていますね。食生活のページなど楽しく拝読しました。

譽田さん: 縄文人というと狩猟のイメージが強いですが、どんぐりやくるみ、栗など、ハイカロリーな木の実が主食だったようです。そこに狩猟で得られた動物性のタンパク質が加わって。

とは言え、食糧事情は決して良くなかったようです。縄文時代の1万年の間には気候の変動があって、寒冷化の時期には遺跡の数がグッと減るんです。それはつまり、十分な食糧が得られず、人口が減った結果だと思います。

ethica編集部: 縄文人の平均寿命は40歳くらいなんですね……われわれ、もっと大事に生きないと……。

譽田さん: かつては30歳くらいだろうと言われていたのですが、研究が進み、現在はもう少し平均寿命が高かったんじゃないかと言われています。けれどやはり現代に比べれば短いですね。乳幼児死亡率が高かったというのもあるので、もちろん長生きをした人もいます。ある程度の年齢の層が無いと、集落が成立しないですから。年長者の知識の蓄積と伝承が無ければ、あのような土器をつくれる文化は発達しないと思うんです。

 

譽田さんの著書『知られざる縄文ライフ』(誠文堂新光社)は、縄文人の衣食住をイラスト入りで紹介。

ethica編集部: 譽田さんの本を読んで、改めて、私たちって1万年前のご先祖様のことを何も知らないんだと気付かされました。今の安全で便利な生活を、あまりにも当然のこととしてとらえていて。縄文時代のことを知ると、どんどん想像力が豊かになりますね。

(続く)

【徹底取材④】謎だらけの縄文人の世界観

【展覧会情報】

特別展「縄文—1万年の美の鼓動」
会期:2018年7月3日(火)〜9月2日(日)
休館日:月曜日
時間:9:30〜17:00 金曜・土曜日は21:00まで。日曜日は18:00まで。入館は閉館の30分前まで
会場:東京国立博物館 平成館(東京都台東区上野公園13-9)
公式サイト:http://jomon-kodo.jp

譽田亜紀子(こんだあきこ)

文筆家。岐阜県生まれ。京都女子大学卒業。奈良県橿原市の観音寺本馬遺跡の土偶との出会いをきっかけに、各地の博物館、遺跡を訪ね歩き、土偶、そして縄文時代の研究を重ねている。現在は、テレビ、ラジオ、トークイベントなどを通して、土偶や縄文時代の魅力を発信する活動も行っている。著書に『はじめての土偶』(2014年)、『にっぽん全国土偶手帖』(2015年、ともに世界文化社)『ときめく縄文図鑑』(2016年、山と溪谷社)『土偶のリアル』(2017年、山川出版社)『知られざる縄文ライフ』(2017年、誠文堂新光社)『土偶界へようこそ』(2017年、山川出版社)。近著に『縄文のヒミツ』(2018年、小学館)『折る土偶ちゃん』(2018年、朝日出版社)がある。『中日新聞』『東京新聞』毎週水曜日夕刊にコラム「かわいい古代」連載中。

記者:松崎 未來

東京藝術大学美術学部芸術学科卒。同大学で学芸員資格を取得。アダチ伝統木版技術保存財団で学芸員を経験。2011年より書評紙『図書新聞』月刊誌『美術手帖』(美術出版社)などのライティングを担当。2017月3月にethicaのライター公募に応募し、書類選考・面接を経て本採用となり、同年4月よりethica編集部のライターとして活動を開始。関心分野は、近世以降の日本美術と出版・印刷文化。

ーーBackstage from “ethica”ーー

『知られざる縄文ライフ』は個人的にもかなりオススメの本です。水道も電気もガスもない時代なので、ひとつひとつのことをするのにものすごく時間と労力がかかったと思います。そうした状況で、私たちよりも短い一生を、何を思いどうやって生きていたんだろう、と興味がつきません。

【徹底取材①】1万年前の日本のものづくりから受けた衝撃
【徹底取材②】子供も外国人も、誰もが楽しめる縄文

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

松崎 未來

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