セブン&アイ・ホールディングス 釣流まゆみさん講演
独自記事
このエントリーをはてなブックマークに追加
Instagram
セブン&アイ・ホールディングス 釣流まゆみさん講演

ethicaがメディアパートナーとして参加した「サスティナブル・ブランド国際会議2021横浜」(SB 2021 YOKOHAMA)では多くのセミナー、ディスカッション、ワークショップが繰り広げられ、さまざまな貴重な提言や発表が紹介されました。

その中で「サステナブル・ブランドへの羅針盤ーJSBI(Japan Sustainable Brand Index)の調査報告と企業のサステナビリティ&コミュニケーション戦略事例」と題された講演の中から株式会社セブン&アイ・ホールディングス サステナビリティ推進部 執行役員 釣流 まゆみさんの発表をご紹介します。

同社が今、何を目指してどのようなことをやっているのか、早速お話に耳を傾けてみましょう。そこには「暮らしとエシカル」のヒントが隠されているかもしれません。(記者:エシカちゃん)

最大のパートナーはお客様

今日こちらに呼んでいただいたということは、サステナブル・ブランドの片隅に入れていただけたものと思っております。よろしくお願いします。

私たちは小売業でございます。先ほど花王のデイブさんからお話がありましたように、パートナーシップがお店を成り立たせています。最大のパートナーはお客様です。

私たちのグループは1920年、イトーヨーカドーの創業よりスタートし、昨年で100周年を迎えました。100年やってきた中で言えますのは、お客様の社会課題、生活課題を解決することで私たちの企業が成長してきたということです。私たちは企業として成長させて頂くとともに、少しでもお客様の生活がよりよくなったことを信じながら、今まで100年やってくることができました。

今回、私がご説明させていただくのは、環境宣言『GREEN CHALLENGE 2025』についてです。

私たちが歩んできた100年の中で最大の課題は、「環境負荷をいかにして低減できるか」でございました。いま、環境の問題というのはひじょうに大きな関心ごとです。私たちは小売業として日本で2万3000店、世界で7万店強のお店を持っています。フロントラインにいる責任を果たすために、さらなる環境負荷低減に向け舵を切ったということでございます。

環境宣言『GREEN CHALLENGE 2025』

私たちのお店では、国内だけで毎日2500万人のお客様にレジを通過していただいています。ここにいらっしゃる方もセブン-イレブンをお使いいただくことが多いかと思います。

私たちのグループはセブン-イレブンだけではなく、イトーヨーカドー、そごう・西武などたくさんの事業会社を持っています。その1つ1つでお客様とともに歩んできたのが、私たちのグループだということをぜひご理解いただきながら、私たちが皆様とともに環境宣言を必ず達成するということを、お約束させていただきたいと思います。

これは2018年に新聞広告で出させていただいた、ESG・SDGsのストーリーで示した企業ビジョンになります。セブン&アイが目指す持続可能な未来を掲げております。

今日、高校生の方もたくさんいらっしゃっているようですが、そうした未来世代に向けてお約束することとしてスタートしたわけです。

右側にありますのが環境宣言です。これは2019年に策定しました。グループを挙げて1つのゴールに向かっていこうということで、具体的に4つの目標を出させていただきました。カーボンニュートラル、サーキュラーエコノミーを大きな主軸として進めていくことを宣言させていただいています。また、持続可能な調達も含めてグローバルな視点で進めていくことを掲げております。宣言を行った2019年は、カーボンニュートラルではないのですが、国と合わせてCO2を80%削減することを目標としました。

昨年は、国とともに進めていこうということで、カーボンニュートラルへ目標を修正致しました。企業というのはサステナブルであること、つまり、活動は持続可能なものであってこそ進められるべきものだと思っています。

 

イノベーションのリーダー足り得る役員クラスを選任

私は2019年の3月に着任し、その年の5月に環境宣言をださせていただきました。その宣言を確実なものとする為に、組織体制を弊社のトップと一緒に考えました。グループ挙げての組織にしようということで、4つのテーマに合わせて4人のリーダーを立て、組織の枠組みを超えたチームを組みました。

私たちのグループにはいろいろな企業がございます。企業ごとの目標も立てております。しかし、私どものグループで1つのゴールを作ったことは初めてです。その中でやり抜くためのグループを超えた横断的な活動をしていくこと、また、ここにいらっしゃる皆様や未来世代の方々とともにイノベーションを起こしていくこと、そのためにイノベーションのリーダー足り得る役員クラスを選任しています。

 

 

再生可能なエネルギーへの挑戦

少し具体的なお話をさせていただきたいと思います。それは再生可能なエネルギーへの挑戦ということです。RE100というのを去年11月にステートメントで出させていただきました。神奈川県とSDGs協定を結ばせていただき、神奈川県のチームが、再生可能エネルギーを100%使うセブン‐イレブン店舗を2019年の9月に発表させていただきました。まだ10店舗ですが、店舗ではリユースバッテリーや蓄電池を使っています。太陽光のエネルギーは再生可能なエネルギーであるという点でとても大切です。

ただし、太陽光は不安定です。そこで安定的な電力を夜間に持ち込もうということで、蓄電池を使わせていただいています。また、リユースバッテリーを使うことで、サステナブルな仕組みにしたいのですが、まだまだコストの課題があります。

それと、RE100の中でメガソーラーにもチャレンジしています。実際にアリオ市原の店では、4分の1の電力を太陽光で賄うことに成功しています。今、お話をさせていただきましたのは、エネルギーの循環を地産地消でやっていきたいという事例です。

 

ペットボトル循環

もう1つがペットボトル循環です。プラスチックの問題はひじょうに深刻です。海洋プラスチックの問題は、海にたくさんのプラスチックごみが流れ込んでいるということですが、日本はこの問題に対して素晴らしいことをしています。

ペットボトルというのは単一素材で、完全循環ができる素材です。

私たちはペットボトルの回収を2012年から始めまして、19年には3億6000万本集めることができました。

まず、お客様にペットボトルの飲み物を買っていただいて、飲み終わったらそれをきれいにしていただいた後ペットボトル回収機にいれていただきます。自治体様と連動して回収業者様に引き取っていただき、それをリサイクラー様がペレットにリサイクルします。飲料メーカーさんがそれを用いて商品にし、私どもに納品していただくことで完全循環を実現しています。この取り組みはまずコカ・コーラさんと2019年6月より始めました。

先ほど花王さんからもお話がありましたように、私たちはプラスチックの完全循環はできると思っています。簡単ではありませんが、ペットボトルのような単一素材であれば、やりやすい。ただし、それはお客様のご協力があってこそ。きれいにしていただければ、何度も何度も使うことのできるものになるということです。

そういったことをぜひご理解いただきながら、生活者の皆様とともに歩んでいくことが私たち小売の役割だと思います。

ペットボトル循環、これを2万3000店、全店に広げていきたい

ペットボトル回収機での取り組みは、はほんのわずかな循環です。回収機の台数もまだ1000台しかありません。これを2万3000店、全店に広げていきたいということで、アクションしていきます。ぜひその時には、これが有効な方法である、これが日本のモデルとなるということで、進めていければと考えています。これには皆様の協力あってこそですので、ぜひ皆様と共に進めていきたいと思います。小売業としては、フロントラインにいらっしゃる皆様と、サプライチェーンを支えていただいているお取引先様、全ての方々と一緒にパートナーシップの下で進めることが、成功に結び付くと考えています。是非皆様のご協力を頂きたいと思っています。今後ともよろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。

 

釣流まゆみ

㈱セブン&アイ・ホールディングス 執行役員 経営推進本部 サステナビリティ推進部 シニアオフィサー

津田塾大学国際関係学科卒業。(株)西武百貨店入社(現(株)そごう・西武)。 池袋本店婦人雑貨部、販売促進部、等を経た後、営業部門へ。執行役員顧客サービス部長、執行役員池袋本店副店長、執行役員所沢店店長、執行役員東戸塚店店長、執行役員文化プロモーション部長。 2019年3月より(株)セブン&アイ・ホールディングスへ。

グループ環境宣言「GREEN CHALLENGE 2050」の達成を推進。

記者:エシカちゃん

白金出身、青山勤務2年目のZ世代です。流行に敏感で、おいしいものに目がなく、フットワークの軽い今ドキの24歳。そんな彼女の視点から、今一度、さまざまな社会課題に目を向け、その解決に向けた取り組みを理解し、誰もが共感しやすい言葉で、個人と世界のサステナビリティーを提案していこうと思います。

今年もethicaがメディアパートナーとして参加した「サスティナブル・ブランド国際会議2021横浜」の内容を1年かけてレポートしていきます。さまざまな貴重な提言や発表をお届けしますので、ご期待ください!

[連載企画]サステナブル・ブランド国際会議2021横浜

 

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

エシカちゃん

このエントリーをはてなブックマークに追加
Instagram
【ethica Traveler】 連載企画Vol.6 宇賀なつみ (第5章)ゴールデン・ゲート・ブリッジ
独自記事 【 2024/3/27 】 Work & Study
「私によくて、世界にイイ。」をコンセプトに2013年に創刊した『ethica(エシカ)』では、10周年を迎える節目にあたり、エシカルでサステナブルな世界観、ライフスタイルをリアルに『感動体験』する場を特集しています。 今回は、カリフォルニア州サンフランシスコ市のエシカルな取り組みを取材!エシカ編集部と共にサステナブルな...
そろそろ知っておかなくちゃ! 水素のこと。森中絵美(川崎重工)×中村知弘(UCC)
sponsored 【 2024/3/26 】 Work & Study
2023年の記録的な猛暑に、地球温暖化を肌で感じた人も多いだろう。こうした気候変動を食い止めるために、今、社会は脱炭素への取り組みを強化している。その中で次世代エネルギーとして世界から注目を集めているのが「水素」だ。とはいえまだ「水素ってどんなもの?」という問いを持っている人も多い。2024年2月に開催された「サステナ...
【ethica Traveler】 連載企画Vol.5 宇賀なつみ (第4章)サンフランシスコ近代美術館
独自記事 【 2024/3/20 】 Work & Study
「私によくて、世界にイイ。」をコンセプトに2013年に創刊した『ethica(エシカ)』では、10周年を迎える節目にあたり、エシカルでサステナブルな世界観、ライフスタイルをリアルに『感動体験』する場を特集しています。 本特集では、カリフォルニア州サンフランシスコ市のエシカルな取り組みを取材!エシカ編集部と共にサステナブ...
【ethica Traveler】連載企画Vol.4 宇賀なつみ (第3章)アリス・ウォータースの哲学
独自記事 【 2024/2/28 】 Work & Study
「私によくて、世界にイイ。」をコンセプトに2013年に創刊した『ethica(エシカ)』では、10周年を迎える節目にあたり、エシカルでサステナブルな世界観、ライフスタイルをリアルに『感動体験』する場を特集しています。  今回は、カリフォルニア州サンフランシスコ市のエシカルな取り組みを取材!エシカ編集部と共にサステナブル...
【ethica Traveler】連載企画Vol.3 宇賀なつみ (第2章)W サンフランシスコ ホテル
独自記事 【 2024/2/14 】 Work & Study
「私によくて、世界にイイ。」をコンセプトに2013年に創刊した『ethica(エシカ)』では、10周年を迎える節目にあたり、エシカルでサステナブルな世界観、ライフスタイルをリアルに『感動体験』する場を特集しています。 今回は、カリフォルニア州サンフランシスコ市のエシカルな取り組みを取材!エシカ編集部と共にサステナブルな...
【ethica Traveler】連載企画Vol.2 宇賀なつみ (第1章)サンフランシスコ国際空港
独自記事 【 2024/1/31 】 Work & Study
「私によくて、世界にイイ。」をコンセプトに2013年に創刊した『ethica(エシカ)』では、10周年を迎える節目にあたり、エシカルでサステナブルな世界観、ライフスタイルをリアルに『感動体験』する場を特集しています。 今回は、カリフォルニア州サンフランシスコ市のエシカルな取り組みを取材!エシカ編集部と共にサステナブルな...
【ethica Traveler】連載企画Vol.1 宇賀なつみ サンフランシスコ編(序章)   
独自記事 【 2024/1/24 】 Work & Study
「私によくて、世界にイイ。」をコンセプトに2013年に創刊した『ethica(エシカ)』では、10周年を迎える節目にあたり、エシカルでサステナブルな世界観、ライフスタイルをリアルに『感動体験』する場を特集しています。  今回は、カリフォルニア州サンフランシスコ市のエシカルな取り組みを取材!エシカ編集部と共にサステナブル...
【Earth Day】フランス商工会議所で開催するイベントにてethica編集部が基調講演
イベント 【 2023/4/3 】 Work & Study
来たる4月22日は「アースデイ(地球の日)」地球環境を守る意思を込めた国際的な記念日です。1970年にアメリカで誕生したこの記念日は、当時アメリカ上院議員だったD・ネルソンの「環境の日が必要だ」という発言に呼応し、ひとりの学生が『地球の日』を作ろうと呼びかけたことがきっかけでした。代表や規則のないアースデイでは、国籍や...
トランスメディア方式による新しい物語~『サステナブルな旅へようこそ!――心と身体、肌をクリーンビューティーに整える』(序章)と(第1章)の見どころを紹介!~
独自記事 【 2023/8/17 】 Health & Beauty
エシカではメディアを横断(トランス)するトランスメディア方式を採用し、読者の方とより深くつながる体験を展開しています。今回は、「サステナブルな旅へようこそ!――心と身体、肌をクリーンビューティーに整える」の序章と第1章についてのあらすじと見どころをお届け!(記者:エシカちゃん)
トランスメディア方式による新しい物語~『サステナブルな旅へようこそ!――心と身体、肌をクリーンビューティーに整える』(第2章)と(第3章)の見どころを紹介!~
独自記事 【 2023/8/24 】 Health & Beauty
エシカではメディアを横断(トランス)するトランスメディア方式を採用し、読者の方とより深くつながる体験を展開中。さまざまなメディアから少しずつ情報を得、それをパズルのように組み合わせてひとつのストーリーを見出す、新しいメディア体験です。 今回は、前回に引き続き、「サステナブルな旅へようこそ!――心と身体、肌をクリーンビュ...
テーマは、ナチュラルモダン『自立した女性』に向けたインナーウェア デザイナー石山麻子さん
独自記事 【 2022/9/19 】 Fashion
株式会社ワコールが展開する、人にも自然にもやさしいを目指すインナーウェアライン「ナチュレクチュール」。オーガニックコットン100%のラインアップが注目を集め、肌あたりやシルエットの美しさが話題になっています。その期待に応える形で、今年9月に新作グループも加わりました。やさしさを突き詰めた製品は、どのような想いや経緯から...
幸せや喜びを感じながら生きること 国木田彩良
独自記事 【 2021/11/22 】 Fashion
ファッションの世界では「サステナブル」「エシカル」が重要なキーワードとして語られるようになった。とはいえ、その前提として、身にまとうものは優しい着心地にこだわりたい。ヨーロッパと日本にルーツを持ち、モデルとして活躍する国木田彩良さんに「やさしい世界を、身に着ける。」をテーマにお話を聞いた。
[連載企画]冨永愛 自分に、誰かに、世界にーー美しく生きる。 【Prologue】
独自記事 【 2021/3/1 】 Health & Beauty
20年以上、トップモデルとして活躍。究極の美の世界で生きてきた冨永愛さん。ランウェイを歩くその一瞬のために、美を磨き続けてきた。それは、外見だけではない。生き方、生き様をも投影する内側からの輝きがなければ、人々を魅了することはできない。「美しい人」冨永愛さんが語る、「“私(美容・健康)に良くて、世界(環境・社会)にイイ...
水原希子×大谷賢太郎(エシカ編集長)対談
独自記事 【 2020/12/7 】 Fashion
ファッションモデル、女優、さらには自らが立ち上げたブランド「OK」のデザイナーとさまざまなシーンで大活躍している水原希子さん。インスタグラムで国内上位のフォロワー数を誇る、女性にとって憧れの存在であるとともに、その動向から目が離せない存在でもあります。今回はその水原さんに「ethica」編集長・大谷賢太郎がインタビュー...
[連載企画]冨永愛 自分に、誰かに、世界にーー美しく生きる。 【chapter1-1】
独自記事 【 2021/3/29 】 Health & Beauty
ファッションデザイナーが描く世界を表現するモデルは、まさに時代を映し出す美の象徴だ。冨永愛さんは移り変わりの激しいファッション界で、20年以上にわたり唯一無二の存在感を放ち続ける。年齢とともに磨きがかかる美しさの理由、それは、日々のたゆまぬ努力。  美しいひとが語る「モデル」とは?
モデルのマリエが「好きなことを仕事にする」まで 【編集長対談・前編】
独自記事 【 2018/12/24 】 Fashion
昨年6月、自身のファッションブランドを起ち上げたモデル・タレントのマリエさん。新ブランド「PASCAL MARIE DESMARAIS(パスカルマリエデマレ、以下PMD)」のプレゼンテーションでは、環境に配慮し無駄を省いた、長く愛用できるプロダクトを提案していくと語りました。そして今年9月、ファッションとデザインの合同...
国木田彩良−It can be changed. 未来は変えられる【Prologue】
独自記事 【 2020/4/6 】 Fashion
匂い立つような気品と、どこか物憂げな表情……。近年ファッション誌を中心に、さまざまなメディアで多くの人を魅了しているクールビューティー、モデルの国木田彩良(くにきだ・さいら)さん。グラビアの中では一種近寄りがたい雰囲気を醸し出す彼女ですが、実際にお会いしてお話すると、とても気さくで、胸の内に熱いパッションを秘めた方だと...
東京マラソンと東レがつくる、新しい未来
独自記事 【 2022/5/2 】 Fashion
2022年3月6日(日)に開催された東京マラソン2021では、サステナブルな取り組みが展開されました。なかでも注目を集めたのが、東レ株式会社(以下、東レ)によるアップサイクルのプロジェクトです。東レのブランド「&+®」の試みとして、大会で使用されたペットボトルを2年後のボランティアウェアにアップサイクルするとい...

次の記事

[連載企画]人を癒す希望の火を灯す(第4話)キャンドル・ジュンさん SONG OF THE EARTH 311 – FUKUSHIMA 2021 – 【ethica副編集長対談】
水原希子さんの新感覚エンタメ番組、Amazon Prime Videoで独占配信決定 ——最先端のカルチャーを水原希子さんが体験し学び尽くす——

前の記事

スマホのホーム画面に追加すれば
いつでもethicaに簡単アクセスできます