(第23話)「車を持たない選択。カーシェアリングで暮らしにも環境にも優しいエコライフを」キコの「暮らしの塩梅」
独自記事
このエントリーをはてなブックマークに追加
Instagram
2,301 view
(第23話)「車を持たない選択。カーシェアリングで暮らしにも環境にも優しいエコライフを」キコの「暮らしの塩梅」

「私によくて、世界にイイ」が実現できる、エシカルな暮らしのカタチってなんだろう。仕事に家事に育児に……。日々生活を回すだけでも大変な私たちにとって、新しく行動を起こすのはエネルギーも時間も使うし、ハードルが高く感じてしまうもの。

でも日々の暮らしのなかで、少しでも”良い”につながることができたら?

当たり前の毎日のなかで、大切な家族も、世界も、そして私自身もほんのちょっぴり幸せになるような選択をしていけたらいいなと思うのです。

第22話では、普段の食卓もハレの日の食卓も彩ってくれる漆塗りの器についてお話ししました。今回は、認知が広がりつつあるシェアリングエコノミーのひとつ、カーシェアリングについて、実際に車を持たない暮らしを送ってみて感じたことなどお伝えしたいと思います。

シェアリングエコノミーって?

以前より話題になっているシェアリングエコノミー。

これまで個人や会社で所有することが当たり前だった、モノや場所、スキルなどを「売る・買う」「貸す・借りる」というだけの関係ではなく、「シェアする(分け合う)」という発想のビジネス(サービス)です。

家、車、服、食べ物など生活に必要なさまざまなモノを個人がそれぞれに所有すると膨大な資源が必要となり、不要になった時の処分にかかるエネルギーも底知れません。

一方で必要なものを、必要な時に必要な分だけ借りること、一つのものをみんなで分かち合うことで、一人ひとりの暮らしがコンパクトになり、地球全体で見るとムダが少なく環境への負荷を少なくできると考えられます。

今回ご紹介するカーシェアリングとは、会員登録した人の間で特定の自動車を使用するサービス(ないしはシステム)のこと。

車の所有を減らすことで、渋滞の緩和や公共交通機関の活性化、駐車場の混雑軽減、それに伴うCO2の削減や都市部の環境問題の対策につながると考えられています。

車を持たない暮らしを始めたきっかけ

夫も私も車がある家庭で育ってきましたが、結婚してあらためて考えた時に、公共交通機関が充実している今の居住環境としては、車の必要性をそこまで感じませんでした。

とはいえ、アウトドアが好きで遠出もよくするわが家にとっては移動手段としての車は必須。

レンタカーはこれまでも利用することはありましたが、店頭まで行く必要があり手続きできるのは営業時間内のみ、返却時にはガソリンを満タンにして……と不便さを感じることも少なくありませんでした。

そんな時に徒歩圏内にタイムズのカーシェアリングのステーションが複数あることを知り、試しに登録してみたことでその便利さに驚かされました。

カーシェアリングの特徴

まずは特徴を簡単にご説明したいと思います。

カーシェアリングを扱うサービスは多種多様にありますが、その内容に大きな違いはありません。

レンタカーとの大きな違いはネットから24時間手続き可能で、短時間から安価で利用できること。

初期費用は登録料、その後基本料+利用料金が必要です。利用料金はだいたい10分〜15分単位で、200円前後に設定されています。

長時間や深夜借りる場合はお得なパック料金がある場合も。

「予約した時間」ではなく、実際に使った時間のみの支払いで済むので、急な予定の変更などには助かります。

カーシェアを使っていて便利だなと感じることは、使用する直前までパソコンやスマホから簡単に予約やキャンセル、変更手続きができること。

短時間からの利用が可能なので、ちょっとした買い物や外食にも気軽に使えます。

料金はガソリン・保険料込みであることが多いので、追加で支払う必要がないのも安心です。

カーシェアリングのメリット・デメリット

マイカー、レンタカー、カーシェアと使ってみて実際に感じたメリット・デメリットをお伝えします。

 

<メリット>

・店頭に出向く必要がなく、24時間いつでもPCやスマホから簡単に手続きできる

・短時間から安価に借りられ、料金にガソリン・保険料も含まれている

・車検やメンテナンス、給油、保険などに関わる手間や費用がかからない

・カーシェアのサービスが普及してきて、街中や住宅街など全国で利用できる

・いろんな車種に乗れる

 

<デメリット>

・空車がない時は、利用することができない

・次の人の予約がある場合は、延長できないので急な予定の変更や渋滞に遭遇した時に不便

・乗り捨てはできないことが多い

(最近は空港や駅など特定の場所は可能なケースも増えてきています)

・定期的に清掃してくれているが、まれに食べカスやゴミが落ちていたりして、衛生面の不快感を感じることも

・小さい子どもがいる場合、チャイルドシートを自宅に保管して利用のたびに取り外しをするのが手間

・カーシェアを利用しない月でも、基本料が固定費としてかかってしまう

・私物を置いたり好みのデザインにしたりと移動手段以上のことは望めない

 

公共交通機関が充実している都市部に住んでいて、近くにカーシェアのステーションがある方、定期的に利用する方にとっては便利ですが、そうでない方にとっては現状不便と言えます。

カーシェアリングのおすすめの使い方

デメリットからも分かるように、あらゆるシーンや目的に適しているわけではないカーシェアですが、使い方次第でカーシェアのデメリットが軽減できる方法も。

例えば、乗り捨ての必要のない普段の買い物や送迎などの利用では、カーシェアを。

引っ越しなど大きな荷物を運ぶ時、乗り捨てしたい時はレンタカーと使い分けること。

待ち時間の読めない病院や役所、人気のスポットで渋滞が予測できそうな時は、あらかじめ長めに借りておくか、カーシェアではなく公共交通機関を利用する方が行動・時間の制限がなく安心して過ごせると言えます。

旅行の際、電車や飛行機などとカーシェアを上手に組み合わせれば、移動時間の短縮や旅費を抑えたり運転の負担を軽減したりすることも可能です。

生活コストが下がることで、違う楽しみを増やすことも

また、自家用車を持つことに比べると、圧倒的なコスパの良さがカーシェアリングの魅力。

カーシェアを週に1〜2回それぞれ6時間ほど利用しているわが家の出費は、月々1万円〜2万円台。

普通車の場合、ローンなしで購入した場合にも維持費として毎月約5万円はかかると言われています。駐車場代の高い都市部では、さらに費用がかさむことも。

重ねてメンテナンス・車検などの費用も考えると、自家用車を持った場合と持たない場合と結構な差額になることがわかります。数年単位で考えると大きな節約にもなります。

わが家では、車を所有しないことで生活コストが下がった分、出先でおいしい外食をしたり、週末にプチ旅行を楽しんだりと家族の楽しみを増やすことに使うことにしています。

緊急の時や雨で荷物が多い時などは、割り切ってタクシーを使えば、車がないことによる大変さも軽減できます。

車を持たない暮らし、いかがでしょうか?

生活費の節約や環境への負担を減らすことにもつながるカーシェアリング。

都市部に住んでいて維持費を抑えて移動手段としてだけ車を利用したい人にとっては、自家用車と同じ感覚で使えるとっても便利なサービスです。

かれこれ5年ほどカーシェアリング生活を送っているわが家ですが、たまに不便は感じつつも

この快適さは手放せません。

もちろん住む環境によっては不可能な場合もありますが、

これから車を購入しようか検討している方、ライフスタイルの見直しを考えている方には、ぜひおすすめしたい選択肢のひとつです。

【連載】キコの「暮らしの塩梅」を読む>>>

季子(キコ)

一児の母親。高校生のころ「食べたもので体はできている」という言葉と出会い食生活を見直したことで、長い付き合いだったアトピーが大きく改善。その体験をきっかけに食を取り巻く問題へと関心が広がり、大学では環境社会学を専攻する。

産後一年間の育休を経て職場復帰。あわただしい日々のなかでも気軽に取り入れられる、私にとっても家族にとっても、地球にとっても無理のない「いい塩梅」な生き方を模索中。

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

季子(キコ)

このエントリーをはてなブックマークに追加
Instagram
【ethica Traveler】 連載企画Vol.6 宇賀なつみ (第5章)ゴールデン・ゲート・ブリッジ
独自記事 【 2024/3/27 】 Work & Study
「私によくて、世界にイイ。」をコンセプトに2013年に創刊した『ethica(エシカ)』では、10周年を迎える節目にあたり、エシカルでサステナブルな世界観、ライフスタイルをリアルに『感動体験』する場を特集しています。 今回は、カリフォルニア州サンフランシスコ市のエシカルな取り組みを取材!エシカ編集部と共にサステナブルな...
そろそろ知っておかなくちゃ! 水素のこと。森中絵美(川崎重工)×中村知弘(UCC)
sponsored 【 2024/3/26 】 Work & Study
2023年の記録的な猛暑に、地球温暖化を肌で感じた人も多いだろう。こうした気候変動を食い止めるために、今、社会は脱炭素への取り組みを強化している。その中で次世代エネルギーとして世界から注目を集めているのが「水素」だ。とはいえまだ「水素ってどんなもの?」という問いを持っている人も多い。2024年2月に開催された「サステナ...
【ethica Traveler】 連載企画Vol.5 宇賀なつみ (第4章)サンフランシスコ近代美術館
独自記事 【 2024/3/20 】 Work & Study
「私によくて、世界にイイ。」をコンセプトに2013年に創刊した『ethica(エシカ)』では、10周年を迎える節目にあたり、エシカルでサステナブルな世界観、ライフスタイルをリアルに『感動体験』する場を特集しています。 本特集では、カリフォルニア州サンフランシスコ市のエシカルな取り組みを取材!エシカ編集部と共にサステナブ...
【ethica Traveler】連載企画Vol.4 宇賀なつみ (第3章)アリス・ウォータースの哲学
独自記事 【 2024/2/28 】 Work & Study
「私によくて、世界にイイ。」をコンセプトに2013年に創刊した『ethica(エシカ)』では、10周年を迎える節目にあたり、エシカルでサステナブルな世界観、ライフスタイルをリアルに『感動体験』する場を特集しています。  今回は、カリフォルニア州サンフランシスコ市のエシカルな取り組みを取材!エシカ編集部と共にサステナブル...
【ethica Traveler】連載企画Vol.3 宇賀なつみ (第2章)W サンフランシスコ ホテル
独自記事 【 2024/2/14 】 Work & Study
「私によくて、世界にイイ。」をコンセプトに2013年に創刊した『ethica(エシカ)』では、10周年を迎える節目にあたり、エシカルでサステナブルな世界観、ライフスタイルをリアルに『感動体験』する場を特集しています。 今回は、カリフォルニア州サンフランシスコ市のエシカルな取り組みを取材!エシカ編集部と共にサステナブルな...
【ethica Traveler】連載企画Vol.2 宇賀なつみ (第1章)サンフランシスコ国際空港
独自記事 【 2024/1/31 】 Work & Study
「私によくて、世界にイイ。」をコンセプトに2013年に創刊した『ethica(エシカ)』では、10周年を迎える節目にあたり、エシカルでサステナブルな世界観、ライフスタイルをリアルに『感動体験』する場を特集しています。 今回は、カリフォルニア州サンフランシスコ市のエシカルな取り組みを取材!エシカ編集部と共にサステナブルな...
【ethica Traveler】連載企画Vol.1 宇賀なつみ サンフランシスコ編(序章)   
独自記事 【 2024/1/24 】 Work & Study
「私によくて、世界にイイ。」をコンセプトに2013年に創刊した『ethica(エシカ)』では、10周年を迎える節目にあたり、エシカルでサステナブルな世界観、ライフスタイルをリアルに『感動体験』する場を特集しています。  今回は、カリフォルニア州サンフランシスコ市のエシカルな取り組みを取材!エシカ編集部と共にサステナブル...
【Earth Day】フランス商工会議所で開催するイベントにてethica編集部が基調講演
イベント 【 2023/4/3 】 Work & Study
来たる4月22日は「アースデイ(地球の日)」地球環境を守る意思を込めた国際的な記念日です。1970年にアメリカで誕生したこの記念日は、当時アメリカ上院議員だったD・ネルソンの「環境の日が必要だ」という発言に呼応し、ひとりの学生が『地球の日』を作ろうと呼びかけたことがきっかけでした。代表や規則のないアースデイでは、国籍や...
トランスメディア方式による新しい物語~『サステナブルな旅へようこそ!――心と身体、肌をクリーンビューティーに整える』(序章)と(第1章)の見どころを紹介!~
独自記事 【 2023/8/17 】 Health & Beauty
エシカではメディアを横断(トランス)するトランスメディア方式を採用し、読者の方とより深くつながる体験を展開しています。今回は、「サステナブルな旅へようこそ!――心と身体、肌をクリーンビューティーに整える」の序章と第1章についてのあらすじと見どころをお届け!(記者:エシカちゃん)
トランスメディア方式による新しい物語~『サステナブルな旅へようこそ!――心と身体、肌をクリーンビューティーに整える』(第2章)と(第3章)の見どころを紹介!~
独自記事 【 2023/8/24 】 Health & Beauty
エシカではメディアを横断(トランス)するトランスメディア方式を採用し、読者の方とより深くつながる体験を展開中。さまざまなメディアから少しずつ情報を得、それをパズルのように組み合わせてひとつのストーリーを見出す、新しいメディア体験です。 今回は、前回に引き続き、「サステナブルな旅へようこそ!――心と身体、肌をクリーンビュ...
テーマは、ナチュラルモダン『自立した女性』に向けたインナーウェア デザイナー石山麻子さん
独自記事 【 2022/9/19 】 Fashion
株式会社ワコールが展開する、人にも自然にもやさしいを目指すインナーウェアライン「ナチュレクチュール」。オーガニックコットン100%のラインアップが注目を集め、肌あたりやシルエットの美しさが話題になっています。その期待に応える形で、今年9月に新作グループも加わりました。やさしさを突き詰めた製品は、どのような想いや経緯から...
幸せや喜びを感じながら生きること 国木田彩良
独自記事 【 2021/11/22 】 Fashion
ファッションの世界では「サステナブル」「エシカル」が重要なキーワードとして語られるようになった。とはいえ、その前提として、身にまとうものは優しい着心地にこだわりたい。ヨーロッパと日本にルーツを持ち、モデルとして活躍する国木田彩良さんに「やさしい世界を、身に着ける。」をテーマにお話を聞いた。
[連載企画]冨永愛 自分に、誰かに、世界にーー美しく生きる。 【Prologue】
独自記事 【 2021/3/1 】 Health & Beauty
20年以上、トップモデルとして活躍。究極の美の世界で生きてきた冨永愛さん。ランウェイを歩くその一瞬のために、美を磨き続けてきた。それは、外見だけではない。生き方、生き様をも投影する内側からの輝きがなければ、人々を魅了することはできない。「美しい人」冨永愛さんが語る、「“私(美容・健康)に良くて、世界(環境・社会)にイイ...
水原希子×大谷賢太郎(エシカ編集長)対談
独自記事 【 2020/12/7 】 Fashion
ファッションモデル、女優、さらには自らが立ち上げたブランド「OK」のデザイナーとさまざまなシーンで大活躍している水原希子さん。インスタグラムで国内上位のフォロワー数を誇る、女性にとって憧れの存在であるとともに、その動向から目が離せない存在でもあります。今回はその水原さんに「ethica」編集長・大谷賢太郎がインタビュー...
[連載企画]冨永愛 自分に、誰かに、世界にーー美しく生きる。 【chapter1-1】
独自記事 【 2021/3/29 】 Health & Beauty
ファッションデザイナーが描く世界を表現するモデルは、まさに時代を映し出す美の象徴だ。冨永愛さんは移り変わりの激しいファッション界で、20年以上にわたり唯一無二の存在感を放ち続ける。年齢とともに磨きがかかる美しさの理由、それは、日々のたゆまぬ努力。  美しいひとが語る「モデル」とは?
モデルのマリエが「好きなことを仕事にする」まで 【編集長対談・前編】
独自記事 【 2018/12/24 】 Fashion
昨年6月、自身のファッションブランドを起ち上げたモデル・タレントのマリエさん。新ブランド「PASCAL MARIE DESMARAIS(パスカルマリエデマレ、以下PMD)」のプレゼンテーションでは、環境に配慮し無駄を省いた、長く愛用できるプロダクトを提案していくと語りました。そして今年9月、ファッションとデザインの合同...
国木田彩良−It can be changed. 未来は変えられる【Prologue】
独自記事 【 2020/4/6 】 Fashion
匂い立つような気品と、どこか物憂げな表情……。近年ファッション誌を中心に、さまざまなメディアで多くの人を魅了しているクールビューティー、モデルの国木田彩良(くにきだ・さいら)さん。グラビアの中では一種近寄りがたい雰囲気を醸し出す彼女ですが、実際にお会いしてお話すると、とても気さくで、胸の内に熱いパッションを秘めた方だと...
東京マラソンと東レがつくる、新しい未来
独自記事 【 2022/5/2 】 Fashion
2022年3月6日(日)に開催された東京マラソン2021では、サステナブルな取り組みが展開されました。なかでも注目を集めたのが、東レ株式会社(以下、東レ)によるアップサイクルのプロジェクトです。東レのブランド「&+®」の試みとして、大会で使用されたペットボトルを2年後のボランティアウェアにアップサイクルするとい...

次の記事

「日本語教師」ライフ!【スミレのドイツ留学 回顧録】
「あしたのひかり 日本の新進作家 vol.17」2020年7月28日(火)〜9月22日火・祝)まで東京都写真美術館にて開催/写真・映像など141作品を展示

前の記事

スマホのホーム画面に追加すれば
いつでもethicaに簡単アクセスできます