【ethica編集長対談】 セブン&アイ・ホールディングス・釣流まゆみ 執行役員(前編)「国際関係学を学び、小売業の世界へ」
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【ethica編集長対談】 セブン&アイ・ホールディングス・釣流まゆみ 執行役員(前編)「国際関係学を学び、小売業の世界へ」

Photo=Eijiro Toyokura ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

「ethica woman」シリーズは、働く女性がキャリアを積む過程で考えてきた事を特別な輝きを纏った女性にお聞きします。読者それぞれが理想とする女性像を学ぶ為に、自分をワンランク上に押し上げてくれる美学や志を提供する事を目的としております。

今回は、2月24日・25日の2日間、パシフィコ横浜で開催された「サステナブル・ブランド国際会議2021横浜」(SB 2021 YOKOHAMA)に基調講演の1人として参加されたセブン&アイ・ホールディングスの執行役員・釣流まゆみさんに、ご自身が歩まれた道のりについて、エシカ編集長・大谷賢太郎がお聞きしました。

「私によくて、世界にイイ。」それが一番

大谷: ウェブマガジン「ethica」編集長の大谷賢太郎と申します。今日はよろしくお願いします。

釣流: こちらこそよろしくお願いします。

大谷: まず私どもの「ethica」ですが、エシカルコンシューマー向けのWebマガジンで、「私によくて、世界にイイ。」をコンセプトに2013年に立ち上げ、今年で8年目になります。読者は20代30代の女性がメインで、最近は40代も多くなりました。

釣流: 読者は男性よりも女性のほうが多いのですか。

大谷: はい。女性が7割です。

釣流: 今「私によくて、世界にイイ。」がコンセプトだとお聞きしましたが、それが一番なんですよ。私たちがやっている環境の活動にしても、自分たちにとってもいいことではないとなかなか進みませんからね。

大谷: 私もそう思います。

今日は釣流さんのこれまでのストーリーといいますか、現在に至るまでの経緯とセブン&アイさんのサステナブルな取り組みについての、大きく分けて2つのお話をお聞きしたいと思っています。

釣流: 分かりました。

先ほどの「私によくて、世界にイイ。」ことの続きで付け加えて言いますと、弊社グループのことになるのかもしれませんが、お客様に強いることはしたくない。無理矢理強いるのではなくて、気がついたら自然といいことに参加しているというのが望ましいです。

環境を守るというと、法規制でやろうとすることがありますよね、禁止したりとか。でも、禁止ではなくて、日本人の気質から考えても、「こういうふうにやったほうがいいんじゃない」「みんなで考えようよ」といったほうが、ついてきてくれると思います。そういうことを考えて自然とできるようになっていくといいと考えています。

大谷: 釣流さんが長年携わってこられた小売業というのは、お客さんとつねに直接対面しているという、ちょっと特殊な業界ではないかと思うのですが。

釣流: おっしゃる通りです。小売業というのは、お客様にご意見をいただきながらも、「ありがとう」といっていただける珍しい業種だと思っています。そういう中で「ありがとう」といっていただける方々と一緒に前に進んでいくことが一番大切だと考えています。

Photo=Eijiro Toyokura ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

当時は未だ少なかった「国際関係学科」で学ぶ

大谷: 釣流さんの人となりについてお聞きしたいのですが、釣流さんはもともと大学では国際関係学科で学ばれたそうですね。その頃から国際問題に関心がおありだったのですか。

釣流: 実はそうでもないんですよ。私は津田塾大学というところを出ているのですが、1クラス20人くらいという少人数でなかなかいい学校でした。本当は英文科に行こうと思っていました。ところが津田塾の英文科は英国数でしか受けられなくて、国際関係学科は英国社で受験できたんですよ。そんな単純な理由なんです(笑)。

大谷: 今、国際関係学科は人気の学科ですが、当時はまだ少なかったですよね。

釣流: そうですね。津田塾の他には何校かあるぐらいだったかもしれませんね。世界を意識する機会が私にはそれほどありませんでした。

大谷: 実際に津田塾に入られてどうでしたか。

釣流: すごくよかったです。女子大というのもよかったですね。私はそれまでずっと男女共学で、女子は運動会の鉢巻を作るとか何か役割分担がありました。でも、女子大は当たり前ですが、全部女子がやる。一人ひとりが自覚を持つということでいうと、今、女性の活躍がよく言われますが、当たり前に男性も女性も一緒に同じことをやればいいんです。目に見えない役割が何となくあって、それで今まで来ているような気がします。

女性にとってロールモデルはよく聞かれるのですが、それは女性の役員が少ないこともあるのかもしれません。でも、ロールモデルと言っているうちはダメだと思います。平等の環境で女性も男性も同じ評価をされてステップアップしていく。それが当たり前になればいいなと思っています。

Photo=Eijiro Toyokura ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

当時の西武百貨店は、いわば文化を創っていた会社

大谷: それで、大学を卒業されて西武百貨店に入社されたんですね。

釣流: ええ、そうです。当時の西武百貨店は、いわば文化を創っていた会社で、そういう意味では開かれた企業でした。当時私は、開かれた会社にいることが理解できていなかったように思います。ただし、外に出てみたら西武は進んでいたことがよく分かりました。上司に恵まれたこともありましたが、それ以上にお客様に恵まれたのが一番でした。

大谷: 最初はどんな仕事をされていたのですか。

釣流: 私は池袋西武婦人靴売場に配属されました。女性って靴の悩みが多いんです。その悩みを一緒になって解決することで、お客様に喜んでいただけることが本当に嬉しかった。私は大学時代、アルバイトも家庭教師くらいしかやったことがなくて、社会に出て初めてそういう仕事をしました。時にはご意見もいただきますが、「ありがとう」って言っていただいて、しかも、お代を払っていただく。こんなありがたいことはありません。

お客様と私たちが一緒に成長していくというか、お客様に育てていただく小売業というものを体験して、それが貴重な財産になっています。私の人となりというと、ここに尽きますね。

(中編に続く)

 

続きを読む(中編)>>>

釣流まゆみ

㈱セブン&アイ・ホールディングス 執行役員 経営推進本部 サステナビリティ推進部 シニアオフィサー

津田塾大学国際関係学科卒業。(株)西武百貨店入社(現(株)そごう・西武)。 池袋本店婦人雑貨部、販売促進部、等を経た後、営業部門へ。執行役員顧客サービス部長、執行役員池袋本店副店長、執行役員所沢店店長、執行役員東戸塚店店長、執行役員文化プロモーション部長。 2019年3月より(株)セブン&アイ・ホールディングスへ。

グループ環境宣言「GREEN CHALLENGE 2050」の達成を推進。

聞き手:ethica編集長 大谷賢太郎

あらゆる業種の大手企業に対するマーケティングやデジタルの相談業務を数多く経験後、2012年12月に『一見さんお断り』をモットーとする、クリエイティブ・エージェンシー「株式会社トランスメディア」を創業。2013年9月に投資育成事業として、webマガジン「ethica(エシカ)」をグランドオープン。2017年1月に業務拡大に伴いデジタル・エージェンシー「株式会社トランスメディア・デジタル」を創業。2018年6月に文化事業・映像事業を目的に3社目となる「株式会社トランスメディア・クリエイターズ」を創業。

創業9期目に入り「BRAND STUDIO」事業を牽引、webマガジン『ethica(エシカ)』の運営ノウハウとアセットを軸に、webマガジンの立ち上げや運営支援など、企業の課題解決を図る統合マーケティングサービスを展開中。

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

ethica編集部

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