読者対話型連載 第1章:ネパールと人々のつながり編(第1節) 「読者」と「ethica編集部」の交流の場(オンラインオフ会)連動企画「あなたにとってウェルビーイングとは何か」
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読者対話型連載 第1章:ネパールと人々のつながり編(第1節)

新企画「あなたにとってウェルビーイングとは何か」を担当します永島郁哉と申します。早稲田大学で社会学を学びながら、休日には古着屋に行ったり小説を書いたりします。

この連載は、ストレス社会に生きる私たちが、ふと立ち止まって「豊かさ」について考えるきっかけとなる、ささいな休憩所のようなものです。皆さんと一緒に、当たり前だと思っていた価値観を一つ一つほどいていく作業が出来たらと思います。

第一章は「ネパールと人々のつながり」と題して、全四節にわたりお送りします。ネパールでの人とのつながりをヒントに、皆さんと共にウェルビーイングについて考えていけたらと思います。

第1章 ネパールと人々のつながり

第1節 集落で見つけた家族観

 

「ネパール」と聞いて、何を思い浮かべますか?

近所のインド・ネパールカレー屋さん、不思議な形の国旗、名峰エベレストを抱えるヒマラヤ山脈、それとも貧困。

私は「ネパール」と聞くと「家族」を瞬間的に連想します。ネパールと家族。一見何の繋がりもないように見える両者を結び付けたのは、ネパールのとある山間の集落にホームステイした経験です。

私がネパールに滞在したのは、2019年2月から3月にかけての2週間でした。日本人使節団の一員として参加した国際学生交流プログラムでネパールを訪れた私は、現地のネパール人学生と共に「幸福」に関するアクティビティを行いました。例えば、農場では家畜の世話を通して、動物を食することの意味を学生とディスカッションしました。あるいは、貧困層の子供が通う学校を訪れ、「モノから来る幸せ」と「心の幸せ」について子供たちと共に考えました。

そうした活動の一環で訪れたのが、首都カトマンズから6時間ほど離れた、標高2000メートルほどにある集落です。すぐ横が崖という山道を進まなければならず、大型車は通行できないために、私たちは小さなジープに押し込まれ、舗装されていない道路をひたすらに走りました。その集落が都会からどれほど隔てられているか。私は目に見えないその壁を想い、“孤立”という言葉をひしひしと感じました。

集落に到着した私たちはお世話になるホストファミリーに挨拶しました。その家庭は、おばあちゃんと30代ほどの息子の二人暮らしで、農業で生計を立てているとのこと。軍人であったおじいちゃんは既に他界しており、長男は海外に出稼ぎに行っていました。二人はとても親切で、私が学生とのアクティビティの合間に家に戻ると、いつでも暖かいお茶を淹れてくれる、そんな温かい家庭でした。

滞在も終盤に差し掛かった頃、私はふと、背中の曲がったおばあちゃんに「ここでの暮らしは寂しくない?」と聞いたことがあります。それは、都会から離れた集落に息子と二人で暮らすことが、“寂しいこと”だとする先入観からつい出た不躾な質問でした。しかし、おばあちゃんは私を責めることなくこう答えたのです。

 

「私はここでの生活が大好きなの。ここにはおじいちゃんが残してくれた農場があって、子供たちを育て上げた家があって、息子が跡継ぎをしてくれている。私はこれ以上望むことはないよ。」

 

私は全く馬鹿な質問をしてしまったと自分を恥じ、おばあちゃんに「お茶、ありがとう。」と伝えました。

「家族」を考えるとき、私たちはどこかで「経済とのつながり」を考えていないでしょうか。駅チカのマンションに暮らし、年に二回は家族旅行に行くことが「家族」のあるべき姿と考えるとき、その根底にあるのは「経済的な豊かさ=家庭の豊かさ」だとする、脆い価値観かもしれません。

ネパールのおばあちゃんにとって家族とは、自分と大切な人が暮らした土地と共に生きることに他なりません。身の回りにあるモノではなく、その歴史を抱きしめることが彼女にとっての家族愛であったのです。だからこそ、他界したおじいちゃんや出稼ぎにいった息子と遠く離れていても、おばあちゃんは胸を張って家族との幸せを噛みしめることが出来るのです。

私は今でもたまにあの集落のことやおばあちゃんのことを思い出し、その度に何だか元気をもらいます。そして、あの時おばあちゃんがそうしてくれたように、テレワーク中の父に暖かいお茶を淹れてあげるのでした。

今回の連載は如何でしたでしょうか。バックナンバーはこちらからご覧頂けます。

[読者対話型連載]あなたにとってウェルビーイングとは何か

永島郁哉

1998年生まれ。早稲田大学で社会学を学ぶ傍ら、国際学生交流活動に携わる。2019年に公益財団法人イオン環境財団主催「アジア学生交流環境フォーラム ASEP2019」に参加し、アジア10カ国の学生と環境問題に取り組んだ他、一般社団法人アジア教育交流研究機構(AAEE)では学生スーパーバイザーを務め、ベトナムやネパールでの国際交流プログラム企画・運営を行っている。2019年9月より6か月間ドイツ・ベルリン大学に留学。

ーーBackstage from “ethica”ーー

今回の連載は、読者対話型の連載企画となります。

連載の読者と、執筆者の永島さんがオンラインオフ会(ZOOM)で対話をし、次の連載の話題や企画につなげ、さらにその連載を読んだ方が、オンラインオフ会に参加する。

という形で、読者との交流の場に育てていければと思います。

 

ご興味のある方は、ethica編集部の公式facebookのメッセージから、ご応募ください。

https://www.facebook.com/ethica.jp

 
抽選の上、次回のオンラインオフ会への参加案内を致します。

 

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

ethica編集部

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